23 / 89
23話 自覚
しおりを挟む
「えぇ……町下さんは家庭の事情で少しの間お休みのことです」
ゴールデンウィークが開けた初日。先生が教室の前でそんな話をした。
俺はゴールデンウィーク初日からあんな事があり、どうも遊ぼうという気が起こらなかったため、結局家でグウタラしていた。
瑠魅も少しの間一人になりたいと言っていたので、結局ゴールデンウィーク中は一度も家に行ってない。
まぁ、俺が瑠魅の声を聞きたくて夜中に毎日電話掛けてたけど……。まぁ、ゴールデンウィークの終盤では元気になっていたし、そこまで心配するような状況じゃない……はずだ。
「心配だな。大丈夫だと思うか?」
「海斗……なんか久々だな」
「そりゃな。いつもなら一週間以上合わないなんて有り得ないからな。で、体調はもう大丈夫なのか?」
「まだ、ちょっと治ってないけど、大丈夫だ」
精神的に参ってる理由をそのまま告げる訳にはいかなかったから、風邪に掛かったと言っておいた。
実際に次の日に熱出たし嘘では無い。精神的に疲労していたせいだと思う。
「俺、お見舞い行こうかな」
「そう、だな。行ってみるか」
俺も瑠魅には会いたいし。はぁ……好きだって本人の前で言えれば良いんだけどな。
どうも瑠魅の俺に向けるものは、恋愛とは違うもの……強いて言えば親愛?
多分、今告白したところで答えは分かりきってる。瑠魅は優しいからワンチャンあるかもだけど……それは違う気がする。
まだ、百パーセント成功すると言えないこの状況で告白はしたくない……。チキンと言われようとも告白する勇気が出ねぇんだよ。
「二人とも、瑠魅ちゃんの家に行くの?」
そう声を掛けてきたのは冬華だった。
「バイトは良いのか?」
「ん?だって私の家がやってるお店だしね。ただのお小遣い稼ぎだから大丈夫だよ」
「そうか。で、海斗も大丈夫なのか?お前だってあそこでバイトしてるだろ?」
「まぁ、一日ぐらいな大丈夫だろ」
「そうか?なら良いけど」
俺は席を立ってズボンのポケットに手を突っ込み、ポケットの中でスマホを握って教室を出た。
この学校は基本的にスマホを持ってきても良いし、昼休みなら自由に使って良いとすらなってる。
でも、昼まで待てない。まだ一時間目すらもやってないのに、瑠魅の声が聞きたいなんてな。
これが依存か。だとしたらかなりヤバいな。
まぁ、冗談は置いておこう。瑠魅の声を聞きたいの確かだけど、今すぐという訳でもない。
ただ、ちょっとした要件があるだけだ。今の瑠魅は前に比べて元気になったけど、人とちゃんと会話ができるか分からないからな。
瑠魅の家に行っても良いかどうかすらも分からない。さすがに許可なく行けないからな。
俺はトイレの個室に入ってポケットから手を出した。
俺は瑠魅のスマホに電話をかけた。
『……もしもし?』
たったの三コールで電話に出てくれた。どうやら休みと言えど寝てはいないようだ。
俺だったらもっと寝てるんだけどな。さすがは瑠魅だな。
「今日さ。瑠魅の家に行っても良いかな?」
『ん……良いよ』
「そうだ。他にも連れて行って良いかな?」
『………ワガママ言っても良い?』
「なに?」
急にどうしたのだろうか?やはり、大人数となると厳しいのかな?
それとも、何か買ってきて欲しいとかかな?
『蓮翔一人じゃ……ダメ?』
「っ……!!」
グハッ!!そんな甘えるような声を至近距離で聞いたら……幸せすぎて死ぬ。
『まだ他の人とはしっかりと会話できそうになくて……』
「う、うん。そういう事なら……」
なんだが、本当に瑠魅は変わったな。
~~~~~~~~~~~~
次回は、これからも登場する人物たち(全員が主要人物ではありません)の登場人物紹介も一緒に投稿します。
登場人物紹介に関しましては、作者が登場人物の確認などを行うためです。登場人物の特徴を忘れていたりすると、読みにくいと思うので……。
なお、物語には一切関与しませんので、読まなくても大丈夫です。
誤字脱字、質問や感想等ありましたら気軽にコメントお願いします。
ゴールデンウィークが開けた初日。先生が教室の前でそんな話をした。
俺はゴールデンウィーク初日からあんな事があり、どうも遊ぼうという気が起こらなかったため、結局家でグウタラしていた。
瑠魅も少しの間一人になりたいと言っていたので、結局ゴールデンウィーク中は一度も家に行ってない。
まぁ、俺が瑠魅の声を聞きたくて夜中に毎日電話掛けてたけど……。まぁ、ゴールデンウィークの終盤では元気になっていたし、そこまで心配するような状況じゃない……はずだ。
「心配だな。大丈夫だと思うか?」
「海斗……なんか久々だな」
「そりゃな。いつもなら一週間以上合わないなんて有り得ないからな。で、体調はもう大丈夫なのか?」
「まだ、ちょっと治ってないけど、大丈夫だ」
精神的に参ってる理由をそのまま告げる訳にはいかなかったから、風邪に掛かったと言っておいた。
実際に次の日に熱出たし嘘では無い。精神的に疲労していたせいだと思う。
「俺、お見舞い行こうかな」
「そう、だな。行ってみるか」
俺も瑠魅には会いたいし。はぁ……好きだって本人の前で言えれば良いんだけどな。
どうも瑠魅の俺に向けるものは、恋愛とは違うもの……強いて言えば親愛?
