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冒険と成長の三姉妹
誓いの丘
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【ヒイロの工房】
「あの…昨日のカレー(に近い物)…沢山作ったから…お昼も同じなんです…すいません…」
ミルは同じ食事が続く事を、申し訳なさそうに言ってきた。ヒイロは、そんなミルの頭を優しく撫でた
「食べやすくて美味しいから、全然気にすることないよ。ありがとうな」
改めてヒイロの優しさを感じたミルは、少し顔を赤らめていた
「それなら林檎をすりおろして混ぜてみてはどうだい?新しいアクセントが付いて、ひと味違う美味しさになるんじゃないかな?」
「それは…良いですね!」
野菜や果物に詳しい、エルフであるカルーアならではのナイスなアドバイスだ
………………………………………
フルーツカレーが出来上がる頃、サーシャとエリエスが商業ギルドから大量の修理依頼品を抱えて帰宅した
「お、おう…予想はしていたが…これまた凄い数だな…3ヶ月くらいは仕事漬けになるか?…」
「そうなんですの…とても重かったですの!…って、それどころじゃないですの!」
「そうなんです!お姉様とアドルさんが港町トーバに滞在していると。ギルド通信魔法で連絡が入りましたわ」
「……トーバか、遠いな」
「そうなんですの?」
「俺達の住む【ヘルメスの街】から南西に約300km程の位置に湖に囲まれた【ドルアーガ王国】がある
【港町トーバ】はその東側にある小さな街だ
そこから、ヘルメスに帰るとすると…そのほぼ中間地点にある【イシス王国】に、立ち寄ると考えるべきだろうな」
「イシス…アドルさんが、英雄と呼ばれるようになる活躍をした場所だね」
「その距離を往復するとなると…かなりの日数がかかりますわね…少なくとも2週間は…」
エリエスのその言葉に皆は考え込んだ。ヒイロがテーブルを押し込むように立ち上がった
「良し、俺も行こう!」
「駄目だよ、兄さん!!」
ヒイロの提案をカルーアは即座に遮るように否定した
「どうしてですの?お兄様が居れば、馬車での移動が出来て早く行けるのに…」
「今回は早くて半月、下手したらそれ以上の日数が必要だろうね。そんな長期間、冒険者から必要とされてる鍛冶師が居なくなったら冒険者達が困るだろう?それに、既にその数の依頼品があるんだよ?」
カルーアが指さした先には、サーシャとエリエスが持ち帰った依頼品が山の様に積まれている
「そうですわね、お爺さまの所に全部持ち込まれても困りますし…」
「今日は旅の準備をして明日の朝、出発すると言う事でどうかな?」
カルーアの意見が選ばれカルーア、サーシャ、エリエスの3人でアリス達を迎えに明日の朝、出発する事になった
【誓いの丘】
アリスはアドルに手を引かれ丘の上にやって来た。澄み渡った空気と小鳥のさえずりが2人を迎えた
「ふわぁっ!良い景色ねぇ!」
青い空、緑の草原、所々に遺跡の跡の様な物が残る丘だった
「うん良い景色だね、恋人同士がデートに来るには最高の場所だね!」
アドルは敢えて「恋人」というワードを入れてみたが、景色の素晴らしさに魅入られているアリスはソレに気がつけなかった
「ねぇねぇ、向こうに大きな湖が見えるよぉ」
「たぶんアレが、店員さんが言ってた【ドルアーガ王国】なんじゃないかな?」
湖と言うにはあまりに広い湖であり、その中央に切り株のような崖の上に、ひとつの王国がある様に見える
「あの国にはどうやって行くんだろうねぇ?」
「ほら、向こうに大きな橋が見えるよ。恐らく通行手段はあの橋だけみたいだね」
巨大な湖の中央部にそびえ立つ陸地!その上に栄える【ドルアーガ王国】は、特にアリスに強い好奇心を芽生えさせていた
「でもボク達は【ヘルメス】に帰らないとね。アリスの家族もキミの帰りを、待っているんだろう?」
「はっ!?そうだったぁ…観光に行くのは、またの機会だねぇ」
観光を終えた彼らは宿屋に戻った
【宿屋】
「湖でとれた魚介類がメインのコース料理になります。ごゆっくり味わってくださいね」
宿屋の看板娘が運んでくれたコース料理は、小さめなこの街にしては、かなり豪勢な料理だ
「これは凄い豪華な食事ねぇ…あっ!アドルさんが有名人だからサービスしてくれたのかなぁ?」
「どうだろうね?…ところでさ、ひとつお願いしたい事があるんだけど、良いかな?」
「なぁにぃ?」
そう言うとアドルは目を閉じ「はい、あーん」の体勢をとった
「ふぇっ!?こ、これは…恋人がすると言う、あれなのぉ…」
たじろぐアリスを他所に、アドルは口を開けて待っている
「は、はい、あーん…」
刺し身の切り身を頬張り満足気なアドル
「ねぇアリス…これからも僕と一緒に行ってくれるかい?」
「…もちろんよ…ずっと…ついて…イクわ!」
