ユニーク賢者の異世界大冒険

ハヤテ

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第12章 集結、3人の「悪魔」

第335話 春風vsループス3 春風とアデレードの「答え」

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 春風とループスの決闘中に起きた突然の暴露イベント。

 ループスが引き起こしたそのとんでもない出来事に、闘っていた春風は勿論、リアナと歩夢、そして、何故か水音までもが膝から崩れ落ちた。

 その一方では、名前を呼ばれたイブリーヌ、凛依冴、ジゼル、ルーシー、アデレード、そして美羽はというと、「アハハ」と苦笑いしながら気まずそうにそっぽを向く美羽を除いて、全員恥ずかしそうに顔を赤くし、他の人達はその突然の暴露にポカンとなっていた。

 ただし、ギルバートを除いては。

 そんなある意味「カオス」な状況の中、最初に口を開いたのは、

 「……ハッ! ど、どういうことだ幸村ぁ! あ、いや、この場合は海神や桜庭、天上もか!? ああ、もう! 誰か、あの方が言ったこと説明してくれーっ!」

 小夜子だった。

 といってもかなり混乱している様子だが。

 そんな小夜子の声を聞いて、春風もハッと我に返り、ゆっくりと立ち上がってループスに尋ねる。

 「ループス様、この大事な戦いの最中に一体どういうおつもりですか?」

 「どういうも何も、ただを言っただけだが?」

 「だったら俺だけで良いでしょう? 何故、水音まで巻き込んだんですか?」

 「決まってるだろ、それはお前と水音が、と結ばれようとしているからだ」

 「どういう意味ですか?」

 「お前達はいずれ、故郷の世界に帰る身なのだろう? そうなった時、お前達は彼女達をどうするつもりなんだ?」

 「っ……!」

 真剣な表情でそう尋ねてきたループスに、春風はドキリとなった。そして、それは先程までガクリと項垂れていた水音も同様だった。

 「ハル……」

 「フーちゃん……」

 リアナ達が心配そうに見守る中、春風は辛そうに考え込む姿勢になった後、やがて意を決したかのような表情になって口を開く。

 「……そうですね。確かに、あなたの言う通り、俺達『異世界人』は、いずれ元の世界へ帰らなきゃいけないでしょう」

 『……』

 「ですが、俺だって何も考えてないわけじゃあないんですよ。ちょっとですが、その点に関しては『考え』があります」

 真剣な表情でそう言い放った春風に、ループスは「ほう」と小さく呟くと、

 「その物言い。どうやらお前には、『娘達と別れる』という選択肢を選ぶ気はないようだな?」

 と、少し意地悪な感じで春風に尋ねた。

 すると、春風は小さく「ハハ」と笑って、

 「『別れる』、か。確かに、『愛してるか?』と問われれば、正直に言いますと『自信はない』でしょうね、情けないことに」

 と、自嘲気味に言った。

 「はっ。随分と弱気だな」

 「当然でしょ? 付き合いの長いユメちゃんや師匠、ミウさんと違って、この世界で出会ったリアナにイブリーヌ様、ジゼルさんやルーシーは、出会ってからまだ数ヶ月しか経ってないんですよ。特にアーデさんなんて、先程『良い雰囲気』なんて言われましたが、リアナ達以上に日は浅いですし、リアナはアーデさんのこと嫌ってるみたいですし、というより俺、彼女に酷いことしちゃった感の方がでかいですし」

 「ああ、リアナとの関係ことなら俺も知ってる。そして、お前との戦いのこともな。そんなに気にするほどのことでもないと思うぞ。お前とアデレード姫は正々堂々と戦ったわけだし、その後再戦の約束まで交わしたのだろう?」

 そう言うと、ループスはアデレードの方を向いて、

 「なぁ、アデレード姫。お前さんは、こいつと娘のリアナのことどう思ってるんだ?」

 と、春風を指差しながらそう尋ねると、それまで顔を赤くしていたアデレードは、すぐに真面目な表情になって答える。

 「……そうですね。確かに春風君の言う通り、私とはまだ出会ってから日は浅いですが、それでも、彼がどれほど素晴らしい人間かは理解してますよ。そして、あなたの娘であるリアナのことも。彼の『ハーレム』に加わるかは、今のところは『未定』……というより『保留』と言えば良いんでしょうが……出来ることなら、再戦の約束が果たされた後も、彼とリアナと共に生きたいと思ってます」

 そう言ったアデレードの言葉に、ループスは小さく「そうか」と呟くと、

 「だ、そうだ。良かったな春風。そしてリアナも」

 と、春風とリアナを交互に見ながら言った。その言葉を聞いて、春風もリアナも顔を真っ赤にした。特にリアナにいたっては顔からプシューと湯気が出ていた。

 ループスはその様子を見て、クスリと笑うと、

 「なぁ、春風。お前はさっき『自信がない』と言ってたが、だからといってリアナ達を悲しませる気なんてこれっぽっちもないんだろう?」

 「はい」

 「うわぁ即答かよコノヤロー」

 「それはそれ、これはこれですよ。自信ないからといって、リアナ達を泣かすような真似なんて絶対にしたくありません。彼女達には、心の底から笑ってほしいですから」

 真っ直ぐループスを見てそう答えた春風。

 それを聞いたループスは、

 「ならばその想い、この俺に勝って貫いてみせろ!」

 と言うと、手に持った長剣を構え直し、全身に力を込めた。

 先程まで戦ってた時よりも、体つきが大きく、がっしりとしてきたのが周囲の人達に理解出来たのか、皆緊張してタラリと冷や汗を流した。

 「さぁ来るがいい春風! 今度は先程までのようにはいかないぞ!」

 そう言ったループスに対して春風は、

 「そちらがそう来るのなら、俺がすることはただ1つです」

 と言うと、手に持つ彼岸花に向かって、

 「……ごめん、彼岸花。俺の我儘に、付き合ってもらうぞ」

 と、周りに聞こえないように小さく言うと、その彼岸花を鞘に収めて、とある「構え」をとり、ゆっくりと深呼吸した後、スッと目を閉じて、

 「全スキル、オフ!」

 と、静かに言い放った。
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