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第12章 集結、3人の「悪魔」
第333話 春風vsループス
しおりを挟む仲間達や仮面の人物達に見守られながら、春風とループスは激しい戦いを繰り広げていた。
お互いの武器を激しくぶつけ合う春風とループス。
(くっ! 『力』を奪われても、『神様は強い』ってか!?)
春風は真っ直ぐループスを見て、その手に握る愛刀・彼岸花を振るいながらも、内心ではいつ彼岸花の限界が来るのか不安になっていたが、今は目の前の相手に集中せねばと、必死になって考えないようにしていた。
しかし、
「無駄だ。いくらお前が必死になって隠していても、お前の考えていることは手に取るようにわかるぞ」
「っ!」
ボソリと言い放ったループスのその言葉に、春風は僅かに動揺した。
その隙をついて、ループスは春風に攻撃を繰り出す。
武器を持ってない左手によるパンチだ。
春風はすぐにそのパンチを両腕でガードするが、
「ぐうぅっ!」
その威力が強いのか、春風はその衝撃で後ろに吹っ飛ばされたが、彼岸花を地面に突き立ててどうにか踏ん張った。
「……ほう。ガードすると同時に、両腕に魔力を込めて防御力を高めたか」
ニヤリと笑ってそう言ったループスに対し、春風は無言でスッと左手をループスに向けて、
「求めるは“風”、疾風の弾丸、『ウインド・バレット』!」
と、風属性の魔術を唱えた。
左手の先に魔法陣が描かれて、そこから小さく圧縮された風の礫が、目にも止まらぬスピードで放たれた。
しかし、危険を察知したのか、ループスはその風の礫が当たる寸前でヒョイと回避した。
「ほう、オリジナルの魔術か!」
と驚くループス。
だが次の瞬間、ループスは更に驚くことになる。
(……て、何!? いつの間に!?)
なんと、ループスが避けた先には、既に春風が先回りしていたのだ。
(避けられるなんて、想定済みだっての!)
春風は左手をループスの腹部に押し当てると、
「求めるは“火”、炎の豪球、『ファイア・ボール』!」
と、今度は火属性の魔術を放った。
「ぐぉあ!」
ゼロ距離からの魔術攻撃を受けて、ループスは僅かだがよろけたが、春風はそんなループスを無視して、
「求めるは“土”、大地の戦鎚、『アース・ハンマー』!」
と、更に土属性の魔術を放った。
次の瞬間、ループスの頭上に巨大な土の塊が現れて、ループスに向かって勢いよく落ちてきた。
先程の「ファイア・ボール」のダメージが残っているのか、素早く動くことが出来ないループス。
このまま「アース・ハンマー」の餌食になるのか……と思われたが、
「舐めるなぁあああああああっ!」
と、ループスは持っていた長剣で、その土の塊を真っ二つにした。
2つに切り裂かれた土は、ループスの左右の地面に落ちた。
「危なかったぜ……」
と、ループスがホッと胸を撫で下ろした、次の瞬間、
(……んげ!)
なんと、ループスのすぐ側まで春風が近づいてきて、今にも魔力を込めた彼岸花を振り下ろそうとしていたのだ。
「これで決めます」
と、ボソリとそう言った春風が彼岸花を振り下ろそうとした、まさにその時、
「舐めるなって、言ってんだろがぁ!」
と、ループスはすかさず長剣を振るってその攻撃を弾き、
「ふんぬぅっ!」
と、春風に蹴りを入れてきた。
「ちぃっ!」
春風はすぐに魔力で障壁を作って防御したが、急いで作ったものだったために完全に防御することが出来ずにあっさりと砕かれてしまい、もろに腹にくらってしまった。
「グハァ!」
再び吹き飛ばされた春風だったが、それでも障壁によって勢いが少なかったのか、最初に吹っ飛ばされた時よりもその距離は短かった。
しかし、余程痛かったのか、春風は辛そうに左手で腹を押さえた。
そんな状態の春風に向かって、ループスは静かに口を開く。
「ふぅ、危ない危ない。お前、結構やるじゃないか。だが、まだまだ俺は試し足りないぜ」
「……何を、試す気なのですか?」
と、春風が腹を押さえてループスを睨みながらそう尋ねると、ループスは「クックック……」と笑いながら言う。
「何って、決まってるだろ? お前が……」
「俺が?」
ループスの言葉を待っているのか、仲間達を含めた周囲の人達が「ゴクリ」と固唾を飲むと、ループスはカッと目を見開かせて答える。
「お前が、我が娘リアナに相応しい男なのかどうかをだぁあああああああっ!」
「……」
春風はループスのその言葉を聞いて、最初はポカンとしていたが、
「……はい?」
と、思いっきり首を傾げるのだった。
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