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5章:料理研究部
7:期待感
しおりを挟むそれから二人、入部申請書を書いたり、葉宮くんに料理研究部で作った料理の写真を見せてもらった。
「これがハンバーグで……先輩達が引退する前に作った載せたいものを好きなだけ載せるパフェ……。さっきも言った通り、基本話し合って作りたい料理を作る感じかな」
「なるほど……」
「とても美味しそうだね」
料理は写真と一言メモと共にまとめられている。どれも美味しそうだ。一品のおかずから定食のようなメニュー、そして見慣れない創作料理のようなものまで様々。
しばらくこれまで活動してきた内容を紹介してもらった後、セリ先輩のアルバイトの時間のタイミングで解散することとなった。料理の時は日にちを決めて遅くまでやることもあるけれど、そうじゃない日は月曜・水曜・金曜に集まりたい人が集まる、という感じだ。
それぞれの都合とか、みんな集まって夏休みの話もしたい、ということで次の部活動は来週の金曜日となった。
「今日はありがとう! また次もよろしくね!」
「二人とも! また会おう!」
「じゃあね、古谷くん! ガレットくん!」
昇降口で俺達はバス停に向かっていく葉宮くんと先輩方に向かって会釈する。ガレットはにこやかに微笑みながら手を振っていた。三人は昇降口から
俺達は二人でまたいつもの道を帰っていった。
「これから、また楽しくなりそうだね」
「そうだな……」
まさか、俺が部活に入るとは思わなかった。ずっと一人でいると思っていたのに、まさか、みんなで料理を作ることが出来る部活に入れるなんて。
これから、一体どんな日常に変わるのか、ワクワクしている。
それも、あのときガレットが助けてくれたおかげだ。
先ほどのことを思い出すように、俺はそっと肩に触れた。柔らかな肩の重みが、俺に勇気を与えてくれた。
「……ありがとう、ガレット。あのとき、助けてくれて……」
もし、あの時ガレットがいなかったら、きっと俺はまた、上手くいかなかったと思う。
俺の答えに、彼はふわりと微笑んだ。
「ワタシは何もしてないよ。この結果はキミが頑張ったからだよ」
「そんなことはないよ。ガレットが応援してくれたから……」
「これから、もっと日常が楽しくなるといいね」
「……ああ」
「きっと、キミの料理も彼等に喜んでもらえるよ」
「……そうだと、いいな」
ガレットの言葉に、胸が熱くなった。
葉宮くんにセリ先輩にシソ先輩。三人にも俺の料理を喜んでもらえるのだろうか。想像して、少しだけ口元に笑みが浮かぶ。
そのまま、二人で家までの道のりを歩いていった。
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