23時に明かりを消して

秋臣

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少しずつ

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間違えないように。
俺には正解がわからない、前ならここで考えるのをやめていた。
今はちょっと違う、止まれる。
晃を傷つけない、泣かせない。
たったこれだけのことが出来なかったから不安にさせた。
晃に
「なにかあるなら二人で話そう」と言った。
わからないなら聞こう、そうだ聞けばいい。
何したい?何をしたくない?
可か否か?俺を好きか嫌いか。
わからなくなったら聞こう。
晃を傷つけないために。
俺を認めてもらうために。

俺と晃はあれ以来、少しずつお互いをわかろうとしながら、一緒にいようとしてる。
いようとしてるなんて、大袈裟なものではないけれど、俺は晃の信頼を取り戻したかった。
わからなかったらその度聞いた。
「こんなことまで聞かなくていいよ」と晃は笑うけど怖いんだ。
「嫌なら言って」
「じゃあそのなんでも聞くのやめて」
「それは無理」
「なんでそこだけ頑ななの?」
「晃がいなくなるのが怖いから」
「ずっとそればっかり言ってるじゃん、俺ここにいるってば」と晃は俺の手を取り自分の頬に触れさせる。
「ちゃんといるでしょ?」と笑う。
「ちょっと来て」俺を引っ張って、物陰に連れて行く。
「晃なに?」
「歩夢」
そう言って晃は俺にキスする。
「歩夢は今誰とキスしてる?」
「…晃」
「今誰とキスしたい?」
「晃」
「じゃあキスして」
軽くするつもりだったのに、つい舌を入れそうになって慌てて
「ごめん!」と謝る。
「俺とキスしたくない?」晃がむくれる。
「違う!俺晃だとすぐ興奮しちゃうから…止まらなくなる…」
「うち行こうよ」
「しないよ」
「なんで?嫌なの?もうずっとキスしかしてない」
「だから俺が止まらなくなるからだって」
「俺がそうしてって言ってもダメなの?」
「嫌なことしちゃうかもしれない、傷つけたくない。体だけと思われたくないんだ。
気持ちをちゃんと繋げたいんだよ」

「もう!」
晃が強引に舌を絡めた深いキスをしてくる。
「歩夢が気持ちいい時は俺も気持ちいいんだよ。一緒に気持ちよくなろうよ」
「一緒…」
「そう、それでも嫌?いい加減、こんな説得してる俺惨めなんだけど」
「ごめん、そんなつもりじゃない…」
「嫌なら来ないで、嫌じゃないなら来て」
晃は俺を置いてさっさと歩き出す。
「晃!」と呼ぶが無視して歩く。
俺は理性と欲を戦わせながら、やっと歩き出すと晃は急に走り出した。
え?慌てて追いかける。
振り回されっぱなしだな…
追いかけていると晃が急に振り返り、笑顔で両手を広げる。
「歩夢!」
俺は俺を呼ぶ腕の中に飛び込んだ。


歩夢が俺を抱いてる。
何度もイかされてるけど何度も歩夢を求める。
歩夢は
「いい?」
「痛くないか?」
「俺だけじゃない?」
と繰り返し聞く。
すごくいい。
痛くない。
俺もだよ。
何度でも答える、それで歩夢が安心するなら。
俺が傷ついたことで歩夢も傷ついたんだと気づく。
歩夢だから喧嘩しても元に戻れるんだ、歩夢だから。
ずっと一緒にいたんだ、これからもずっと一緒にいる。
歩夢に抱き締められるとドキドキする。
ずっと…
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