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85.着々と魔物討伐をこなす
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着々と魔物討伐をこなす第七部隊だったが、一癖も二癖もある者たちばかりのためか、次第に精鋭部隊ではなく、変わり者の集まりという評価に変わっていった。
「シジュウです。第三からきました」
神経質そうな男は、第七部隊の隊員を一瞥するなり顔をしかめた。
「隊員はここに居る者だけですか?」
「他にヤガンとセイス、カルス、クイナがおるな。隊長と副隊長は執務室じゃ」
「どちらにしても少ないですね。それにしても、新入りの僕に挨拶する必要はないと?」
「あやつらはいつも自由に行動しちょる。気にするな」
オナガが取り成しても、シジュウは不機嫌さを隠さない。
「なんで俺が第七なんかに」
吐き捨てるような声が聞こえたが、オナガは聞かなかったことにした。
第一部隊の古株などはオナガたちの実力を知っているが、関わることのなかった部隊の者や、ここ数年で検衛に入隊した者たちは、オナガたちの経歴を知らない。
第七という最も低い数字を与えられた部隊、しかも人数は少ない。検衛の掃き溜めと考えている者もちらほらと現れていた。
シジュウが仲間に加わってから数日後、東萼に砂鰐が現れたと、第七部隊に討伐依頼が入る。
「砂鰐は砂の中を泳ぐように移動する。複数匹で行動することも多いから、油断するな。シジュウは攻撃には参加せず、身を守ることに集中せい」
「第七でも倒せるんでしょ? 問題ないですよ」
鼻で笑うシジュウを、オナガは困ったように見る。
「カルスとセイスは砂鰐が遠ざからないよう、投擲で誘導しながら見張ってくれ。カマラ、リケラ、お前らは右手のを頼む。俺は左の大きいのをやる。真ん中のに残りの全員で掛かれ」
砂中に隠れる砂鰐は、見失うと思わぬ攻撃を受ける。また思わぬ伏兵が隠れていることもあるので、見張りが必要だ。
カマラとリケラは戦闘力があるので、二人で足りるだろう。残りのヤガン、アトリ、クイナで一番小型の砂鰐に当たらせる。
オナガは砂鰐を追いかけて砂上を走りながら、刀を抜き打って風圧で砂鰐が向かう先に衝撃波を加える。
警戒した砂鰐が向きを変える間に距離を詰め、蹴り上げて砂の中から体を出させるなり、刀を抜き打った。
「ちええーいっ!」
軋む体。わずかに眉をひそめるが、勢いのまま砂鰐を斬り裂く。寸断はできなかったが、三分の二程まで体に切り込みを入れられた砂鰐は、痙攣しながら火花を散らす。
止めを刺すために、オナガは急所目掛けて刀を振り下ろした。
動かなくなったことを確かめ、仲間の方へと首を回す。視界に入ったのは、攻撃には参加するなと言っておいたはずのシジュウが、砂鰐に襲われようとしている瞬間だった。
負傷したのか、尻餅を突いたまま動かないシジュウに、砂鰐が覆いかぶさるように飛び掛かり、鋭い顎で噛みつこうとする。
即座に走り出したオナガだが、間に合いそうにない。持っていた刀を砂鰐に投げつけた。
刀が一本刺さったところで巨大な砂鰐の動きを止めることはできないが、衝撃で動きを鈍らせ、運が良ければ目標をオナガへと変えてくれるかもしれない。
数秒先の光景を脳裏に描いていたオナガだったが、現実化することはなかった。セイスがシジュウを突き飛ばしたのだ。
「セイス!」
ヤガンとアトリが砂鰐に向かっていくが、咥えたセイスを砂鰐が振り回すため、上手く攻撃が通らない。
ようやく合流したオナガは、尻餅を突いたままのシジュウから刀を奪い、砂鰐に斬りこんでいく。関節がミシミシと音を立て軋むが、歯を食いしばって砂鰐の腹を裂く。
