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III プレ女王国連合の成立
ウェカ王子の山越え作戦
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後日、遂にユティトレッド魔導王国から量産型魔ローダーSRVが三機届いた。乗って来た操縦者はそそくさと本国に帰って行ったので、早速瑠璃ィキャナリーの部下達が乗り込んだ。
「なかなかええやんか。これ同盟締結式の時に一機だけ動いてたヤツやんなあ?」
「そうなんですか~~? 私には全部おんなじに見えますね~~~」
「いや色の違いくらいは判るだろメア……」
「いえ、色の違いすら分かりません!」
「嘘付けっ! でもこの艶々な緑色、戦闘機械って言うかもう趣味の乗り物だなあ……」
「何でもワックス掛けしやすい様に、魔法溶接跡とかが綺麗に除去されてるらしいんやで。何でも見掛けにはえらい気ー使った機体みたいやなあ」
「性能に気を遣えよ……」
等と無駄話している内に瑠璃ィの部下が乗り込んだSRVはスムーズに動き出した。
(い、いきなり王子に切り掛かったりしないわよね!?)
等とメアはまだまだ少し疑って心配して見ていたが、その様な事も無く、一通りデモンストレーションは終わって、部下達が降りて来る。
「お前ら、この魔呂はどんな感じだ?」
「はい……物凄いパワーが隠されているという事は無いですが、決して悪いという事は無いです。なかなか動きも滑らかで凄く良い機体だと思います。これが集団で稼働するならとても強力な戦力になるでしょう」
瑠璃ィの部下は忌憚の無い意見を言った。ちなみに量産型魔ローダーとココナツヒメのル・ワンに代表される様な特殊な魔ローダーの違いは、魔呂の中枢機関である『魔ァンプリファイヤ』の性能差と言えた。特殊な魔法を使って製造される魔ァンプリファイヤだが、過去の伝説的な魔呂製造者の中には偶然に高性能な魔ァンプリファイヤを製造出来る事があり、それには操縦者の魔力を特殊なスキルに変換する能力が付与出来た。それがル・ワンの瞬間移動やル・ツーの回復スキルである。しかし砂緒と雪乃フルエレの魔ローダー、日蝕白蛇輪の能力吸収スキルの原理はよく分かっていない。
「おうおうそうか、んでこの魔呂はどんな感じだ?」
「え? ……凄く良いです」
「おお! そうかっ!! よし、決めたっボクはパパ上に前に考えた大戦略をおねだりする事にする!!」
(お、覚えてたんか……)
メアはどうせ却下されるだろうと高を括っていた。
―そしてウェカ王子が開催をねだった軍議が開かれた。
「ハハハ、今日は何ですかな? ウェカ王子から依世ちゃん捜索の計画ですかな?」
重臣の一人が嫌味を言うと、場内に静かな笑いの渦が起こるが、威厳のあるウェカ王子の父、ラ・マッロカンプ王がひと睨みすると収まった。
「何なのだウェカよ、皆を呼び出してまでどの様な話があるのだ? つまらぬ話ならただでは済まんぞ」
威厳のある父王がウェカ王子にプレッシャーを掛けると、さすがの王子も緊張し始めた。
「ぱ、パパ上」
「父上だ」
「ち、父上、この度ユティトレッド魔導王国の使者から、速やかに兵を揃えイ・オサの新城に集結する様要請されているそうですが、それをそのまま履行して良いのでしょうか? ボクはそう思いません!」
「ほほう? 何故だ」
「はい、それは即ち我が国がユティトレッドの軍門に降るという事になってボクは凄く嫌です。北部海峡列国同盟は女王の元に集う対等な同盟であり、ユティトレッドの私兵になる事では無いと思うのです!」
「その通りだ……」
「依世ちゃん王子がマトモだぞ……」
王子の主張を聞いて重臣達が目を見張った。
(えへんっ王子様は日々成長してるのよっ!!)
