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13話 計画
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「で、何用で家に?」
女子と男子が対面するようにソファに座っている。合コンみたいだ。まぁ、合コンがどんなもんかなんて知らねぇけど。
まぁ、そんなことはどうだって良い。問題はなんで来たんだってことだからな。
俺は真剣な眼差しで姫乃を見る。それに対して姫乃は明るく応えた。
「瑠魅ちゃんがね。なんでか蓮君と──」
と、何かを言いかけて姫乃は口を閉ざした。
「どうした?」
「ううん。なんでもないよ」
瑠魅の名前が聞こてた気がしたんだが?それに、俺の名前も……。気のせい、かな?まぁ、わざわざ俺の家に来る意味は無いしな。
「そろそろゴールデンウィークでしょ?だからみんなで計画を立てようかなって」
「そうか……」
そこでふと、俺の脳裏に一つの可能性がよぎる。
「まさか……みんなって言うのは、俺らも含むのか?」
もしかしたら、ただ俺の家で話し合いという可能性も……。
「ん?何当たり前のこと言ってるの?今年はここに居るみんなで遊ぼうよ」
ですよねぇ……。そりゃそうだよ。
その返事を聞いた俺は、ちらっと横を見る。俺の横には、無表情の亮が居た。
亮は女子の事が苦手なだけで嫌いな訳じゃないから、逆に複雑なのだろう。
「亮、大丈夫か?」
「そうだね。頑張らせてもらうよ」
俺らは顔を寄せてコソコソ話のように会話した。この会話は、さすがに女子に聞かれる訳にはいかない。
聞かれたら変な空気になるだろうし。
「で、姫乃たちはなんか予定あるのか?」
「特には無いよ。だから今から考えようよ」
それから、俺たちは各々やりたい事などを挙げていった。
始めは、周りを遠慮して会話が弾まなかったが、時間が経つにつれて、会話が成立し始めてきた。
多分、姫乃の話し方が上手いのだろう。
「よし、こんなもんか?」
俺は紙に大体の予定を書いて中央にあるテーブルに、みんなが見やすいように広げる。
「こう言うのも楽しいな」
予定表を見つめながら陽斗がそんなことを言った。
「ね。予定を立ててる時も楽しいよね」
陽斗の発言に対して杏が相槌をうった。二人はそんなに面識は無かったらしいが、既にかなり仲良くなっている。
やはり陽斗のコミュ力はかなりのものだと再確認させられた。
「ねぇねぇ。また明日も遊び来て良い?」
「え?」
姫乃がそんな事を言うものだから、一瞬だけ場が静まり返った。
「ん?どうしたの、みんな?」
「明日って……」
「明日はさすがに……」
みんなの視線が姫乃に集まる。それもそうだろう。明日は遊べるほどの気力が残るはずがない。
「明日はマラソンだぞ?」
海斗が口を開く。その一言で、無邪気な顔をしていた姫乃に影ができる。
その顔は絶望に染っていた。姫乃は運動の中でも、走る系は特に苦手らしい。
「まぁ、あれだ。マラソンが終われば二日後にゴールデンウィークの始まりだしさ」
俺は取り敢えず姫乃を励ました。まぁ、この程度でどうこうなるかは知らないけど。
「そ、そうだね。じゃあ今日は帰ろうかな」
その一言でみんな立ち上がった。俺も見送りぐらいはしようと思い、ソファから立ち上がる。
俺は玄関のドアを開けてみんなを見送る。
「蓮翔」
「ん?っ……ど、どうした、瑠魅?」
後ろから瑠魅の声がしたので振り返ると、意外と距離が近くて驚いた。
少しずつ鼓動が早くなってる気させする。
「明日も来て良い?」
「えっ?」
明日はマラソンしかないから昼飯を食って帰宅出来る。ついでに部活もない。
遊べないことは無いが、遊ぶ気さえ失せるほど辛いのが、この学校のマラソンだ。
だが、俺にとってはそんな事実はどうだって良い。
「な、なんで?」
俺は少し後退りしながらそう聞いた。
なんだが、今の瑠魅を見ていると変な気分になってしまう。不覚にも色っぽいと感じてしまう。
瑠魅はまるで、酒に酔ったかのように頬が色付いており、目もいつもよりトロンとしていた。
「私ね……」
「………」
俺は、心のどこかで期待していた。もしかしたら、俺から告白してこの関係性を無くさなくても良いんじゃないかって。
「ううん。やっぱり何でもないわ。ごめんね?私も行くね、バイバイ」
勢いよくそれだけを言って、その場から去って行った。
みんなの姿が見えなくなると、俺は滑るように地面に座り込んだ。
「………死ぬかと思った」
力無くその場に座り込み、少しの間ボケェとしていた。
