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III プレ女王国連合の成立
ウェカ王子さまの閃きと軍略
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そしてその夜……
「ふ~~お風呂に入ってリフレッシュしちゃおっと、るんるんるん」
メアは全裸にバスタオルを巻いて豊かな胸を隠し使用人のお風呂のドアを開けた。
ガラガラ……
「キャーーーーーーー!!」
「あっす、すいません?? え? え?」
メアがお風呂場のドアを開けると、数人の何故か浴場内でもフードを被った男達に出くわし、あわててドアを閉めた。一瞬見えた男達は赤面して大事な部分を必死に手で隠していた……
(え? え? だんだん増えてない?? ていうか見られた私が何故謝らなくちゃいけないのっ!?)
―さらに次の日
メアは何食わぬ顔で朝食を食べる瑠璃ィを見て驚愕した。最初は三人だったはずのフードの男達が六人に増殖していた……
「ヒッッ!?」
(見えてるのは私だけ?? もしかして錯覚? 幻覚??)
等と思いながら自分の頬を叩いたが幻覚では無い様だった。
「あれーーメアちゃんどうしたん? 一緒に食べへんか?」
「そうだぞメア、お前はメイドさん兼ボクの唯一の友達だからな、遠慮無く皆と一緒に食べてもいいんだぞ!」
「あれーーウチは友達ちゃうの?」
「お前は子分で家来な」
「なんでやっ」
しかし王子はフードの男達が日々増殖している事に気付かないのか、普段とかわらずのほほんとしていた。
バンッッ!!
その時、突然メアが皆が和気あいあいと朝食を摂っている巨大で長いテーブルに、両手を思い切り叩き付けた。その勢いで食器が少し浮く程だった。
「何だ何だメアいきなりどうした、蠅でも飛んでいたのか?」
「そうやでメアちゃん食事中に埃が立つでえ」
ウェカ王子も瑠璃ィも動じる事無く食事を再開する。
「私もう許せない……王子が分け隔てなく誰でも受け入れる心の広さを持っている事につけ込んで……瑠璃ィさんも気の良いお姉さんだと思って喜んで接して来たのに……私達の気持ちを裏切るなんて」
一瞬会場がシーンとなった。
「どうしたメア、ヒステリーかあ? 悩み事があるなら言うんだ~~」
「………………」
まだまだいつも通りの王子に比べ、メアが此処まで思い詰める様子を見て心が痛んだのか、瑠璃ィのいつもの軽口は消えた。
「王子! 聞いて下さい、こんな事は言いたくないけど、瑠璃ィさんは実は……」
思い切ってメアが自分が見た真相を伝えようとした時、王子がそれを遮って言った。
「なんだぁ? フードの男共が段々増えてる事を言ってるのか?? そんな事で悩んでたのか? 小さいヤツだなあハハハハハハハ」
突然王子が大声で笑いながらあっけらかんと言い出して、メアも瑠璃ィもあっけに取られた。
「お、王子……気付いてらしたのですか?」
「当たり前だろう、ボクの知能をミジンコ並みと思ってないか? ヒト族の知能があれば普通気付くだろうがっ!」
王子の衝撃発言に再び会場はシーンとなった。しかしそれはさすがに王子に失礼だっただろうか。
「……でも何故? だったらどうしてもう少し早く異常を言わなかったのですか?」
メアは王子の真意がよく分からなかった。
「バカだなあメア! そんなのいつか瑠璃ィが自分の口から言うのを待っていたのに決まっているだろうがっ! 思い出せ、瑠璃ィは僕とメアの危機を救ってくれたんだぞ、子分を信用出来なくて何が王子様かっ!!」
正直に言って、みんな馬鹿王子さまだと思っていたウェカ王子が、いきなり立派な事を言い出して一同ポカーンとした。
「……王子、そこまで……」
メアは何だかんだ言ってもほのかに慕っている王子がどんどんまともになって成長していて嬉しかった。
「ごめんやで……メアちゃんに王子、本当はウチが最初に言うべき事やったのに、ウチがグダグダして言う機会逃してしもて……ホントごめんやで……」
瑠璃ィは王子の期待と信頼を裏切りそうになっていた事に気付いて、珍しく真面目に深々と頭を下げて謝罪した。その途端にフードの男共が瑠璃ィの耳元でこそこそ囁く。
「え、なんやて? ウチは悪く無い、悪いのは全て我らだ、だからどんな厳罰でも受けるって??」
フードの男共は瑠璃ィの横で超高速で頭をウンウンと頷いた。
「なんだなんだお前ら、恥ずかしがり屋さんだなぁ~~言いたい事があったらちゃんと自分の口で言え! それに王子の前でフードを取らないのは失礼だぞ!!」
ウェカ王子の言う事はまたしても最もな正論だった……
「そうやで」
瑠璃ィに促されて、次々にフードの男共はフードを後ろに脱ぎ降ろした。
「我らの所為でウェカ王子様、メア殿に要らぬご心配をお掛けし申した。どの様な罰でも受けまする!!」
男達は深々と頭を下げた。
「ハハハハハハ、何だ何だ、物分かりの良い連中だなあ」
(あれ……結構普通……ていうかイケメンもそこそこ混じってる!? ……この人達きっと悪い人達じゃない……うん、私そう思う!!)