「それで我が国はどうするのだ? 今回のメドース・リガリァ征伐戦には不参加とするのか?」
「いいえ違います! メド国征伐に不参加なのもラ・マッロカンプの評判を落とします。そこでボクの考えた策は、山越え攻めの策です!」
重臣達がヒソヒソと顔を見合わせる。
「山越え攻め策とは?」
「はい、我が国の中心に流れるラ・マッロカンプウララ川を遡上する様に川沿いを南に進み、ある程度進んだ所で東に移動して山を越え、メド国の裏口にあるバックマウンテンから一気に本国を急襲するのですっ!!」
会場がザワザワとなった。
「……まだメド国征伐のはっきりとした日取りが伝えられていない。どの様に最適なタイミングを図るのか?」
「はい! それはこの魔法モールス信号でっ!!」
「王子、王子、魔ローダーに乗ってたら魔法秘匿通信でやり取り出来るでっ」
これまで黙って話を聞いていた瑠璃ィキャナリーが、慌てて王子の耳元で囁く。
「魔呂の秘匿通信でっ!」
「それでも危険を伴う行動を開戦前に行い、長い間息を潜め待機する事になる困難な作戦ではないのか?」
「覚悟の上ですっ!!」
「王様っウチは何度か戦の経験がありますっ! 王子がやるゆうなら、全力でサポートしますさかいにっやらさせてあげて下さい!」
突然瑠璃ィも王子の主張に賛同して王様に直訴した。
「誰だ貴様は」
「ボクの家来一号だっ!! 凄く強いのです」
「我らからもっ」
「誰だ貴様らはっ」
「ボクの家来の瑠璃ィのさらに家来だっ!」
「……なんと知らぬ間にウェカにこの様な家来共が出来ておったとは……」
王様は目をつぶって考えた。依世ちゃん依世ちゃん言って世間からうつけだ変人だと思われていた王子が、知らぬ間に多くの家来を得て人望を集める存在になっていた事を嬉しく思った。
「……良いだろう、ただし条件がある。直接メド国を急襲するのはリスクが高過ぎる。ウララ川を遡上してそのままSa・ga地域の平野に出て、まずはソーナ・サガを攻める。それならば実行を許そう」
ラ・マッロカンプの王様は冷静な判断を下した。
「なかなかええやんか。これ同盟締結式の時に一機だけ動いてたヤツやんなあ?」
「そうなんですか~~? 私には全部おんなじに見えますね~~~」
「いや色の違いくらいは判るだろメア……」
「いえ、色の違いすら分かりません!」
「嘘付けっ! でもこの艶々な緑色、戦闘機械って言うかもう趣味の乗り物だなあ……」
「何でもワックス掛けしやすい様に、魔法溶接跡とかが綺麗に除去されてるらしいんやで。何でも見掛けにはえらい気ー使った機体みたいやなあ」
「性能に気を遣えよ……」
等と無駄話している内に瑠璃ィの部下が乗り込んだSRVはスムーズに動き出した。
(い、いきなり王子に切り掛かったりしないわよね!?)
