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イシス王国&ドルイド王国編
ベイ・ガウザーの猛威
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【イシス近くの平原】
「…ちっ!遅かったようね…もう始まってるわ」
「なんだって!?」
馬を操るミントスは前方に見えてきたイシスで既に、戦闘の火の手が上がっているのを確認した
「どうするの優輝?イシス側が、かなり押されている感じだけど…」
「もちろん助けに行くに決まっている!」
純粋に【正義・友情・勝利】を信じている異世界転移勇者の優輝は迷わず返答した
「ただ、危なくなったら…どうにもならない様なら…撤退する…ミントス、ミクイ、ボクをサポートしてくれ!」
「ハイハイ、死なない程度にね。わたしゃ、まだ死ぬ気はないからね。ヤバくなったら首根っこ捕まえてでも離脱するからね!」
口は悪いが、直訳すれば…ミントスは優輝をしっかりサポートしてくれるようだ
「悪いですが…ミクイは助けませんよ…アサシンですからね…好きにやらせてもらうから」
「分かった、それでイイ!」
【イシス攻防戦】
ヴァンパイア達とアドル達の戦いは数的有利もあり、アドル達の方がやや優勢だった。が、それ以外での戦闘は…
「くうっ!…この馬、なんて凶暴なのよ!」
「ユーカ、上だ!回避しろ!」
ユーカが果敢に【デストロイユニコーン】に挑んで行くが、頭部の一角からは雷撃が飛んでくるし、巨馬のブレスは強烈な風圧で襲ってくるうえに、魔法耐性のある体毛と鉄のような肉体に阻まれマトモにダメージが与えられない
「きゃっ!…くぅぅ、あっぶないわねー!」
かと言って巨馬にかまい過ぎると、馬上のベイ・ガウザーから剣圧や魔法を撃たれてしまう
カルーアとサーシャがヴァンパイア側に回った事で、第2部隊と共に戦っているユーカ達は大苦戦していた
第2部隊もベイ・ガウザーの側近とも戦わなければならないので、圧倒的に戦力不足だった
「くそぅ、こんな所で…」
「おい!後ろだ!」
第2部隊の騎士が善戦していたが、背後のミノタウロスが振り上げた斧に斬られそうになった
が、突然ミノタウロスの脇腹が裂けて出血し、その場に倒れて悶絶した
「なんだ!?味方は居なかったのに…」
それはカモフラージュで姿を消しているアサシン【ミクイ】の攻撃によるものだった!彼女は対巨体生物用の猛毒を刃に塗り、密かに敵を攻撃して廻っている。味方にも敵にも気取られないまま、少しずつ敵を倒していた
「ギョブアァァァァ!!!」
【デストロイユニコーン】は、耳が痛くなる程の音量で咆哮した。口から放たれた風圧弾がユーカを襲った
「光糸細工(シークェット)!」ユーカの足に光の糸が絡まり、一瞬で彼女をチェイムの方へ引っ張った!
先程までユーカが居た場所が、風圧弾の強さでめくれ上がった後に吹き飛んでいた。チェイムに引き寄せられなかったら、ユーカはその爆風に飲み込まれていただろう
「ちょっとぉ!急に引っ張らないでよ!…パンツ見えちゃったじゃないの!」
「……それどころじゃ…なかったですよ(汗)」
チェイムの機転で助かったユーカだが【デストロイユニコーン】をどうにかしないと、ベイ・ガウザーと戦う事すら出来ない状況だった。巨馬は逃げたユーカの方を見つめる
しかし、巻き上げた爆風の影からランスロットが走り詰めた
「くらえっ!」
ランスロットは懐から出した毒針を2本【デストロイユニコーン】の右前脚に突き刺した!
