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第12章 集結、3人の「悪魔」
第334話 春風vsループス2 「神」の叫び
しおりを挟む(……え? 今、ループス様は何て言った?)
ループスが何を言っているのか、春風は理解出来なかった。
(俺が、『リアナに相応しい男かを試す為』って言ったのか?)
頭上にいくつもの「?」を浮かべながら、そんなことを考える春風は、
「……そこは、『この世界の為』的な理由じゃないんですか?」
と、ループスに向かってそう尋ねると、
「勿論この世界は大切さ。だが俺もヘリアも、『神』であると同時に可愛い娘を持つ『親』でもあるんだ。だから、その娘であるリアナの『幸せ』を願うのは、親として当然なんじゃあないのか?」
と、ループスに一切の迷いのない言葉で尋ね返された。
その言葉を聞いて、観客席にいるウィルフレッドとギルバートは、
「なぁギル、気の所為かあの方が言ってることが理解出来てしまってるのだが?」
「奇遇だな。俺もだ」
と、2人して遠い目をしながら「ハハハ」と乾いた笑い声をこぼした。
同じ娘を持つ父親のサガというものなのだろう。
そんな時、
「……いやちょっと待ってください! あなたホントに何を言ってるのですか!?」
と、ハッと我に返った春風が、ループスに向かって再び尋ねた。
ループスは春風の問いに、「フッフッフ」と笑いながら答える。
「オイオイ、今更シラをきる気か? 昨日の裁判で、そこにいるウィルフレッド王が言ってたように、お前は彼の娘であるイブリーヌ姫とキスをしたな。だが……」
『?』
「お前その前に、我が娘リアナともキスをしてたじゃあないかぁ!」
「……んがっ!?」
『な、何ぃ!?』
まさかの爆弾発言に、春風だけでなく周囲の人達までもが驚きの表情になった。
だが、ループスの勢いは続き、
「更にその前に、我が分身の体内でお前……」
と、そこまで言うと、ループスは長剣の切っ先を歩夢に向けて、
「そこにいる幼馴染みのユメちゃんこと勇者・海神歩夢ちゃんからも、キスされてたじゃねぇか!」
「ふががっ!?」
『な、な、何ぃ!?』
「それだけじゃねぇ。お前その歩夢ちゃんと一緒に、師匠である間凛依冴さんからもキスされてぇ!」
『ういいいいいいいっ!?』
「ちょ、ちょま……」
「そこにいるルーシーちゃんからは『ハグ』されてたよなぁ!?」
「ホグゥ! も、もうやめ……」
「更に更にぃ! そこにいるジゼル・ブルームさんからはおでこにキスされてぇ!」
「だ、だから、やめ……」
「また更にぃ! そこにいるアデレード姫ともなんか良い感じな雰囲気になっちまうし!」
「お、お、お願いですから……」
「そして止めにぃ! 昨日の夜、そこにいる勇者・天上美羽からもキスされただけでなく、『纏めていただきます』宣言されちまってるじゃあねぇかっ!」
「や、やめてくださいいいいいいいっ!」
ループスからかなりの爆弾発言をくらって、春風はそう絶叫した後、その場に膝から崩れ落ちた。
その様子を見て、
「は、ハルゥ! ちょっとお父さん……!」
と、リアナがループスに文句を言おうとした、まさにその時、
「お前もだリアナァ! そして歩夢ちゃん!」
「え、私!?」
「私も?」
と、不意打ちに似た感じで話をふられたリアナと歩夢に向かって、ループスは言う。
「いくら春風のことが好きだからって……女の子同士でキスするとか、ふしだらなことしちゃいけませーん!」
「「ハグァ! まさかの説教!?」」
まさかのお説教をくらい、リアナと歩夢も春風と同じようにその場に膝から崩れ落ちた。
更にループスの勢いは止まらず、
「お前にもあるぞ、桜庭水音ぉ!」
「え、僕もぉ!?」
今度は水音に矛先が向かった。
「お前ぇ、セレスティア皇女からキス&『お前は私のもの』宣言されてるだけじゃなく、皇女の幼馴染み達からも『あーんなこと』や『こーんなこと』もされてるとか、男としてどうなんだコラァ!」
「うあああああああっ! それここで言わないでぇえええええええっ!」
ループスからの更なる爆弾発言を受けて、水音もその場に崩れ落ちた。
「神」からの魂の叫びを聞いて、春風、リアナ、歩夢、そして水音がその場に崩れ落ちたというあまりのとんでもない事態に、周囲がポカンとする中、ギルバートは1人、冷や汗を流していた。
(す、スマネェなお前ら)
表情を固くするギルバートの手には、記録と配信用の魔導具が握られていた。
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