ユニーク賢者の異世界大冒険

ハヤテ

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第12章 集結、3人の「悪魔」

第346話 春風&彼岸花無双

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 リアナ・フィアンマ。桜庭水音。そして、幸村春風。

 ジゼルが遺した「予言」に出てきた3人の「悪魔」。

 その「悪魔」が、今、自分達の目の前にいるという事実に、観客席にいる者達は、皆ただ固まるだけだった。

 そんな状況の中、空中にいる「神」を名乗っているガストはというと、

 「……お、、だったのか」

 と、声と体を震わせていた。

 そして、

 「だったのかーっ!」

 と叫ぶと、ガストは春風達に向かって次々と攻撃を繰り出してきた。

 風を固めて作られた、いくつもの弾丸や槍、手裏剣が、春風達に襲いかかる。

 それを見て身構えるリアナと水音だが、

 「ちょっと失礼」

 と、春風が2人の前に出た。

 「やるぞ、彼岸花」

 と、小さくそう言うと、春風は彼岸花をグッと握り、力を込めた。

 すると、それまで使っていた「赤刀・彼岸花分身」以上の真紅の刀身が、禍々しい真っ赤なオーラを纏い始めた。

 春風はその状態の彼岸花を構えると、

 「薙ぎ払ええええええっ!」

 と叫んで、ガストが放った攻撃に向かって力いっぱい振るった。

 次の瞬間、真っ赤なオーラは巨大な斬撃となって放てれて、ガストの攻撃を全て打ち消した。

 「なっ!?」

 その後、斬撃は勢いが弱まることなくガストに向かったが、ガストは間一髪のところで回避した。

 「くっ! なら、これでどうだぁ!」

 そう叫んだガストは、自身の周囲いくつかの魔法陣を描いた。

 すると、そこから無数の見たこともない魔物が現れた。

 「お、初めて見る魔物だ」

 と、春風が感心していると、

 「ハーハッハッハ! どうだ、こいつは僕ら『神』が作り上げた『神獣』達だ! さぁ行けお前ら、まずはアイツから殺せぇ!」

 と、ガストは春風を指差しながら、その「神獣」と呼ばれた魔物達にそう命令した。

 その命令を受けて、「神獣」達が春風に襲いかかるが、肝心の春風は、何処か落ち着いた様子だった。

 「フーちゃん!」

 「ハル様ぁ!」

 と、観客席の歩夢とイブリーヌが悲鳴をあげると、春風は再び彼岸花に力を込めた。ただ、先程とは違って今度は込めた力が弱いのか、刀身に纏わせたオーラは何処か薄く見えた。

 ガストはそれを見て、

 「ハッ! どうやらそれがお前の限界のようだな! これでくたばれぇえええええ!」

 と、笑いながらそう叫ぶと、

 「……フン!」

 と、春風は彼岸花を思いっきり地面に突き立てた。

 次の瞬間、地面から無数の真紅の刀身が伸びてきて、「神獣」達を貫いた。

 更に、

 「爆ぜろ」

 と、春風が小さく呟いたその時、貫かれた「神獣」達は皆、次々と爆散した。

 「……は? え?」

 ガストは目の前で起きたあまりの出来事に理解が追いつかないのか、何度も目をパチクリとさせながら呆然としていた。

 だが、すぐにハッとなって、

 「お、お前ぇ、よくもぉ!」

 と、今度は更に大きな魔法陣を描いた。

 そして、そこから現れたのは、漆黒の鎧に身を包んだだった。

 春風はその巨大な騎士を見て、

 「おお! もしかしてゴーレム系!? それともリビングアーマー系!?」

 と、目を光らせながら尋ねたが、

 「ええい、五月蝿い! 行けぇ! 行けぇ!」

 と、ガストは怒りで我を忘れているのか、春風に向かって喚きながら巨大な騎士にそう命令した。

 それと同時に春風に向かってパンチを繰り出す巨大な騎士。

 しかし、

 「おおっと!」

 と、春風は難なくこれを避けると、パンチしてきた巨大な騎士の腕にジャンプして飛び乗った。

 その後、

 「ウオオオオオッ!」

 と、その腕の上を走ると、肩の辺りで再びジャンプした。
 
 そして、両手でガシッと彼岸花を握ると、三度力を込めた。

 次の瞬間、細身だった刀身は、まるで大剣の刀身のように大きくなった。

 「いっけぇえええええええっ!」

 と、春風はそう叫ぶと、その大きくなった刀身の彼岸花を、巨大な騎士の頭めがけて振り下ろした。

 すると、騎士は抵抗する間も無く、頭から真っ二つに斬り裂かれた。

 「そ、そんな……」

 巨大な騎士までやられて、ショックを受けたガスト。

 「いつまで見下ろしてる気だ?」

 という声に、ガストはハッとなったその時……。

 「なっ! お、お前!」

 すぐ目の前に春風が現れたので、驚いたガストは行動を起こすことが出来ずに、

 「フン!」

 「ガハァ!」

 思いっきり春風に右ストレートで殴り飛ばされて、そのまま地面に落下した。

 それと同時に、春風もスタッと地面に着地した。

 「ぐ……。よ、よくも、お前ぇ……」

 と、辛そうに立ち上がるガストに、

 「で、もう終わりかい? 自称『神様』さん」

 と、春風は冷たく言い放った。
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