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黒幕
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「ブーゲルという温泉街の近くにアジトを構えていたディグルという盗賊を捕まえたところ、不浄の大地の本拠地と裏の顔を持つトップが判明しました。たまたま情報を得ただけで関わりたくないので、対応はお任せします」
第1騎士団の団長室にアルマロスさんを呼び、レイハルトさんとアルマロスさん2人に話をする。
流石に成果を上げる為という理由だけで第10騎士団に任せるには事が大きすぎるからだ。
「まず本拠地はここ王都にあります」
僕は足元を指差す。
「想定はしていたが、騎士が揃っているという意味では都合がいい」
レイハルトさんが答えるが、そう簡単な話では終わらない。
「トップは残念ながら国王です。表向きは良き王を演じながら、裏では魔王復活を試みていたようですね」
「それはおかしい。君も同席していた魔王の像。あれを破壊するように命じたのは陛下だ」
アルマロスさんが反論する。
「信じる信じないはお任せしますが、あれは魔王ではなく神が封印された像です。封印された時に姿を変えられたのでしょう。あれが魔王ではなく神だと知っていれば壊すように命じるのもおかしなことではないです。神が魔王を名乗っていた可能性は残っていますが……」
「だから像を壊さなかったのか?」
「やっぱり気付いていたんですね。あの像なら僕がずっと持ってます。像のことも、今回ディグルという賊の頭から聞き出したことも僕は真実だと思っていますが、最初に言った通りどうするかはお任せします」
「情報は感謝する。どうするも何も、何か決定的な証拠でもなければ陛下を捕らえるなんてことは出来ない。この情報はここだけの話にしてくれ。話が漏れると反逆罪で処刑されかねない。アルマロスも団員にも言わないように。くれぐれも独断先行しないように」
「承知しております」
「一応伝えておきますが、僕の話を信じてくれたとしても、神だからといって悪の可能性があること、ディグルが国王がトップだと嘘の情報を信じている場合もありますので、その可能性には気を付けてください」
「わかった。アルマロス、不浄の大地の討伐作戦は難航していると陛下には伝えておく。一旦中断し、被害が出ないように団員に各地の警護をさせろ。私は秘密裏に陛下の身辺を調査する。手を貸せ」
「承知しました」
「今回のこととは関係なく、国王の私室に繋がっている隠し通路にさらに隠された部屋に隠されていた物は僕が盗んで持ってますので、必要ならブーケルに人を寄越してください」
「先日陛下にお会いした時に様子がおかしかったのはそのせいか」
「多分そうです」
「発覚したら関係者全員処刑されるだろうな。簡単に死なせてももらえないだろう」
レイハルトさんの言う通りになるだろう。
見られたらまずいものを根こそぎ拝借したのだから。
「では用件はこれだけなので僕は帰ります」
「わざわざすまなかった。人選をして人を送る」
伝えないといけないことは伝えたので、ブーケルの家に戻る。
浴場の方から楽しそうな声が聞こえてきたので、2人で温泉に入っているようだ。
委員長も温泉の魅力には逆らえなかったんだなと思いながら、先に調べ事を始める為に書斎に行くと、ストレージから出しただけで床に散らかしていたはずの物が備え付けの本棚に仕舞われていた。
本以外の物も綺麗にまとめられている。
しかも、おおまかに種類ごとに分けられているようだ。
仕事が早い。
これは僕がいても邪魔するだけだな。
「クオン君戻ってたのね。温泉気持ちよかったわ」
リビングでくつろいでいると、委員長がフランちゃんの髪を拭きながら入ってくる。
「満足したみたいでよかったよ。僕も入ってこようかな。夕ご飯はどうしようか?僕はまともな物は作れないから、委員長が作るか、調理済みのものを食べるか。外に食べに行ってもいいよ」
「材料は何があるの?」
「大体なんでもあるよ。お米やパン、パスタもあるし、肉や魚、野菜にフルーツも。調味料もこの世界で買えるやつは変わったやつも揃っているかな。僕が気になったやつは衝動買いしているから。お米とかこっちで手に入らないやつは数に限りがあるけどね」
「それじゃあ私が作るわ。その方が食べたい物が食べられるってことよね?」
「そうだね。必要なものを言ってくれれば取り出すよ。他にも貯蔵庫に色々と入れておくようにするから好きに使って」
「ありがとう。それじゃあ───」
委員長に言われたものをキッチンの台の上に取り出して、保存のきく食材の一部は貯蔵庫へ入れておく。
「何を作るの?」
「焼き魚と肉じゃがを作るわ。あとはフランちゃんの為にビーフシチューね」
「分けて作るんだ」
「私は懐かしい物が食べたいけど、フランちゃんの口に和食は合わなそうだったからね。ビーフシチューは明日私も食べるわ。クオン君はどっちを食べる?」
「シチューをお願い」
「わかったわ」
「僕は温泉に浸かってくるから、何かあれば呼んで」
脱衣所で裸になりタオルを持って露天風呂へと行き、体を洗ってから湯船に足を入れる。
「はぁー。」
肩まで浸かりながら今置かれている状況について考える。
不浄の大地のトップがこの国の王で、僕達をフランちゃんをつかって召喚しようとしたのも国王。
国王が何の為に僕達を召喚しようとしたのか、魔王を復活して何をしようとしているのか、それは拝借したものを読み漁ることでわかるかもしれない。
フランちゃんを死んだことにして監禁していた理由も今のところ不明だ。
「あーあ、つまらないな」
第1騎士団の団長室にアルマロスさんを呼び、レイハルトさんとアルマロスさん2人に話をする。
流石に成果を上げる為という理由だけで第10騎士団に任せるには事が大きすぎるからだ。
「まず本拠地はここ王都にあります」
僕は足元を指差す。
「想定はしていたが、騎士が揃っているという意味では都合がいい」
レイハルトさんが答えるが、そう簡単な話では終わらない。
「トップは残念ながら国王です。表向きは良き王を演じながら、裏では魔王復活を試みていたようですね」
「それはおかしい。君も同席していた魔王の像。あれを破壊するように命じたのは陛下だ」
アルマロスさんが反論する。
「信じる信じないはお任せしますが、あれは魔王ではなく神が封印された像です。封印された時に姿を変えられたのでしょう。あれが魔王ではなく神だと知っていれば壊すように命じるのもおかしなことではないです。神が魔王を名乗っていた可能性は残っていますが……」
「だから像を壊さなかったのか?」
「やっぱり気付いていたんですね。あの像なら僕がずっと持ってます。像のことも、今回ディグルという賊の頭から聞き出したことも僕は真実だと思っていますが、最初に言った通りどうするかはお任せします」
「情報は感謝する。どうするも何も、何か決定的な証拠でもなければ陛下を捕らえるなんてことは出来ない。この情報はここだけの話にしてくれ。話が漏れると反逆罪で処刑されかねない。アルマロスも団員にも言わないように。くれぐれも独断先行しないように」
「承知しております」
「一応伝えておきますが、僕の話を信じてくれたとしても、神だからといって悪の可能性があること、ディグルが国王がトップだと嘘の情報を信じている場合もありますので、その可能性には気を付けてください」
「わかった。アルマロス、不浄の大地の討伐作戦は難航していると陛下には伝えておく。一旦中断し、被害が出ないように団員に各地の警護をさせろ。私は秘密裏に陛下の身辺を調査する。手を貸せ」
「承知しました」
「今回のこととは関係なく、国王の私室に繋がっている隠し通路にさらに隠された部屋に隠されていた物は僕が盗んで持ってますので、必要ならブーケルに人を寄越してください」
「先日陛下にお会いした時に様子がおかしかったのはそのせいか」
「多分そうです」
「発覚したら関係者全員処刑されるだろうな。簡単に死なせてももらえないだろう」
レイハルトさんの言う通りになるだろう。
見られたらまずいものを根こそぎ拝借したのだから。
「では用件はこれだけなので僕は帰ります」
「わざわざすまなかった。人選をして人を送る」
伝えないといけないことは伝えたので、ブーケルの家に戻る。
浴場の方から楽しそうな声が聞こえてきたので、2人で温泉に入っているようだ。
委員長も温泉の魅力には逆らえなかったんだなと思いながら、先に調べ事を始める為に書斎に行くと、ストレージから出しただけで床に散らかしていたはずの物が備え付けの本棚に仕舞われていた。
本以外の物も綺麗にまとめられている。
しかも、おおまかに種類ごとに分けられているようだ。
仕事が早い。
これは僕がいても邪魔するだけだな。
「クオン君戻ってたのね。温泉気持ちよかったわ」
リビングでくつろいでいると、委員長がフランちゃんの髪を拭きながら入ってくる。
「満足したみたいでよかったよ。僕も入ってこようかな。夕ご飯はどうしようか?僕はまともな物は作れないから、委員長が作るか、調理済みのものを食べるか。外に食べに行ってもいいよ」
「材料は何があるの?」
「大体なんでもあるよ。お米やパン、パスタもあるし、肉や魚、野菜にフルーツも。調味料もこの世界で買えるやつは変わったやつも揃っているかな。僕が気になったやつは衝動買いしているから。お米とかこっちで手に入らないやつは数に限りがあるけどね」
「それじゃあ私が作るわ。その方が食べたい物が食べられるってことよね?」
「そうだね。必要なものを言ってくれれば取り出すよ。他にも貯蔵庫に色々と入れておくようにするから好きに使って」
「ありがとう。それじゃあ───」
委員長に言われたものをキッチンの台の上に取り出して、保存のきく食材の一部は貯蔵庫へ入れておく。
「何を作るの?」
「焼き魚と肉じゃがを作るわ。あとはフランちゃんの為にビーフシチューね」
「分けて作るんだ」
「私は懐かしい物が食べたいけど、フランちゃんの口に和食は合わなそうだったからね。ビーフシチューは明日私も食べるわ。クオン君はどっちを食べる?」
「シチューをお願い」
「わかったわ」
「僕は温泉に浸かってくるから、何かあれば呼んで」
脱衣所で裸になりタオルを持って露天風呂へと行き、体を洗ってから湯船に足を入れる。
「はぁー。」
肩まで浸かりながら今置かれている状況について考える。
不浄の大地のトップがこの国の王で、僕達をフランちゃんをつかって召喚しようとしたのも国王。
国王が何の為に僕達を召喚しようとしたのか、魔王を復活して何をしようとしているのか、それは拝借したものを読み漁ることでわかるかもしれない。
フランちゃんを死んだことにして監禁していた理由も今のところ不明だ。
「あーあ、つまらないな」
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