蝶と共に

珈琲きの子

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第二部 第二章

助けないと

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ティーロがアル以外と致してます。
飛ばしても多分大丈夫ですので読みたくない方は次話に……!









「ティーロには何もしないって言ったじゃないか!」
「そのようなことは言った覚えがないな」
「そんな……! いるだけでいいって!」

自分が起きてるのか寝ているのかわからない。叫び声がふわふわとした意識を劈いて、頭の中でエコーのように響いた。
頭が痛い。吐き気もする。なのに体は動かなくて、苦しさだけが募っていく。助けを求めて瞼を開けば、見たことのある少年が恰幅のいい男に飛びかかろうとしているところだった。
当然敵うはずもなく、小さな体は突き飛ばされて床を転がる。派手な音を立てて壁に背中を打ち付け、そのまま動かなくなってしまった。

助けないと。
そう思うのに全身の筋肉という筋肉が言うことを聞かず、俺はただその子が引きずるように連れていかれるのを眺めることしかできなかった。

意識はプツリと闇に沈み、水の中にいるかのようにゆっくりと揺蕩う。時折水面に浮き上がれば、「ごめんね」という声が聞こえる。どこかで聞いたことがあるのに、耳を撫でるだけで音は滑り落ちていってしまった。

「聞こえるかい?」

優しくて、小さな囁き。
寝ぼけている時に話しかけてくる人は一人しかいない。

「……アル……?」

目を開いたのに視界は真っ暗に閉ざされていて、聴覚だけが研ぎ澄まされていた。布の擦れる音と誰かの浅く苦しそうな息遣いが聞こえる。

「これを口に含むだけでいい。呑み込まずにすぐに吐き出して」

耳元でまるで内緒話をするかのような声だった。そして口の中に放り込まれたのは飴玉のようなもの。

「すまない。ユーエンを助けるためなんだ」

ユーエン?
そうだ、あの少年はユーエンで……。あぁ、早くユーエンを助けなきゃ。

サッという布が引かれる音がすると、顔を横に向かされ「吐いて大丈夫」と口の中に指を入れられて、飴玉を掻き出された。

そして足を抱え上げられ、宛がわれたものがゆっくりと中に入って来る。その動きだけで異常なほどの快感を拾って、体が反り上がりガクガクと痙攣を起こした。

「……っ、ああ゛あっ、あぁあ」

喉から無意識に悲鳴があふれ出て、揺らされる度に絶頂に達する。神経が灼き切れるような快楽に振り回されて、意識を失うのはすぐのことだった。



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