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2章:魔法使いガレットとの穏やかな日々

1:一緒の夜を過ごす

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 あの後、家や生活のことをいろいろ説明したり、明日の食事の準備をしていたら、いつの間にか眠る時間になってしまった。いろいろと試してもらったけれど、問題なく日常生活は送れそうだった。そして、ガレットも食欲があるということで、明日の朝は鶏肉入りのおじやを作って、昼は照り焼き弁当にすることにした。

 そして、二人、同じ部屋で一緒に寝ることになったのだ。
 話し合いの結果、しばらくは俺が床に布団を敷いて、ガレットがベッドで寝ることになった。

 今、俺の部屋にガレットはいた。

「この、ジャージ、という服はなかなか着心地がいいね」

 今のガレットは紺色の長袖のスポーツジャージを着てベッドの上にいる。俺が着ているものと同じ。
 先ほどまでガレットが着ていたのは「魔法使い」と聞いてイメージするような上質なマントだった。ただ、それで眠るのは少し寝苦しいということで服を貸すことになった。魔法が使えればすぐに着替えることが出来るらしいけれど、それが出来ないから。俺のいつも着ているジャージを貸した。それしかなかったから。

「……人が来ること、あんまり、考えてなくて……」

 言い訳のように口にする。
 身長はあまり変わらないから服のサイズはあまり問題がない。顔も体躯も芸術品みたいな理想のスタイルだから、まるで商品ホームページのモデルみたいに着こなしている。それでも、さっきまでとても上質そうな服を着ていたのに、俺のジャージを着せるのはちょっとだけ、申し訳なさがある。

「とても動きやすいし、それに、章太郎とおそろいなのは嬉しいよ」
「……」

 でも、ガレットは楽しそうだ。
 着た印象は全く違うけれど、俺とガレットはペアルックになっている。それがガレットは嬉しいみたいだ。確かに、そう言われてみると、誰かと一緒の服を着るっていうのは、初めてかもしれない。

「……今度、一緒に服とか買いに行こうか」

 食器も日用品もしばらくは来客用のとか、予備のものをしばらくは使おうと考えているけれど、これから長い間一緒に暮らすんだったら、やっぱり、いろいろ必要だと思うから。
 俺が言うと、ガレットはさらに嬉しそうに笑う。なんだか商業施設に行く、って行った次の日の子どもみたいだった。

 時計を見る。いつもと変わらない就寝時刻。いつもは一人で黙って眠るのに、誰かが一緒にいる部屋で眠るなんて随分と久しぶりだった。

「……そろそろ、電気消してもいいか?」
「ああ。大丈夫だよ」

 真っ暗闇の部屋。おやすみ。章太郎、と柔らかい声が聞こえてきた。

「……おやすみ」

 誰かに、おやすみ、って言われて眠るのは久しぶりかもしれない。少し慣れないながらも、おやすみを返す。
 すぐにガレットの穏やかな寝息が聞こえてくる。間違いなく疲れていたと思う。

 そういえば、ガレットは一体どうしてこちらに来たんだろうか。聞きそびれてしまった。いろいろと聞きたいことはあるけれど、俺も疲れていたみたいで、すぐに眠気が襲ってきた。

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