メアも最悪な思考回路だった……
「メアちゃんごめんやで……メアちゃんに要らん迷惑かけたわっ本当にごめんな」
「ううん、いいの瑠璃ィさん………………いやでも、やっぱり数々の妨害行為に関しては土下座して?」
「え?」
メアは半分本気だった……しかしその後伝書鳩はちゃんと小屋に戻ったという。
―夕食。
ようやく一同は素顔を見せながら普通に楽しく夕食を摂る事が出来たのだった。
「そうか……瑠璃ィは東の地のスイートスて国からの探検家で冒険家で旅人だったのか?」
「そうなんや~~~うっかりこの子らとはぐれてしもてなあ」
お酒を飲みながら笑う瑠璃ィを見てメアは思った、絶対コイツらまだ嘘付いてるだろと。
「東の地の景気ってどんな物なんだ?」
「ん~~~~~ぼちぼちでんなあ」
「ハハハハハハ、そうかぼちぼちかあ、なんだなんだ、元フード軍団も何か喋れっ!」
王子が笑顔で催促するので、元フード軍団も色々な事をオブラートで包みながらたどたどしく話した。
「……という訳で、我ら瑠璃ィ様とはぐれた後は、川を渡り谷を越え、山を越え、それは大変な旅をしたのです」
元フード軍団はほろりと涙を流しながら苦労をしのばせ語った。
「うんうんそりゃ大変だったなあ、谷を越え、山を越えか……ん? 谷を越え、山を越え……」
「ど、どうしたんですか王子?」
メアは急に黙り込んだ王子を心配して見た。
「谷を越え、山を越え……?? そ れ だ!!」
〇近、〇村〇葉のナイスアシストを受けたサスペンス主人公の様に、ウェカ王子のピンク色したつるつるの脳みそにある軍略が浮かんだ。
「どうしましたか王子っ!?」
「メドース・リガリァを攻める為にバックマウンテンを越える!!!」
メアに衝撃が走った。
(また……要らん事を思い付いたな王子……)
「ふ~~お風呂に入ってリフレッシュしちゃおっと、るんるんるん」
メアは全裸にバスタオルを巻いて豊かな胸を隠し使用人のお風呂のドアを開けた。
ガラガラ……
「キャーーーーーーー!!」
「あっす、すいません?? え? え?」
メアがお風呂場のドアを開けると、数人の何故か浴場内でもフードを被った男達に出くわし、あわててドアを閉めた。一瞬見えた男達は赤面して大事な部分を必死に手で隠していた……
(え? え? だんだん増えてない?? ていうか見られた私が何故謝らなくちゃいけないのっ!?)
―さらに次の日
メアは何食わぬ顔で朝食を食べる瑠璃ィを見て驚愕した。最初は三人だったはずのフードの男達が六人に増殖していた……
「ヒッッ!?」
(見えてるのは私だけ?? もしかして錯覚? 幻覚??)
等と思いながら自分の頬を叩いたが幻覚では無い様だった。
「あれーーメアちゃんどうしたん? 一緒に食べへんか?」
「そうだぞメア、お前はメイドさん兼ボクの唯一の友達だからな、遠慮無く皆と一緒に食べてもいいんだぞ!」
「あれーーウチは友達ちゃうの?」
「お前は子分で家来な」
「なんでやっ」
しかし王子はフードの男達が日々増殖している事に気付かないのか、普段とかわらずのほほんとしていた。
バンッッ!!