毒針は持ち手側に手のひらサイズの球体が付いていて、鋭利な反対側を獲物に突き刺すと球体部分の中に入っている毒が、獲物の体内に入っていく構造になっている
「ダメージにはなりませんが、しばらく経てば動きはかなり鈍る筈です」
ランスロットの速度と器用さを活かした攻撃だった。だが、これでベイ・ガウザーに対抗出来ると思われた
「流石ねランスロット!姑息な手を使わせたら、かなりの物ね!」
「姫様…出来たら喜べる様に褒めてくださいよぉ…」
こんな緊迫した場面でも、ユーカの態度に大きな差はないようだ
「ふむ…貴様、やるではないか!良いだろう、相手をしてやるぞ」
ベイ・ガウザーは巨馬から降り立ち、ランスロットに向き合い巨大なソードを構えた
「うあっ!?」
ランスロットはベイ・ガウザーと向き合った瞬間、蛇に睨まれた蛙(カエル)の様に硬直した。彼なりに剣技を磨いてきたその経験が、目の前の男に勝てる可能性が限りなくゼロだと告げてきたのだ。それはユーカにもオーガスにも伝わった
「俺を地面に降ろしたんだ。それなりに頑張ってくれよ」
ベイ・ガウザーはその手の大剣を振り降ろした!ランスロットは足が動かなかった
「我が手に集まれ雷の子らよ。立ち塞がる敵を貫け……雷光柱(ジャムルエッヂ)!」
ミントスが放った雷がベイに命中した
「うおぉっ!【光紫撃閃(スターライトセイバー)】」
ミントスの魔法に追撃する様に、ベイ・ガウザーに襲いかかる優輝
「バキィ!」
しかし、2段構えの攻撃もベイには効いていなかった。優輝の剣撃は軽くあしらわれミントスの雷撃に関しては回避もせず、直撃したのだがダメージになっていなかった。攻撃力、防御力ともに圧倒的な高さを誇るベイ・ガウザー
「ふん!王都クラウンで3ヶ月前、異世界勇者を召喚したと言うから…戦える日を楽しみにしていたが……この程度か!」
【対ヴァンパイア】
「んぎぃ!ちょこまかと鬱陶しい小娘どもがぁっ!…いでよ、魔操機兵!」
吸血鬼伯爵は距離を取り自らの血で魔法陣を描くと、ソコに召喚魔法を展開した。魔法陣が光り輝くと、ソコから5メートル程の鉄製のロボットの様な物が姿を現した
「おやっ?お呼びですか?」
ロボットの頭部のハッチが開くと、中から1人の人間が現れた
「あっ!アイツは!」x3
三姉妹は揃って声を上げた。見覚えのある男だった。ヒイロに拾われた頃、三姉妹の絆を深める為に温泉宿に連れてってもらった帰りに、襲撃してきた「ケヌマ・ロウヤ」だった
「おやっ!おやおやおや…あー!思い出した!貴様らヒイロと一緒に居たガキ共か!」
だいぶ前にヒイロを昔からライバル視していた、同じ鍛冶屋を目指していた男だった。あの夜、襲って来たのをヒイロに返り討ちにされて保安隊に捕まったハズの男だった
「またしても貴様らか!…ん?ヒイロは居ないのか?まぁ良い!貴様らの生首を後でヒイロの前に並べてやろうじゃねーか!」
こんな局面で昔あしらった害虫が、再び三姉妹の前に立ちはだかった!
続く
「…ちっ!遅かったようね…もう始まってるわ」
「なんだって!?」
馬を操るミントスは前方に見えてきたイシスで既に、戦闘の火の手が上がっているのを確認した
「どうするの優輝?イシス側が、かなり押されている感じだけど…」
「もちろん助けに行くに決まっている!」
純粋に【正義・友情・勝利】を信じている異世界転移勇者の優輝は迷わず返答した
「ただ、危なくなったら…どうにもならない様なら…撤退する…ミントス、ミクイ、ボクをサポートしてくれ!」
「ハイハイ、死なない程度にね。わたしゃ、まだ死ぬ気はないからね。ヤバくなったら首根っこ捕まえてでも離脱するからね!」
口は悪いが、直訳すれば…ミントスは優輝をしっかりサポートしてくれるようだ
「悪いですが…ミクイは助けませんよ…アサシンですからね…好きにやらせてもらうから」
「分かった、それでイイ!」
【イシス攻防戦】
ヴァンパイア達とアドル達の戦いは数的有利もあり、アドル達の方がやや優勢だった。が、それ以外での戦闘は…
「くうっ!…この馬、なんて凶暴なのよ!」
「ユーカ、上だ!回避しろ!」
ユーカが果敢に【デストロイユニコーン】に挑んで行くが、頭部の一角からは雷撃が飛んでくるし、巨馬のブレスは強烈な風圧で襲ってくるうえに、魔法耐性のある体毛と鉄のような肉体に阻まれマトモにダメージが与えられない
「きゃっ!…くぅぅ、あっぶないわねー!」
かと言って巨馬にかまい過ぎると、馬上のベイ・ガウザーから剣圧や魔法を撃たれてしまう
カルーアとサーシャがヴァンパイア側に回った事で、第2部隊と共に戦っているユーカ達は大苦戦していた
第2部隊もベイ・ガウザーの側近とも戦わなければならないので、圧倒的に戦力不足だった
「くそぅ、こんな所で…」
「おい!後ろだ!」
第2部隊の騎士が善戦していたが、背後のミノタウロスが振り上げた斧に斬られそうになった
が、突然ミノタウロスの脇腹が裂けて出血し、その場に倒れて悶絶した
「なんだ!?味方は居なかったのに…」
それはカモフラージュで姿を消しているアサシン【ミクイ】の攻撃によるものだった!彼女は対巨体生物用の猛毒を刃に塗り、密かに敵を攻撃して廻っている。味方にも敵にも気取られないまま、少しずつ敵を倒していた
「ギョブアァァァァ!!!」
【デストロイユニコーン】は、耳が痛くなる程の音量で咆哮した。口から放たれた風圧弾がユーカを襲った
「光糸細工(シークェット)!」ユーカの足に光の糸が絡まり、一瞬で彼女をチェイムの方へ引っ張った!
