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第161章 令和元年 大革命
ひっくり返ったおもちゃ箱
しおりを挟む昨日は、また違う世界にワープ出来そうな感覚だった。(実際にはしていない。)
娘が、午前中やってきて、
「『今夜、ロマンス劇場で』の続きを観よう。」と言ってきた。
平日は、色々忙しいので、細切れにしか、余暇をとれない。
娘は、月々、一定の金額を払えば色々な映画が観れるというサイトに、仮登録したらしく、そのタイトルの映画を私に薦めてきた。
自分は、一通り観てはいるが、ママと一緒に、もう一回観たいう申し出だった。
昨日観たシーンは、一昨日の観たシーンの続きである。
白黒映画の色のない世界から飛び出してやってきたお姫様と、主人公の青年のお話が、
おかしくて、切なくて、悲しくて… まぁ、兎に角泣ける映画である。
私たちは、当たり前のように色のある世界を見ている。
それが当たり前だから、どんな色を見ても感動が薄れていく。そこに、その色があるのが、当たり前だと思うから…感覚が麻痺していく。
色のない世界の住人が、実際に様々な色を一つ一つ確認しながら、見たらどう思うか?
この世界は、素敵に満ち溢れている。
昨日観た映画も、色彩が本当に豊かで、“様々な色の表現” が、素晴らしかった。
最後までは、観なかった。
「今日は、ここまでにしとく。」
その台詞を言ったのは私だ。
映画を観た余韻に浸りながら、
「当たり前に目にする、いろいろな色って、それぞれが、それぞれに素晴らしい色なんだよなぁ」
そう思ったら…
突然、オルゴールが鳴った。
娘が、高校の修学旅行で行った、小樽オルゴール堂で買ったピアノの形をした、オルゴールである。
娘の部屋の片隅にあったオルゴールが、カノン(パッヘルベル)の曲を奏でた。
ほんの数秒だったが、確かにオルゴールが鳴った。
娘は、私の顔を見つめて言った。
「ロマンス劇場を見たからか?ロマンスやなぁ。」
小樽オルゴール館か……。
小樽と言えば、私がデジャヴを強く感じた場所である。
運河、レンガ造りの建物…
その景色を見つめて、私は、泣きそうになった。
確かに懐かしいと感じた。
一瞬時が止まったかのように、頭のてっぺんから、足のつま先まで、ざわざわ~っという、
かぜのようなものが流れた。
いわゆるデジャヴである。
私たちは、見えるものしか信じようとしない。
見えないものの中に、真実は隠されているというのに……。
見えない世界の住人になれば、
一般的に不思議だと思う世界は、ちっとも不思議ではなくなる。
むしろ、見える世界のほうが、偽物だらけなのだ。
見えない世界の住人側からして見れば
この世界は、ひっくり返ったおもちゃ箱だ。
(覚書)
2019.11.20
日が暮れ、慌ただしい時間もちょっと過ぎた刻のころ、白と黒のパンダ模様の猫が、堂々と道路を横切っていた。
走りもしないで、ゆっくり渡っていたので、私は心配になり、じっと、猫を見つめていた。
運良く、右からも左からも車は来ていなかったが、あまりにも悠々としたその態度に、「大丈夫か~。
そんなにゆっくり歩いてたら、ひかれちゃうよ。
」と思った。
その後、ビルの壁にとまっているキリギリスを見つけた。
キリギリスは、冬を越せないらしいから、なんだか刹那ない気持ちになる。
白と黒のパンダ模様と言えば、先日も、コンビニの駐車場で、同様の模様の小鳥を見た。
形は、雀に似てるが、模様の色は、白と黒。
そういえば、シマウマも、白と黒。
「善悪を統合しなさい」というメッセージなのか?
まだ、よく分からない。
白と黒のパンダ模様の猫を見かけた時、一瞬だけ、時が止まったような気持ちになった。
「ああ、この感覚、幼い頃はよく経験したなぁ」
と思った。
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