身を仰け反らせた砂鰐の口から、セイスが放り捨てられた。アトリが走って回り込み、セイスを受け止める。
抱えられたセイスが動いたのを見て安堵したオナガは、眩暈を覚えて刀を地面に突き体を支えた。
「シジュウです。第三からきました」
神経質そうな男は、第七部隊の隊員を一瞥するなり顔をしかめた。
「隊員はここに居る者だけですか?」
「他にヤガンとセイス、カルス、クイナがおるな。隊長と副隊長は執務室じゃ」
「どちらにしても少ないですね。それにしても、新入りの僕に挨拶する必要はないと?」
「あやつらはいつも自由に行動しちょる。気にするな」
オナガが取り成しても、シジュウは不機嫌さを隠さない。
「なんで俺が第七なんかに」
吐き捨てるような声が聞こえたが、オナガは聞かなかったことにした。
第一部隊の古株などはオナガたちの実力を知っているが、関わることのなかった部隊の者や、ここ数年で検衛に入隊した者たちは、オナガたちの経歴を知らない。
第七という最も低い数字を与えられた部隊、しかも人数は少ない。検衛の掃き溜めと考えている者もちらほらと現れていた。
シジュウが仲間に加わってから数日後、東萼に砂鰐が現れたと、第七部隊に討伐依頼が入る。
「砂鰐は砂の中を泳ぐように移動する。複数匹で行動することも多いから、油断するな。シジュウは攻撃には参加せず、身を守ることに集中せい」
「第七でも倒せるんでしょ? 問題ないですよ」
鼻で笑うシジュウを、オナガは困ったように見る。
「カルスとセイスは砂鰐が遠ざからないよう、投擲で誘導しながら見張ってくれ。カマラ、リケラ、お前らは右手のを頼む。俺は左の大きいのをやる。真ん中のに残りの全員で掛かれ」
砂中に隠れる砂鰐は、見失うと思わぬ攻撃を受ける。また思わぬ伏兵が隠れていることもあるので、見張りが必要だ。
カマラとリケラは戦闘力があるので、二人で足りるだろう。残りのヤガン、アトリ、クイナで一番小型の砂鰐に当たらせる。
オナガは砂鰐を追いかけて砂上を走りながら、刀を抜き打って風圧で砂鰐が向かう先に衝撃波を加える。
警戒した砂鰐が向きを変える間に距離を詰め、蹴り上げて砂の中から体を出させるなり、刀を抜き打った。
「ちええーいっ!」
軋む体。わずかに眉をひそめるが、勢いのまま砂鰐を斬り裂く。寸断はできなかったが、三分の二程まで体に切り込みを入れられた砂鰐は、痙攣しながら火花を散らす。
止めを刺すために、オナガは急所目掛けて刀を振り下ろした。
動かなくなったことを確かめ、仲間の方へと首を回す。視界に入ったのは、攻撃には参加するなと言っておいたはずのシジュウが、砂鰐に襲われようとしている瞬間だった。
負傷したのか、尻餅を突いたまま動かないシジュウに、砂鰐が覆いかぶさるように飛び掛かり、鋭い顎で噛みつこうとする。
即座に走り出したオナガだが、間に合いそうにない。持っていた刀を砂鰐に投げつけた。
刀が一本刺さったところで巨大な砂鰐の動きを止めることはできないが、衝撃で動きを鈍らせ、運が良ければ目標をオナガへと変えてくれるかもしれない。
数秒先の光景を脳裏に描いていたオナガだったが、現実化することはなかった。セイスがシジュウを突き飛ばしたのだ。
「セイス!」
ヤガンとアトリが砂鰐に向かっていくが、咥えたセイスを砂鰐が振り回すため、上手く攻撃が通らない。
ようやく合流したオナガは、尻餅を突いたままのシジュウから刀を奪い、砂鰐に斬りこんでいく。関節がミシミシと音を立て軋むが、歯を食いしばって砂鰐の腹を裂く。
身を仰け反らせた砂鰐の口から、セイスが放り捨てられた。アトリが走って回り込み、セイスを受け止める。
抱えられたセイスが動いたのを見て安堵したオナガは、眩暈を覚えて刀を地面に突き体を支えた。
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