「何期待してたんだよ」
俺は吐き捨てるようにそう言って立ち上がり、リビングに戻った。
女子と男子が対面するようにソファに座っている。合コンみたいだ。まぁ、合コンがどんなもんかなんて知らねぇけど。
まぁ、そんなことはどうだって良い。問題はなんで来たんだってことだからな。
俺は真剣な眼差しで姫乃を見る。それに対して姫乃は明るく応えた。
「瑠魅ちゃんがね。なんでか蓮君と──」
と、何かを言いかけて姫乃は口を閉ざした。
「どうした?」
「ううん。なんでもないよ」
瑠魅の名前が聞こてた気がしたんだが?それに、俺の名前も……。気のせい、かな?まぁ、わざわざ俺の家に来る意味は無いしな。
「そろそろゴールデンウィークでしょ?だからみんなで計画を立てようかなって」
「そうか……」
そこでふと、俺の脳裏に一つの可能性がよぎる。
「まさか……みんなって言うのは、俺らも含むのか?」
もしかしたら、ただ俺の家で話し合いという可能性も……。
「ん?何当たり前のこと言ってるの?今年はここに居るみんなで遊ぼうよ」
ですよねぇ……。そりゃそうだよ。
その返事を聞いた俺は、ちらっと横を見る。俺の横には、無表情の亮が居た。
亮は女子の事が苦手なだけで嫌いな訳じゃないから、逆に複雑なのだろう。
「亮、大丈夫か?」
「そうだね。頑張らせてもらうよ」
俺らは顔を寄せてコソコソ話のように会話した。この会話は、さすがに女子に聞かれる訳にはいかない。
聞かれたら変な空気になるだろうし。
「で、姫乃たちはなんか予定あるのか?」
「特には無いよ。だから今から考えようよ」
それから、俺たちは各々やりたい事などを挙げていった。
始めは、周りを遠慮して会話が弾まなかったが、時間が経つにつれて、会話が成立し始めてきた。
多分、姫乃の話し方が上手いのだろう。
「よし、こんなもんか?」
俺は紙に大体の予定を書いて中央にあるテーブルに、みんなが見やすいように広げる。
「こう言うのも楽しいな」
予定表を見つめながら陽斗がそんなことを言った。
「ね。予定を立ててる時も楽しいよね」
陽斗の発言に対して杏が相槌をうった。二人はそんなに面識は無かったらしいが、既にかなり仲良くなっている。
やはり陽斗のコミュ力はかなりのものだと再確認させられた。
「ねぇねぇ。また明日も遊び来て良い?」
「え?」
姫乃がそんな事を言うものだから、一瞬だけ場が静まり返った。
「ん?どうしたの、みんな?」
「明日って……」
「明日はさすがに……」
みんなの視線が姫乃に集まる。それもそうだろう。明日は遊べるほどの気力が残るはずがない。
「明日はマラソンだぞ?」
海斗が口を開く。その一言で、無邪気な顔をしていた姫乃に影ができる。
その顔は絶望に染っていた。姫乃は運動の中でも、走る系は特に苦手らしい。
「まぁ、あれだ。マラソンが終われば二日後にゴールデンウィークの始まりだしさ」
俺は取り敢えず姫乃を励ました。まぁ、この程度でどうこうなるかは知らないけど。
「そ、そうだね。じゃあ今日は帰ろうかな」
その一言でみんな立ち上がった。俺も見送りぐらいはしようと思い、ソファから立ち上がる。
俺は玄関のドアを開けてみんなを見送る。
「蓮翔」
「ん?っ……ど、どうした、瑠魅?」
後ろから瑠魅の声がしたので振り返ると、意外と距離が近くて驚いた。
少しずつ鼓動が早くなってる気させする。
「明日も来て良い?」
「えっ?」
明日はマラソンしかないから昼飯を食って帰宅出来る。ついでに部活もない。
遊べないことは無いが、遊ぶ気さえ失せるほど辛いのが、この学校のマラソンだ。
だが、俺にとってはそんな事実はどうだって良い。
「な、なんで?」
俺は少し後退りしながらそう聞いた。
なんだが、今の瑠魅を見ていると変な気分になってしまう。不覚にも色っぽいと感じてしまう。
瑠魅はまるで、酒に酔ったかのように頬が色付いており、目もいつもよりトロンとしていた。
「私ね……」
「………」
俺は、心のどこかで期待していた。もしかしたら、俺から告白してこの関係性を無くさなくても良いんじゃないかって。
「ううん。やっぱり何でもないわ。ごめんね?私も行くね、バイバイ」
勢いよくそれだけを言って、その場から去って行った。
みんなの姿が見えなくなると、俺は滑るように地面に座り込んだ。
「………死ぬかと思った」
力無くその場に座り込み、少しの間ボケェとしていた。
「何期待してたんだよ」
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