先程までユーカが居た場所が、風圧弾の強さでめくれ上がった後に吹き飛んでいた。チェイムに引き寄せられなかったら、ユーカはその爆風に飲み込まれていただろう
「ちょっとぉ!急に引っ張らないでよ!…パンツ見えちゃったじゃないの!」
「……それどころじゃ…なかったですよ(汗)」
チェイムの機転で助かったユーカだが【デストロイユニコーン】をどうにかしないと、ベイ・ガウザーと戦う事すら出来ない状況だった。巨馬は逃げたユーカの方を見つめる
しかし、巻き上げた爆風の影からランスロットが走り詰めた
「くらえっ!」
ランスロットは懐から出した毒針を2本【デストロイユニコーン】の右前脚に突き刺した!
毒針は持ち手側に手のひらサイズの球体が付いていて、鋭利な反対側を獲物に突き刺すと球体部分の中に入っている毒が、獲物の体内に入っていく構造になっている
「ダメージにはなりませんが、しばらく経てば動きはかなり鈍る筈です」
ランスロットの速度と器用さを活かした攻撃だった。だが、これでベイ・ガウザーに対抗出来ると思われた
「流石ねランスロット!姑息な手を使わせたら、かなりの物ね!」
「姫様…出来たら喜べる様に褒めてくださいよぉ…」
こんな緊迫した場面でも、ユーカの態度に大きな差はないようだ
「ふむ…貴様、やるではないか!良いだろう、相手をしてやるぞ」
ベイ・ガウザーは巨馬から降り立ち、ランスロットに向き合い巨大なソードを構えた
「うあっ!?」
ランスロットはベイ・ガウザーと向き合った瞬間、蛇に睨まれた蛙(カエル)の様に硬直した。彼なりに剣技を磨いてきたその経験が、目の前の男に勝てる可能性が限りなくゼロだと告げてきたのだ。それはユーカにもオーガスにも伝わった
「俺を地面に降ろしたんだ。それなりに頑張ってくれよ」
ベイ・ガウザーはその手の大剣を振り降ろした!ランスロットは足が動かなかった
「我が手に集まれ雷の子らよ。立ち塞がる敵を貫け……雷光柱(ジャムルエッヂ)!」
ミントスが放った雷がベイに命中した
「うおぉっ!【光紫撃閃(スターライトセイバー)】」
ミントスの魔法に追撃する様に、ベイ・ガウザーに襲いかかる優輝
「バキィ!」
しかし、2段構えの攻撃もベイには効いていなかった。優輝の剣撃は軽くあしらわれミントスの雷撃に関しては回避もせず、直撃したのだがダメージになっていなかった。攻撃力、防御力ともに圧倒的な高さを誇るベイ・ガウザー
「ふん!王都クラウンで3ヶ月前、異世界勇者を召喚したと言うから…戦える日を楽しみにしていたが……この程度か!」
【対ヴァンパイア】
「んぎぃ!ちょこまかと鬱陶しい小娘どもがぁっ!…いでよ、魔操機兵!」
吸血鬼伯爵は距離を取り自らの血で魔法陣を描くと、ソコに召喚魔法を展開した。魔法陣が光り輝くと、ソコから5メートル程の鉄製のロボットの様な物が姿を現した
「おやっ?お呼びですか?」
ロボットの頭部のハッチが開くと、中から1人の人間が現れた
「あっ!アイツは!」x3
三姉妹は揃って声を上げた。見覚えのある男だった。ヒイロに拾われた頃、三姉妹の絆を深める為に温泉宿に連れてってもらった帰りに、襲撃してきた「ケヌマ・ロウヤ」だった
「おやっ!おやおやおや…あー!思い出した!貴様らヒイロと一緒に居たガキ共か!」
だいぶ前にヒイロを昔からライバル視していた、同じ鍛冶屋を目指していた男だった。あの夜、襲って来たのをヒイロに返り討ちにされて保安隊に捕まったハズの男だった
「またしても貴様らか!…ん?ヒイロは居ないのか?まぁ良い!貴様らの生首を後でヒイロの前に並べてやろうじゃねーか!」
こんな局面で昔あしらった害虫が、再び三姉妹の前に立ちはだかった!
続く
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