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3章:学校生活

18:購買での出会い

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 どのぐらい時間が経ったのだろうか。ようやく購買で売っているものが見えるようになった。

「とりあえず余っているものを何かしら買おう……!」
「そうだね……!」
「俺、行ってくるよ!」

 ようやく店員さんのすぐそば、商品が売ってある場所までたどり着いた。
もちろん、新発売の弁当はとっくに売り切れてしまっている。新発売の弁当どころか、おかずパンやご飯になりそうなものはほとんど売り切れていた。ちゃんと残っていたのは、業務用の保冷ボックスに入っているデザートくらいだ。今日の昼食はこれになるのだろう。


「あ……!」

ご飯になりそうなものが売り切れていると思い、一番お腹に溜まりそうなプリンを頼もうとしたところで、俺の視線がパンをとらえた。
 一つだけ、パンが残っていた。入っていた容器のすみっこにパンが残っていた。メンチカツパン。
 選ぶ余裕は全くない。俺は残っている一つのパンに手を伸ばした。

瞬間、伸ばした手に別な体温の感触。

 隣にいた人の手が触れて、カルタとりのようになってしまった。
隣にいたのは全く知らない人だった。背は俺よりすこし低いけれど、校章の数字が違う。校章には二、と記されていたから二年生の先輩だ。制服を少し着崩していて、どこか気さくで、そしてちょっと不思議な雰囲気がある。ガレットみたいな人間とかけ離れた不思議、というよりは、独特の雰囲気を持つ、という感じの人だ。

「あ、す、すみません……!」

 びっくりして思わず慌てて手を引っ込めてしまった。単純に驚いた反射の動き。けれど、すぐに怖がらせていないだろうか。という不安が走る。
先輩は、一瞬驚いた顔をするものの、にこり、と笑いかける。なんだか面白いものを見た、とでもいう風に。

「おお、こちらこそ失礼」

 先輩は、俺に怖じ気づく様子は全く見せなかった。

「一年生?」

それどころか、気さくに俺に話しかけてきてくれた。

「あ、は、はい……」
「もしよかったら食べてほしい」

 先輩はメンチカツパンを手に取ると、それを俺に手渡した。

「い、いいんですか……!?」
「ああ、随分お腹を空かせた顔をしているからね」

友人も一年次にこの時期にこういった洗礼を受けていたからね。と先輩はどこか懐かしそうに言う。遠い思い出話をしている感じがあるけれど、この先輩は留年でもしたのだろうか。

「で、でも……」
「いいんだ。ボクにはこれからまた食事が待っているんだ」

 これぐらい小腹が空いていた方がいい。と軽く言う。そして、俺に気を遣わせないように、売っていたピーチティーだけを買うと、その場を立ち去ろうとする。

「す、すみません……ありがとうございます……」
「礼には及ばないよ。またどこかで会おう」

 先輩はにこやかに笑う。売っていたゼリーだけ買うと、俺に背を向けて歩き始めた。
なんだかアニメのキャラクターのような独特の存在感を持っていた人だった。けれど、俺を見て特に怖がったり、変な目を向けなかった。それが嬉しかった。
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