ユニーク賢者の異世界大冒険

ハヤテ

文字の大きさ
上 下
543 / 608
第14章 更なる「力」を求めて

第492話 春風編53 2人の「エルード」

しおりを挟む

 エルード……否、この世界の「光」を司る少女・「白のエルード」と、その姉である「闇」を司る少女・「黒のエルード」。

 そう名乗った2人の少女を前に、春風は「ええ!?」と言わんばかりの驚きに満ちた表情になったが、すぐに真面目な表情になって、

 「と、!」

 と、2人の「エルード」を交互に見ながらそう言った。
 
 その後、その場にいる者達全員が沈黙していると、

 「……えっと、は一体何かな?」

 と、フリードリヒがタラリと汗を流しながらそう尋ねてきた。

 春風はその質問答える。

 「え、いや、彼女達のニックネーム的な呼び名ですけど」

 「何言っちゃってんのかな君は!? この子達はみたいな存在なんだよ!?」

 と、フリードリヒが突っ込みを入れると、

 「アハハ! 、気に入った!」

 「……うん、私も気に入った」

 と、2人のエルードはもの凄く嬉しそうな表情になって、

 「それじゃあ、私の名前は『シロエル』ね!」

 「……そして、私は『クロエル』。よろしくね、ハルッち君」

 と、2人は改めてそう自己紹介した。

 因みに、そんな2人を見てフリードリヒは「やれやれ……」と呆れ顔になっていたが、春風達はそれをスルーした。

 すると、春風は「あ、しまった!」と、何かを思い出したと言わんばかりの表情になって、

 「すみません、で、ここへ来たのはいいですけど、この後俺、どうすればいいんですか!?」

 と、フリードリヒに向かってそう尋ねた。

 すると、

 「……心配しないで、ハルッち君」

 と、「黒のエルード」改め、クロエルが答えた。

 その言葉に春風が「え?」っとなると、クロエルは話を続ける。

 「……フリード君が言ったように、私達はこの世界そのもの。だから、ハルッち君がこの世界に来てから、どれだけ頑張ってきたのかはよく知ってる。自分の故郷のことだけでも大変の筈なのに、この世界のこともちゃんと見ていることも知ってる。本当に、ありがとう。そして……ごめんなさい」

 そう言うと、クロエルは春風に向かって深々と頭を下げた。それに続くように、シロエルも「ごめんなさい」と深々と頭を下げた。

 春風はそんな2人を見て、「え、ええ、そんな……」と困惑していると、クロエルはゆっくりと頭を上げて、

 「……ハルッち君、ここへは更なる強さを求めて来たんだよね?」

 と、質問してきたので、

 「うん、俺はその為にここに来たんだ。君は、何か知ってるの?」

 と、春風はまっすぐクロエルを見てそう尋ね返した。

 その問いに対して、クロエルもまっすぐ春風を見て答える。

 「……うん、知ってる。だってハルッちを強くするのは、だから」

 すると、

 「ちょっとお姉ちゃん! でしょ!?」

 と、シロエルが割って入ってきた。

 「……いやいや、。シロちゃんはもうやったでしょ? 次は私の番だよ」

 「うう! それは、そうだけど……」

 という2人のやり取りを聞いて、

 「? それ、どういうこと?」

 と、春風が首を傾げながら尋ねると、

 「……ハルッち君、『見習い賢者』から『半熟賢者』にした時のこと、覚えてる?」

 と、今度はクロエルが春風にそう尋ね返したので、

 「え? ああ、うん、覚えてるよ」
 
 と、春風はそう答えて、

 (ああ、そういえばあの時はシロエルがやってくれたんだよなぁ……)

 と、その時のことを思い出した。

 すると、

 「……え、ちょっと待って。もしかして……!」

 と、春風は何かに気づいたかのようにクロエルに尋ねた。

 クロエルはそれにコクリと頷くと、

 「そう。私の役目は、ハルッち君を『半熟賢者』から真の『賢者』にランクアップさせることなの」

 と答えた。

 その言葉を聞いて、

 (おお! 遂に、俺が『賢者』に!)

 と、心の中でそう呟きながら、ゴクリと唾を飲んだ。

 しかし、

 「……おっと、喜ぶのはまだ早い」

 と、クロエルはスッと右手を上げて「待った」をかけたので、春風はギョッとなって、

 「え、何、どういうこと!?」

 と、クロエルを問い詰めると、

 「……ちょっと聞きたいことがあるの」

 と、クロエルは真面目な表情でそう答えたので、春風は気持ちを落ち着かせて、

 「……聞きたいことって、何?」

 と、再び尋ねた。

 それに対して、エルードは春風に真剣な眼差しを向けながら、

 「……ハルッち君、『、ある?」

 と、再び尋ね返した。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

聖女の姉ですが、宰相閣下は無能な妹より私がお好きなようですよ?

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:19,226pt お気に入り:11,951

神に捧げる贄の祝詞

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:133

異世界じゃスローライフはままならない~聖獣の主人は島育ち~

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:9,698pt お気に入り:9,025

奇跡の街と青いペンダント

児童書・童話 / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:1

ただ、好きなことをしたいだけ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:42

プラトニックな事実婚から始めませんか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:8,342pt お気に入り:32

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:867pt お気に入り:3,917

特別な人

BL / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:73

処理中です...