23時に明かりを消して

秋臣

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ドキドキと安心感

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「付き合い始めとかならわかるんだけど、長く一緒にいたらドキドキしなくなるんじゃない?」
樹が言えば、
「ドキドキというよりホッとする感じ?」
と翔哉が答える。
クラスの女子たちが
「男は彼女に対していつまでドキドキするのか検証する!」と言い出し、クラスの男子に片っ端からアンケートと称し聞いて回っている。
「それはどれくらいの期間でドキドキしなくなると思う?」と更に追求されると、
「人にもよると思うけど2~3ヶ月ってところじゃない?」
「冷めるの早すぎっ!」と女子たちにブーブー言われ、樹が
「答えてやってるのに文句言うなよ!」とキレると
「別に冷めたわけじゃなくて、関係性が変わるって話だろ」と反論する翔哉。
「関係性が変わるってどういうこと?」俺も女子たちに紛れて2人に聞く。
「だからさ、最初はドキドキするのはわかるじゃん?緊張もするし、いろいろ必死だし。
だんだん一緒にいるのが当たり前みたいになると、慣れというか家族みたいな感じ?家族にドキドキしないじゃん。なんていえばいいんだ?あ、安心感!それ!安心感に変わってドキドキじゃなくて、ホッとするになるんじゃね?」
「おお~!」女子たち拍手。俺も拍手。
「安心感ね~、『お前といると安心する』とか言われたら私死ねるわ」
「じゃあ成仏しろ」
樹、翔哉が女子たちとギャーギャーやり合ってるのを見ながら、自分のことに当てはめてみる。
俺ずっと歩夢にドキドキしてる。
これって恋のドキドキとかだと思ってた。
違うの?なんでずっとドキドキするの?

なんで変わらない?

広夢くんとは最初からドキドキしなかった。
ときめかなかったというか、ホッとした。
どういうこと?

頭が混乱してわからなくなった。
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