等とメアはまだまだ少し疑って心配して見ていたが、その様な事も無く、一通りデモンストレーションは終わって、部下達が降りて来る。
「お前ら、この魔呂はどんな感じだ?」
「はい……物凄いパワーが隠されているという事は無いですが、決して悪いという事は無いです。なかなか動きも滑らかで凄く良い機体だと思います。これが集団で稼働するならとても強力な戦力になるでしょう」
瑠璃ィの部下は忌憚の無い意見を言った。ちなみに量産型魔ローダーとココナツヒメのル・ワンに代表される様な特殊な魔ローダーの違いは、魔呂の中枢機関である『魔ァンプリファイヤ』の性能差と言えた。特殊な魔法を使って製造される魔ァンプリファイヤだが、過去の伝説的な魔呂製造者の中には偶然に高性能な魔ァンプリファイヤを製造出来る事があり、それには操縦者の魔力を特殊なスキルに変換する能力が付与出来た。それがル・ワンの瞬間移動やル・ツーの回復スキルである。しかし砂緒と雪乃フルエレの魔ローダー、日蝕白蛇輪の能力吸収スキルの原理はよく分かっていない。
「おうおうそうか、んでこの魔呂はどんな感じだ?」
「え? ……凄く良いです」
「おお! そうかっ!! よし、決めたっボクはパパ上に前に考えた大戦略をおねだりする事にする!!」
(お、覚えてたんか……)
メアはどうせ却下されるだろうと高を括っていた。
―そしてウェカ王子が開催をねだった軍議が開かれた。
「ハハハ、今日は何ですかな? ウェカ王子から依世ちゃん捜索の計画ですかな?」
重臣の一人が嫌味を言うと、場内に静かな笑いの渦が起こるが、威厳のあるウェカ王子の父、ラ・マッロカンプ王がひと睨みすると収まった。
「何なのだウェカよ、皆を呼び出してまでどの様な話があるのだ? つまらぬ話ならただでは済まんぞ」
威厳のある父王がウェカ王子にプレッシャーを掛けると、さすがの王子も緊張し始めた。
「ぱ、パパ上」
「父上だ」
「ち、父上、この度ユティトレッド魔導王国の使者から、速やかに兵を揃えイ・オサの新城に集結する様要請されているそうですが、それをそのまま履行して良いのでしょうか? ボクはそう思いません!」
「ほほう? 何故だ」
「はい、それは即ち我が国がユティトレッドの軍門に降るという事になってボクは凄く嫌です。北部海峡列国同盟は女王の元に集う対等な同盟であり、ユティトレッドの私兵になる事では無いと思うのです!」
「その通りだ……」
「依世ちゃん王子がマトモだぞ……」
王子の主張を聞いて重臣達が目を見張った。
(えへんっ王子様は日々成長してるのよっ!!)
「それで我が国はどうするのだ? 今回のメドース・リガリァ征伐戦には不参加とするのか?」
「いいえ違います! メド国征伐に不参加なのもラ・マッロカンプの評判を落とします。そこでボクの考えた策は、山越え攻めの策です!」
重臣達がヒソヒソと顔を見合わせる。
「山越え攻め策とは?」
「はい、我が国の中心に流れるラ・マッロカンプウララ川を遡上する様に川沿いを南に進み、ある程度進んだ所で東に移動して山を越え、メド国の裏口にあるバックマウンテンから一気に本国を急襲するのですっ!!」
会場がザワザワとなった。
「……まだメド国征伐のはっきりとした日取りが伝えられていない。どの様に最適なタイミングを図るのか?」
「はい! それはこの魔法モールス信号でっ!!」
「王子、王子、魔ローダーに乗ってたら魔法秘匿通信でやり取り出来るでっ」
これまで黙って話を聞いていた瑠璃ィキャナリーが、慌てて王子の耳元で囁く。
「魔呂の秘匿通信でっ!」
「それでも危険を伴う行動を開戦前に行い、長い間息を潜め待機する事になる困難な作戦ではないのか?」
「覚悟の上ですっ!!」
「王様っウチは何度か戦の経験がありますっ! 王子がやるゆうなら、全力でサポートしますさかいにっやらさせてあげて下さい!」
突然瑠璃ィも王子の主張に賛同して王様に直訴した。
「誰だ貴様は」
「ボクの家来一号だっ!! 凄く強いのです」
「我らからもっ」
「誰だ貴様らはっ」
「ボクの家来の瑠璃ィのさらに家来だっ!」
「……なんと知らぬ間にウェカにこの様な家来共が出来ておったとは……」
王様は目をつぶって考えた。依世ちゃん依世ちゃん言って世間からうつけだ変人だと思われていた王子が、知らぬ間に多くの家来を得て人望を集める存在になっていた事を嬉しく思った。
「……良いだろう、ただし条件がある。直接メド国を急襲するのはリスクが高過ぎる。ウララ川を遡上してそのままSa・ga地域の平野に出て、まずはソーナ・サガを攻める。それならば実行を許そう」
ラ・マッロカンプの王様は冷静な判断を下した。
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