余命1年の君に恋をした

パチ朗斗

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12話 合流

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「うわぁあ!?」

「なんだ?」

  トイレの方から大きな声がしたぞ?多分、陽斗だろうけど、何があったんだ?

「蓮、トイレにエロ本はさ」

「お前は取り敢えずその思考をどうにかしろ」

  今どき買ってるヤツ居ねぇだろ。少なくとも、知人がいる店でエロ本買える奴はいない筈だ。

  はぁ、折角ソファに座って疲れを癒していたのに……。迷惑なやつだな。

  俺はゆっくりと腰を上げて廊下の方へと向かった。

  俺がドアに手をかけると、先にドアが開いた。

「聞いてくれよ!姫乃達が今からこっち来るってよ!」

「「「……………は?」」」

  みんな同じ反応だった。驚きとかよりも先に思い浮かんだのは、なんで?だった。

  そりゃそうだ。確かにさっき姫乃とはあったけど、別に合流云々の話ではなかった……よな?

「俺、帰っても良き?」

  亮が後ろでそんな事を言った。

「いや、そこまでじゃないだろ?お前だって姫乃とかとは話せんじゃん」

  海斗が何とか亮を引き留めようと口を開く。

海斗ほこたて。俺とあの人たちとのコミュニケーションは、もはや会話じゃないんだ。俺があいずちを打つ前には既に話は終わってるんだ。俺は愚痴とかを聞く人形じゃないんだ」

「亮………」

  その瞬間、俺を含めた三人は亮に対して哀れみを含んだ視線を向けた。

  なんというか、想像以上に可哀想だった、とだけは言える。

「けど、せっかくみんな集まったし……」

  今年のゴールデンウィークもみんなで過ごしたいんだ。まぁ、その計画を立てるのは別に今日じゃなくても良いのだろうけど。

  けど、やはり早く決めた方が準備とかもできるし、色々と得なような気がするだよな。

「おっと、そんなごちゃごちゃ言ってる暇はねぇぞ?なんて言ったって、俺にそのメッセージが来た時には既に桜の木が見えるとこまで来てたらしいからな」

「「「……………」」」

「な、なんだよ?」

  はぁ……。人の家のトイレで篭ってたと思ったら、今度は手遅れだと?

「報告が遅ぇよ。亮の顔を見ろよ」

「あちゃぁ……これは予想外だ」

「それは同感だ」

  話をするのと聞くのでは訳が違うからな。亮にとってはそのどちらでもないようだけど。

「ここまで来たらもう腹をくくれ」

「………俺、頑張るぜ」

  もはや死んだ魚の目をしながら笑顔を向けてきた。

「どうにかなら………」

ピンポーン

  俺の言葉を遮るように音が鳴った。どうやら、既に来てしまったようだ。

「はぁ……ファイト、としか言えねぇよ」

  俺は玄関に向かった。少しの疑問を抱えながらドアを開けると、目の前には姫乃が居た。

「さっきぶりだね、蓮君」

「そうだな」

  後ろには瑠魅と冬華と里香りかあんの四人が居た。勢揃いじゃねぇか。

  ちなみに里香と杏は少し面識がある程度だ。確か、クラスが違った気がする。

「まぁ、立ち話もなんだし……上がるか?」

「そうだねぇ。じゃあお邪魔するね」

  そう言って姫乃、瑠魅、冬華、里香、杏の順に家に上がった。俺はリビングのドアを開けて中に招き入れた。

「あれ?陽斗君は?」

「アイツらは……どっかに居るだろ」

  どうやら陽斗と海斗は、亮を連れてどこかに隠れたようだ。まぁ、この部屋から出るの無理があるか……じゃあ、キッチンとかか?

「お前らは適当に座っててくれ。俺は残りのヤツらを探してくるわ」

  瑠魅が若干ソワソワしていた。まぁ、俺の家に来たら基本的に俺の部屋に来るからな。慣れてないというか、違和感があるのだろう。

  あれ?ちょっと待てよ……。俺は確か、瑠魅に告るって決めてずっとひよってて、ここまで来てたんだよな?

  何やかんやで変な関係性のままだったけど……。これ、まずいよな?俺の決心はどこに行ったねん。

  いや、まぁ、ね?頭の片隅にはいるんだよ。ただ、臆病で奥手の俺には難易度がちと高ぇんだわ。それだけです、はい。

  俺は考えたくもないことを思い出した。それを振り払うように、少し急ぎ足キッチンにへと移動した。まぁ、そんな遠くないと言うか、すぐ近くにキッチン、あるんだけどね。

  だが、実際に三人を見つけた場所は玄関だった。玄関からドアを開ける音がしたので行ってみたら、三人が居た。

  どうやら、キッチンのドアから出て家に入ろうとしたらしい。そのまま俺をとり残して、どっかに行ったら単純に悲しくなってたわ。
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