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サラサラと溢れ落ちた白金の横髪。そっと手を伸ばし、その横髪を指で梳きながらハイジの耳に掛ける。

「……さくら」

いつになく、甘っとろい声。
その手を掴んだハイジが目を伏せ、そっと自身の唇に引き寄せる。

「マジで可愛いな、お前……」

そう囁いたハイジが、そっと僕の指先に口付ける。


「──!」


触れた所から広がる、甘い痺れ。
まるでお姫様みたいな扱いに、胸の奥が柔らかく疼く。


……好きだよ、ハイジ。

あの日──初めて参加したゲイパーティーで、僕を見つけてくれて……嬉しかった。

もし、ハイジと出会ってなかったら……きっと僕は、今でもあの狭くて暗い世界に踞るだけの日々を過ごしていたと思う。

ハイジはいつも、真っ直ぐ僕だけを見てくれた。沢山の愛情を、注いでくれた。
この世の中には、まだ僕の知らない世界があるんだよって……教えてくれた。

この半年間、楽しかったよ。
ハイジと同じ景色を見られて……凄く幸せだった。

「……」

だから、離れたくない。
この先もずっと、一緒にいられたらよかったのに。

どうして……僕にとって大切な人は、突然居なくなっちゃうんだろう。
……どうして、こんな目に遭わなくちゃいけないの……?


「………泣くなって」

そう言って少しだけ笑ってみせるハイジが、涙の珠を下瞼の縁に浮かべる。

「ごめんな。オレがヘマなんてしなきゃ……離れずに済んだのにな」
「……」
「三ヶ月だ」

……三ヶ月……

それまで漠然としていた未来が、ハッキリと輪郭を帯びる。
その途端、寒空の下、雪が降り続く中を二人で笑いながら手を繋いで歩く姿が脳裏に浮かぶ。

「……」

三ヶ月で、またハイジと一緒にいられる……

ハイジをじっと見つめていれば、掴んでいた僕の手を離し、その指先で僕の前髪をそっと掻き分ける。

「早くて、三ヶ月だって言われてる。……戻ったら真っ先に、迎えに行くから」
「……」
「心配、すンな……」

晒された額にそっと落とされるキス。
柔らかくて、熱くて……擽ったくて。
軽く目を閉じれば、目頭に溜まって出来た涙の雫を、ハイジの唇が触れて、そっと吸い取られる。

「……」


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