アリスはヘルメスの街に帰るまでだと思い返事をしたのだが…
続く
「あの…昨日のカレー(に近い物)…沢山作ったから…お昼も同じなんです…すいません…」
ミルは同じ食事が続く事を、申し訳なさそうに言ってきた。ヒイロは、そんなミルの頭を優しく撫でた
「食べやすくて美味しいから、全然気にすることないよ。ありがとうな」
改めてヒイロの優しさを感じたミルは、少し顔を赤らめていた
「それなら林檎をすりおろして混ぜてみてはどうだい?新しいアクセントが付いて、ひと味違う美味しさになるんじゃないかな?」
「それは…良いですね!」
野菜や果物に詳しい、エルフであるカルーアならではのナイスなアドバイスだ
………………………………………
フルーツカレーが出来上がる頃、サーシャとエリエスが商業ギルドから大量の修理依頼品を抱えて帰宅した
「お、おう…予想はしていたが…これまた凄い数だな…3ヶ月くらいは仕事漬けになるか?…」
「そうなんですの…とても重かったですの!…って、それどころじゃないですの!」
「そうなんです!お姉様とアドルさんが港町トーバに滞在していると。ギルド通信魔法で連絡が入りましたわ」
「……トーバか、遠いな」
「そうなんですの?」
「俺達の住む【ヘルメスの街】から南西に約300km程の位置に湖に囲まれた【ドルアーガ王国】がある
【港町トーバ】はその東側にある小さな街だ
そこから、ヘルメスに帰るとすると…そのほぼ中間地点にある【イシス王国】に、立ち寄ると考えるべきだろうな」
「イシス…アドルさんが、英雄と呼ばれるようになる活躍をした場所だね」
「その距離を往復するとなると…かなりの日数がかかりますわね…少なくとも2週間は…」
エリエスのその言葉に皆は考え込んだ。ヒイロがテーブルを押し込むように立ち上がった
「良し、俺も行こう!」
「駄目だよ、兄さん!!」
ヒイロの提案をカルーアは即座に遮るように否定した
「どうしてですの?お兄様が居れば、馬車での移動が出来て早く行けるのに…」
「今回は早くて半月、下手したらそれ以上の日数が必要だろうね。そんな長期間、冒険者から必要とされてる鍛冶師が居なくなったら冒険者達が困るだろう?それに、既にその数の依頼品があるんだよ?」
カルーアが指さした先には、サーシャとエリエスが持ち帰った依頼品が山の様に積まれている
「そうですわね、お爺さまの所に全部持ち込まれても困りますし…」
「今日は旅の準備をして明日の朝、出発すると言う事でどうかな?」
カルーアの意見が選ばれカルーア、サーシャ、エリエスの3人でアリス達を迎えに明日の朝、出発する事になった
【誓いの丘】
アリスはアドルに手を引かれ丘の上にやって来た。澄み渡った空気と小鳥のさえずりが2人を迎えた
「ふわぁっ!良い景色ねぇ!」
青い空、緑の草原、所々に遺跡の跡の様な物が残る丘だった
「うん良い景色だね、恋人同士がデートに来るには最高の場所だね!」
アドルは敢えて「恋人」というワードを入れてみたが、景色の素晴らしさに魅入られているアリスはソレに気がつけなかった
「ねぇねぇ、向こうに大きな湖が見えるよぉ」
「たぶんアレが、店員さんが言ってた【ドルアーガ王国】なんじゃないかな?」
湖と言うにはあまりに広い湖であり、その中央に切り株のような崖の上に、ひとつの王国がある様に見える
「あの国にはどうやって行くんだろうねぇ?」
「ほら、向こうに大きな橋が見えるよ。恐らく通行手段はあの橋だけみたいだね」
巨大な湖の中央部にそびえ立つ陸地!その上に栄える【ドルアーガ王国】は、特にアリスに強い好奇心を芽生えさせていた
「でもボク達は【ヘルメス】に帰らないとね。アリスの家族もキミの帰りを、待っているんだろう?」
「はっ!?そうだったぁ…観光に行くのは、またの機会だねぇ」
観光を終えた彼らは宿屋に戻った
【宿屋】
「湖でとれた魚介類がメインのコース料理になります。ごゆっくり味わってくださいね」
宿屋の看板娘が運んでくれたコース料理は、小さめなこの街にしては、かなり豪勢な料理だ
「これは凄い豪華な食事ねぇ…あっ!アドルさんが有名人だからサービスしてくれたのかなぁ?」
「どうだろうね?…ところでさ、ひとつお願いしたい事があるんだけど、良いかな?」
「なぁにぃ?」
そう言うとアドルは目を閉じ「はい、あーん」の体勢をとった
「ふぇっ!?こ、これは…恋人がすると言う、あれなのぉ…」
たじろぐアリスを他所に、アドルは口を開けて待っている
「は、はい、あーん…」
刺し身の切り身を頬張り満足気なアドル
「ねぇアリス…これからも僕と一緒に行ってくれるかい?」
「…もちろんよ…ずっと…ついて…イクわ!」
アリスはヘルメスの街に帰るまでだと思い返事をしたのだが…
続く
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