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第12章 集結、3人の「悪魔」
第347話 vsガスト、決着?
しおりを挟む春風に殴り飛ばされて、地面に激突したガストは、殴られた部分を手で押さえながらどうにか立ち上がると、
「お、お前ぇ……」
と、目の前にいる春風をキッと睨みつけた。
一方、睨まれている春風はというと、
「フン」
と、彼岸花の峰で肩をトントンと叩きながら、涼しい表情で真っ直ぐガストを見つめていた。
そんな春風の態度に、ガストは更に頭に血が昇ったのか、
「チクショオオオオオッ!」
と、怒りに任せて何度も風の弾丸を放ってきた。
その攻撃に対して、春風は身構えようとしたその時、
「「ハァッ!」」
「ん?」
突然、背後から声がしたのと同時に、その声が放ったかのような攻撃が、ガストの風の弾丸を全て打ち消した。
「そ、そんな……」
ガストがその出来事にショックで呆然とする中、春風は声がした方へと振り向くと、そこには攻撃を終えたかのような体勢のリアナと水音がいた。
「助かったよ2人共」
と、春風がお礼を言うと、
「全く、『目立つのは嫌い』って言ってた癖に……」
「ほんとやることは派手なんだから」
と、2人は呆れ顔でそう返した。
そんな2人に対して、
「アハハ、ごめんごめん」
と、春風は苦笑いしながらそう謝罪した。
そして2人が春風に合流すると、春風は再びガストの方へと向き直り、口を開く。
「さて、自称『神様』さん」
冷たく言い放った春風に、ガストが「ぐっ」と唇を噛むと、リアナと水音も続けて口を開く。
「お父さんとお母さんの『力』を奪ったことと……」
「僕達異世界人を巻き込んだこと……」
「そして、エルードと地球に多大な迷惑をかけたこと、償ってもらうぞ」
そう言って、春風は彼岸花の切っ先をガストに向けた。
ガストはそれにビビったのか、
「ゆ、勇者達、僕を助けろ! 目の前に、世界を滅ぼす『悪魔』がいるんだぞ!」
と、観客席にいる小夜子とクラスメイト達に向かって怒鳴ったが、
『……』
小夜子とクラスメイト達の半数は、どうすればいいのかわからずオロオロとし、もう半数ーー歩夢や鉄雄達は、
『(ツーン)』
と、皆そっぽを向いていたので、誰もガストを助けようとはしなかった。
そんな彼を見て、
「そ、そんな、お前達……」
と、ガストは顔を真っ青にして絶望した。
そして、そんなガストに構わず、春風達が一歩を踏み出そうとした、まさにその時、上空から春風達に向かって眩い光が放たれた。
それに気づいた春風達は、すぐにその場からその場からジャンプして離れると、ドォンという爆発音と共に、その光はその場に大きなクレーターを作った。
(オイオイ、一体何事?)
と、春風がそんなことを考えていると、上空から長い金髪の青年が、ガストの側に降り立った。
「戻るぞ、ガスト」
と、青年はそう言うと、ガストを脇に抱えた。
それを見た春風は、
「っ! 待て!」
と、金髪の青年を止めようとしたが、
「邪魔をするな」
と、金髪の青年は手から先程以上の眩い光を放った。
(うわっ! 眩しい!)
と、思わず両手で顔を覆った春風。それは、リアナや水音、更に観客席にいる者達も同様だった。
そして、光が弱まったのがわかって、春風達は顔から両腕をどかしたが、目の前にいたガストと金髪の青年の姿は、影も形もなかった。
「く、逃げられたのか!?」
「ど、どうしよう、ハル!?」
と、リアナにそう尋ねられた春風は、
「いや、今はやめておこう、深追いはするもんじゃないよ。それに……」
「「?」」
「俺の右腕、今こんな状態だし」
春風のその言葉に、リアナと水音が「え?」と春風の右腕を見ると、
「「うわあああああああっ!」」
もう既に腕全体に、大量の彼岸花の触手が絡みついていた。
「ちょ、ちょっとハル! 何なのこれぇ!?」
「だ、大丈夫なの春風!? これ、大丈夫なの!?」
と慌てた様子のリアナと水音が尋ねると、
「うーん、このまま行くと全身に絡みついて、最後は体丸ごと彼岸花に取り込まれる……かな?」
と、春風は苦笑いしながらそう答えたので、
「「すぐに捨てて! それすぐに捨ててぇ!」」
と、2人は怒鳴りながら春風に彼岸花を捨てろと怒鳴った。
「ふ、2人共、落ち着いて……」
春風はなんとか2人を宥めようとしたその時、彼岸花が視界に入ったので、
「……よろしくね、彼岸花」
と、彼岸花に向かって小さくそう言ったが、
「「早く捨ててぇえええええええっ!」」
と叫ぶ2人を見て、
(……うーん、どうしたもんかねぇ)
と、春風は左手でポリポリと頭を掻き始めた。
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