多分、今告白したところで答えは分かりきってる。瑠魅は優しいからワンチャンあるかもだけど……それは違う気がする。
まだ、百パーセント成功すると言えないこの状況で告白はしたくない……。チキンと言われようとも告白する勇気が出ねぇんだよ。
「二人とも、瑠魅ちゃんの家に行くの?」
そう声を掛けてきたのは冬華だった。
「バイトは良いのか?」
「ん?だって私の家がやってるお店だしね。ただのお小遣い稼ぎだから大丈夫だよ」
「そうか。で、海斗も大丈夫なのか?お前だってあそこでバイトしてるだろ?」
「まぁ、一日ぐらいな大丈夫だろ」
「そうか?なら良いけど」
俺は席を立ってズボンのポケットに手を突っ込み、ポケットの中でスマホを握って教室を出た。
この学校は基本的にスマホを持ってきても良いし、昼休みなら自由に使って良いとすらなってる。
でも、昼まで待てない。まだ一時間目すらもやってないのに、瑠魅の声が聞きたいなんてな。
これが依存か。だとしたらかなりヤバいな。
まぁ、冗談は置いておこう。瑠魅の声を聞きたいの確かだけど、今すぐという訳でもない。
ただ、ちょっとした要件があるだけだ。今の瑠魅は前に比べて元気になったけど、人とちゃんと会話ができるか分からないからな。
瑠魅の家に行っても良いかどうかすらも分からない。さすがに許可なく行けないからな。
俺はトイレの個室に入ってポケットから手を出した。
俺は瑠魅のスマホに電話をかけた。
『……もしもし?』
たったの三コールで電話に出てくれた。どうやら休みと言えど寝てはいないようだ。
俺だったらもっと寝てるんだけどな。さすがは瑠魅だな。
「今日さ。瑠魅の家に行っても良いかな?」
『ん……良いよ』
「そうだ。他にも連れて行って良いかな?」
『………ワガママ言っても良い?』
「なに?」
急にどうしたのだろうか?やはり、大人数となると厳しいのかな?
それとも、何か買ってきて欲しいとかかな?
『蓮翔一人じゃ……ダメ?』
「っ……!!」
グハッ!!そんな甘えるような声を至近距離で聞いたら……幸せすぎて死ぬ。
『まだ他の人とはしっかりと会話できそうになくて……』
「う、うん。そういう事なら……」
なんだが、本当に瑠魅は変わったな。
~~~~~~~~~~~~
次回は、これからも登場する人物たち(全員が主要人物ではありません)の登場人物紹介も一緒に投稿します。
登場人物紹介に関しましては、作者が登場人物の確認などを行うためです。登場人物の特徴を忘れていたりすると、読みにくいと思うので……。
なお、物語には一切関与しませんので、読まなくても大丈夫です。
誤字脱字、質問や感想等ありましたら気軽にコメントお願いします。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
さよなら私のエーデルワイス〜侍女と騎士の初恋〜
佐原香奈
恋愛
小さな村で幼馴染として育ったエマとジャン。小さい頃からジャンは騎士を目指し、エマはそれを応援していた。
ジャンは成人する年、王都で開かれる各地の騎士団採用試験として行われるトーナメント戦に出場するため、村を出た。
一番の夢であった王立騎士団入団は叶えられなかったものの、辺境伯家の騎士団に入団することになったジャンは、胸を張ってエマを迎えに行くために日々鍛錬に励んでいた。
二年後、成人したエマは、ジャンが夢を叶える時に側にいたいと、ジャンの夢の舞台である王立騎士団で侍女として働くことになる。しかし、そこで待ち受けていたのは、美しい女性と頻繁にデートするジャンの姿だった。
果たされなかった約束
家紋武範
恋愛
子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。
しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。
このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。
怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。
※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
貴方の事を愛していました
ハルン
恋愛
幼い頃から側に居る少し年上の彼が大好きだった。
家の繋がりの為だとしても、婚約した時は部屋に戻ってから一人で泣いてしまう程に嬉しかった。
彼は、婚約者として私を大切にしてくれた。
毎週のお茶会も
誕生日以外のプレゼントも
成人してからのパーティーのエスコートも
私をとても大切にしてくれている。
ーーけれど。
大切だからといって、愛しているとは限らない。
いつからだろう。
彼の視線の先に、一人の綺麗な女性の姿がある事に気が付いたのは。
誠実な彼は、この家同士の婚約の意味をきちんと理解している。だから、その女性と二人きりになる事も噂になる様な事は絶対にしなかった。
このままいけば、数ヶ月後には私達は結婚する。
ーーけれど、本当にそれでいいの?
だから私は決めたのだ。
「貴方の事を愛してました」
貴方を忘れる事を。
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
初恋の呪縛
緑谷めい
恋愛
「エミリ。すまないが、これから暫くの間、俺の同僚のアーダの家に食事を作りに行ってくれないだろうか?」
王国騎士団の騎士である夫デニスにそう頼まれたエミリは、もちろん二つ返事で引き受けた。女性騎士のアーダは夫と同期だと聞いている。半年前にエミリとデニスが結婚した際に結婚パーティーの席で他の同僚達と共にデニスから紹介され、面識もある。
※ 全6話完結予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる