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感染
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「状況がわからないんだけど、説明してくれる?」
委員長ではない可能性もごく僅かではあるが残っているので、気は抜き過ぎず話を聞く。
姿をランタンで照らして鑑定した結果でも委員長なので、鑑定を妨害されていない限りは委員長なんだけど。
「先に聞きたいのだけれど、なんでクオン君は動けるの?」
「麻痺に対して耐性があるからだよ」
「そうなんだね。どこから説明するのがいいのか迷うけど、とりあえず盗賊の人達が倒れている理由から説明するわね。伝心ってスキルが使えるんだけど、本来は思ったことを言葉を使わずに相手に伝えるスキルだと思うのね」
「委員長がそのスキルを使えるのは知ってたよ」
委員長の使えるスキルは鑑定で確認している。
鑑定し直しても以前と変化はない。
「色々と何が出来るのか試していたら、体が痺れたとか、毒を飲んだとか、そういった体の異常も伝えることが出来ることがわかったの。強制的にね。今回なら麻痺なんだけど、人間の体って不思議で、実際には麻痺薬を嗅がされてないのに、麻痺したって思い込むだけで実際に体が痺れる錯覚に陥るの。だから、1人が麻痺薬を吸い込んで麻痺すれば、スキルによって近くにいる人にも自分が麻痺薬を吸い込んだんだって伝わって、まるで自分の体が麻痺したかのような錯覚に陥るの。さらにその人の近くにいた人も麻痺して、どんどんと麻痺が伝染していくってわけ。簡単に言えば催眠効果のあるスキルだったってこと」
「思い込みってことだよね?それならなんで僕は麻痺しないの?麻痺耐性はあるけど、洗脳系の耐性はないよ」
「クオン君は麻痺しないのよね?麻痺しない人が麻痺薬を吸い込んだって思い込んでも、自分には効かないって思うだけで不発に終わるんじゃない?」
つまり、この指輪の効果を知らずに僕が付けていたら麻痺してたってことかな。
「そういうものか」
「詳しく聞かれても、私はこのスキルのことの全てを知っているわけではないから、色々やってたら出来るようになってたってだけで答えられないわよ」
科学とはかけ離れた現象を起こされているからな。
委員長が完璧に説明できる方が恐ろしい。
「おおまかには理解したよ。あと、そのマスクは何?」
委員長がやり方次第でこの世界の人を滅ぼせそうなことは理解した。
「私だけは動けるように対策しているのよ。マスクの中に麻痺を消すポーションが気化して滞留するようになってるわ。だから、麻痺したっていう感覚が伝わってきても麻痺を消したって行動で打ち消して動く事が出来るの。もっと私がうまくスキルをコントロール出来れば自分には伝わらないように出来るかもしれないんだけどね」
「相手を細かく特定出来ないのは使い勝手が悪いね。それで、そんなマスクどこに持ってたの?」
「専用の魔導具を使うと鞄のポケットに入るくらい小さく圧縮出来るのよ。今は外せないから見せられないけど、気になるなら仕舞う時に見せるわね」
布団圧縮機みたいなものかな。
「ペスト医師みたいなデザインには何か意味はあるの?」
「別に意味はないわよ。スキルに合わせて特注してもらったものだから、私の好みってだけね。可愛くない?」
「僕としては可愛いというよりカッコいいって感想だけど、洞窟で遠くから見ると攻撃しようか迷うくらいには不気味に見えたよ。盗賊が倒れている理由はわかったけど、誘拐された経緯を教えてくれる?」
「フランちゃんと買い物しながらクオン君が戻るのを待っていたら、急にナイフを突き付けられたのよ。フランちゃんを巻き込みたくなかったから大人しく言うことを聞いてここまで連れてこられたわ。私のことを恨んでいる様子だったけど、なんで恨んでいるのかはわからないわね。騎士関係だとは思うけど」
その場で殺さなかったのは、騎士団の情報を聞き出そうとでもしたか、違法奴隷として売ろうとしたかだろう。
「それで?」
「ヒモで縛られて連れてこられたけど、ヒモ抜けの術をたまたま知っていたから、縛られる時に小細工をしておき、相手が油断したところで腕を紐の輪っかから抜いて、近くにいた男に麻痺薬を嗅がせたの。このマスクを被って隠れしていたら、動いている人はいなくなったわ。後は見ての通り賊達を縛っていたの。後で連行してもらう為にね」
ヒモ抜けの術をたまたま知ってるって……まあ、こういった事態を考慮して事前に調べておいたってことだろう。
「委員長以外に捕まってる人はいなかったの?」
「見てないわ」
「それじゃあぱっぱと縛り上げて帰ろうか。フランちゃんを1人にしちゃってるから」
状況は理解したので、残った賊の手足も縛り、ディグルという盗賊団の頭を魅了して情報を聞き出してから洞窟を出る。
隠してあったお宝は当然戦利品として頂いた。
街に戻った後、委員長を借りた家に案内してから冒険者ギルドに行き、盗賊は全員捕えてアジトの洞窟に縛ってあることと、貯め込んでいたお宝は討伐した者の権利として頂いたことを説明する。
形見など大事な物だった場合に、被害者が買い取れるようにする為だ。
「お待たせ。冒険者ギルドに後処理は任せてきたよ。戦利品は貰っていいと許可も貰っておいたよ」
家に戻り、ストレージからソファを出して委員長を座らせる。
「ありがとう」
「僕は賊の頭のディグルから聞き出した不浄の大地の情報をアルマロスさんに伝えに行ってくるよ。本拠地の場所まで知ってたし、中心人物を捕まえられたのはラッキーだったね。あの部屋に置いてあった物は書斎に置いておくから、元々の予定通り情報の整理をお願い」
委員長は不浄の大地に要注意人物として情報が回っているそうだ。
委員長がというよりは、アルマロスさん率いる第10騎士団と言った方が正しいかもしれないけど。
「それは任せて」
「さっきは言わなかったけど、この家のお風呂は温泉掛け流しの露天風呂だからゆっくり浸かって疲れを取ってね。それじゃあ行ってくるからフランちゃんのこと頼むね」
委員長ではない可能性もごく僅かではあるが残っているので、気は抜き過ぎず話を聞く。
姿をランタンで照らして鑑定した結果でも委員長なので、鑑定を妨害されていない限りは委員長なんだけど。
「先に聞きたいのだけれど、なんでクオン君は動けるの?」
「麻痺に対して耐性があるからだよ」
「そうなんだね。どこから説明するのがいいのか迷うけど、とりあえず盗賊の人達が倒れている理由から説明するわね。伝心ってスキルが使えるんだけど、本来は思ったことを言葉を使わずに相手に伝えるスキルだと思うのね」
「委員長がそのスキルを使えるのは知ってたよ」
委員長の使えるスキルは鑑定で確認している。
鑑定し直しても以前と変化はない。
「色々と何が出来るのか試していたら、体が痺れたとか、毒を飲んだとか、そういった体の異常も伝えることが出来ることがわかったの。強制的にね。今回なら麻痺なんだけど、人間の体って不思議で、実際には麻痺薬を嗅がされてないのに、麻痺したって思い込むだけで実際に体が痺れる錯覚に陥るの。だから、1人が麻痺薬を吸い込んで麻痺すれば、スキルによって近くにいる人にも自分が麻痺薬を吸い込んだんだって伝わって、まるで自分の体が麻痺したかのような錯覚に陥るの。さらにその人の近くにいた人も麻痺して、どんどんと麻痺が伝染していくってわけ。簡単に言えば催眠効果のあるスキルだったってこと」
「思い込みってことだよね?それならなんで僕は麻痺しないの?麻痺耐性はあるけど、洗脳系の耐性はないよ」
「クオン君は麻痺しないのよね?麻痺しない人が麻痺薬を吸い込んだって思い込んでも、自分には効かないって思うだけで不発に終わるんじゃない?」
つまり、この指輪の効果を知らずに僕が付けていたら麻痺してたってことかな。
「そういうものか」
「詳しく聞かれても、私はこのスキルのことの全てを知っているわけではないから、色々やってたら出来るようになってたってだけで答えられないわよ」
科学とはかけ離れた現象を起こされているからな。
委員長が完璧に説明できる方が恐ろしい。
「おおまかには理解したよ。あと、そのマスクは何?」
委員長がやり方次第でこの世界の人を滅ぼせそうなことは理解した。
「私だけは動けるように対策しているのよ。マスクの中に麻痺を消すポーションが気化して滞留するようになってるわ。だから、麻痺したっていう感覚が伝わってきても麻痺を消したって行動で打ち消して動く事が出来るの。もっと私がうまくスキルをコントロール出来れば自分には伝わらないように出来るかもしれないんだけどね」
「相手を細かく特定出来ないのは使い勝手が悪いね。それで、そんなマスクどこに持ってたの?」
「専用の魔導具を使うと鞄のポケットに入るくらい小さく圧縮出来るのよ。今は外せないから見せられないけど、気になるなら仕舞う時に見せるわね」
布団圧縮機みたいなものかな。
「ペスト医師みたいなデザインには何か意味はあるの?」
「別に意味はないわよ。スキルに合わせて特注してもらったものだから、私の好みってだけね。可愛くない?」
「僕としては可愛いというよりカッコいいって感想だけど、洞窟で遠くから見ると攻撃しようか迷うくらいには不気味に見えたよ。盗賊が倒れている理由はわかったけど、誘拐された経緯を教えてくれる?」
「フランちゃんと買い物しながらクオン君が戻るのを待っていたら、急にナイフを突き付けられたのよ。フランちゃんを巻き込みたくなかったから大人しく言うことを聞いてここまで連れてこられたわ。私のことを恨んでいる様子だったけど、なんで恨んでいるのかはわからないわね。騎士関係だとは思うけど」
その場で殺さなかったのは、騎士団の情報を聞き出そうとでもしたか、違法奴隷として売ろうとしたかだろう。
「それで?」
「ヒモで縛られて連れてこられたけど、ヒモ抜けの術をたまたま知っていたから、縛られる時に小細工をしておき、相手が油断したところで腕を紐の輪っかから抜いて、近くにいた男に麻痺薬を嗅がせたの。このマスクを被って隠れしていたら、動いている人はいなくなったわ。後は見ての通り賊達を縛っていたの。後で連行してもらう為にね」
ヒモ抜けの術をたまたま知ってるって……まあ、こういった事態を考慮して事前に調べておいたってことだろう。
「委員長以外に捕まってる人はいなかったの?」
「見てないわ」
「それじゃあぱっぱと縛り上げて帰ろうか。フランちゃんを1人にしちゃってるから」
状況は理解したので、残った賊の手足も縛り、ディグルという盗賊団の頭を魅了して情報を聞き出してから洞窟を出る。
隠してあったお宝は当然戦利品として頂いた。
街に戻った後、委員長を借りた家に案内してから冒険者ギルドに行き、盗賊は全員捕えてアジトの洞窟に縛ってあることと、貯め込んでいたお宝は討伐した者の権利として頂いたことを説明する。
形見など大事な物だった場合に、被害者が買い取れるようにする為だ。
「お待たせ。冒険者ギルドに後処理は任せてきたよ。戦利品は貰っていいと許可も貰っておいたよ」
家に戻り、ストレージからソファを出して委員長を座らせる。
「ありがとう」
「僕は賊の頭のディグルから聞き出した不浄の大地の情報をアルマロスさんに伝えに行ってくるよ。本拠地の場所まで知ってたし、中心人物を捕まえられたのはラッキーだったね。あの部屋に置いてあった物は書斎に置いておくから、元々の予定通り情報の整理をお願い」
委員長は不浄の大地に要注意人物として情報が回っているそうだ。
委員長がというよりは、アルマロスさん率いる第10騎士団と言った方が正しいかもしれないけど。
「それは任せて」
「さっきは言わなかったけど、この家のお風呂は温泉掛け流しの露天風呂だからゆっくり浸かって疲れを取ってね。それじゃあ行ってくるからフランちゃんのこと頼むね」
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