その時、突然メアが皆が和気あいあいと朝食を摂っている巨大で長いテーブルに、両手を思い切り叩き付けた。その勢いで食器が少し浮く程だった。
「何だ何だメアいきなりどうした、蠅でも飛んでいたのか?」
「そうやでメアちゃん食事中に埃が立つでえ」
ウェカ王子も瑠璃ィも動じる事無く食事を再開する。
「私もう許せない……王子が分け隔てなく誰でも受け入れる心の広さを持っている事につけ込んで……瑠璃ィさんも気の良いお姉さんだと思って喜んで接して来たのに……私達の気持ちを裏切るなんて」
一瞬会場がシーンとなった。
「どうしたメア、ヒステリーかあ? 悩み事があるなら言うんだ~~」
「………………」
まだまだいつも通りの王子に比べ、メアが此処まで思い詰める様子を見て心が痛んだのか、瑠璃ィのいつもの軽口は消えた。
「王子! 聞いて下さい、こんな事は言いたくないけど、瑠璃ィさんは実は……」
思い切ってメアが自分が見た真相を伝えようとした時、王子がそれを遮って言った。
「なんだぁ? フードの男共が段々増えてる事を言ってるのか?? そんな事で悩んでたのか? 小さいヤツだなあハハハハハハハ」
突然王子が大声で笑いながらあっけらかんと言い出して、メアも瑠璃ィもあっけに取られた。
「お、王子……気付いてらしたのですか?」
「当たり前だろう、ボクの知能をミジンコ並みと思ってないか? ヒト族の知能があれば普通気付くだろうがっ!」
王子の衝撃発言に再び会場はシーンとなった。しかしそれはさすがに王子に失礼だっただろうか。
「……でも何故? だったらどうしてもう少し早く異常を言わなかったのですか?」
メアは王子の真意がよく分からなかった。
「バカだなあメア! そんなのいつか瑠璃ィが自分の口から言うのを待っていたのに決まっているだろうがっ! 思い出せ、瑠璃ィは僕とメアの危機を救ってくれたんだぞ、子分を信用出来なくて何が王子様かっ!!」
正直に言って、みんな馬鹿王子さまだと思っていたウェカ王子が、いきなり立派な事を言い出して一同ポカーンとした。
「……王子、そこまで……」
メアは何だかんだ言ってもほのかに慕っている王子がどんどんまともになって成長していて嬉しかった。
「ごめんやで……メアちゃんに王子、本当はウチが最初に言うべき事やったのに、ウチがグダグダして言う機会逃してしもて……ホントごめんやで……」
瑠璃ィは王子の期待と信頼を裏切りそうになっていた事に気付いて、珍しく真面目に深々と頭を下げて謝罪した。その途端にフードの男共が瑠璃ィの耳元でこそこそ囁く。
「え、なんやて? ウチは悪く無い、悪いのは全て我らだ、だからどんな厳罰でも受けるって??」
フードの男共は瑠璃ィの横で超高速で頭をウンウンと頷いた。
「なんだなんだお前ら、恥ずかしがり屋さんだなぁ~~言いたい事があったらちゃんと自分の口で言え! それに王子の前でフードを取らないのは失礼だぞ!!」
ウェカ王子の言う事はまたしても最もな正論だった……
「そうやで」
瑠璃ィに促されて、次々にフードの男共はフードを後ろに脱ぎ降ろした。
「我らの所為でウェカ王子様、メア殿に要らぬご心配をお掛けし申した。どの様な罰でも受けまする!!」
男達は深々と頭を下げた。
「ハハハハハハ、何だ何だ、物分かりの良い連中だなあ」
(あれ……結構普通……ていうかイケメンもそこそこ混じってる!? ……この人達きっと悪い人達じゃない……うん、私そう思う!!)
メアも最悪な思考回路だった……
「メアちゃんごめんやで……メアちゃんに要らん迷惑かけたわっ本当にごめんな」
「ううん、いいの瑠璃ィさん………………いやでも、やっぱり数々の妨害行為に関しては土下座して?」
「え?」
メアは半分本気だった……しかしその後伝書鳩はちゃんと小屋に戻ったという。
―夕食。
ようやく一同は素顔を見せながら普通に楽しく夕食を摂る事が出来たのだった。
「そうか……瑠璃ィは東の地のスイートスて国からの探検家で冒険家で旅人だったのか?」
「そうなんや~~~うっかりこの子らとはぐれてしもてなあ」
お酒を飲みながら笑う瑠璃ィを見てメアは思った、絶対コイツらまだ嘘付いてるだろと。
「東の地の景気ってどんな物なんだ?」
「ん~~~~~ぼちぼちでんなあ」
「ハハハハハハ、そうかぼちぼちかあ、なんだなんだ、元フード軍団も何か喋れっ!」
王子が笑顔で催促するので、元フード軍団も色々な事をオブラートで包みながらたどたどしく話した。
「……という訳で、我ら瑠璃ィ様とはぐれた後は、川を渡り谷を越え、山を越え、それは大変な旅をしたのです」
元フード軍団はほろりと涙を流しながら苦労をしのばせ語った。
「うんうんそりゃ大変だったなあ、谷を越え、山を越えか……ん? 谷を越え、山を越え……」
「ど、どうしたんですか王子?」
メアは急に黙り込んだ王子を心配して見た。
「谷を越え、山を越え……?? そ れ だ!!」
〇近、〇村〇葉のナイスアシストを受けたサスペンス主人公の様に、ウェカ王子のピンク色したつるつるの脳みそにある軍略が浮かんだ。
「どうしましたか王子っ!?」
「メドース・リガリァを攻める為にバックマウンテンを越える!!!」
メアに衝撃が走った。
(また……要らん事を思い付いたな王子……)
応援ありがとうございます!
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