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アデリア戦
43話 鎖
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9時を迎え、ラズリは魔力を吸い取っている部屋の天井から降り立ち、上へと伸びるホースを全て一気に切断する。だがそれに気づく者はいなかった。
そこにいた人達が鈍感だからではなくラズリが速すぎたのだ。ラズリはこれまでの時間を全神経統一のために費やした。そのため高い集中力が発揮でき全ての動きが洗練され目に見える全てが遅く感じた。
ホースを切りホースが落ちる前にラズリはそこにいた敵兵も全てを斬った。捕虜にされた人達も人が目の前で死んだにも関わらずその場から動かない。誰も侵入者には気づかない。
次はあの巨大な魔力をどうにかしたいが、下手に刺激を加えると爆発を起こし首都が消える所の騒ぎでは収まらない。ラズリは戦いが終わった後にそれを処理することとし収容されている人達を助けるため、捕らえられている人達がいる所へと向かう。
海では追いかけっこが行われていた。スイマールの艦隊は後退しながらダメ元でアデリアの艦隊に向かって打つ。しかしアデリアの艦隊はシールドを張りながら進む。
「皇帝陛下このままでは追い込まれます」
「やむを得ない。全艦隊に知らせよ。ヘルメスを使う」
ヘルメスとは魔力を凝縮し一気に噴射し爆発的なスピードを生み出す。最高時速千キロで海を横断する。
「敵に追われている、今魔力消耗は自殺行為です」
「地上戦に持ち込む。上陸するまでに魔力が持てばよい」
「仰せのままに」
皆何も言わないが不安そうな顔する。
「おい見ろよ。ヘルメスを使ったぜ」
「完全にビビってんな」
「負け犬どもめこのまま追い込むぞ」
「はっ!」
アデリアの艦隊は勝利を確信する。
「こっちは殲滅完了」
一方その頃、壁の制圧を完了した2人は合流していた。
「こっちも」
フィール、アイシャが合流する。
「レオが先に来てないって珍しいね」
「こちらです」
声のした方を向くと、大砲が置いてある一つの部屋から手を振っていた。2人はそっちに向かう。
向かうと死体を調べていた。
「どうしたの?」
「こちらを」
死体の鎖骨辺りの服を捲る。2人に衝撃が走る。星の中に三角形のある紋章。忘れるはずがない。
「な、え?」
言葉が何も出てこない。
「死体を調べましょう」
レオはこちらを向かずに言う。言葉は冷静だが拳は強く握られていた。
「(これで終わりか)」
ラズリは捕らえられた人達がいる部屋の監視をしている者達の制圧が完了した。
ラズリは鎖の解除に取り掛かる。戦いが終わった後でもいいのだがラズリはすぐに取り掛かる。人々の目が虚ろなのは生きる希望を失ったからではなく、鎖から何らかの精神作用系の毒があるのではないかと考えたからである。
バキン ギー バキン
鎖をどんどんと壊していくと
「きゃーーー」
何処からか悲鳴が聞こえてくる。すぐに声のした方へいくと男性が腰を抜かしていた。
どうやら目の前に血塗れの死体があり驚いたようだ。ラズリの予想は正しかった。 精神系の耐性があったのか鎖をつけられて日が浅かったのかはわからないが何とか無事のようだ。
「おい」
ラズリが声をかけると男は全身が飛び跳ね体を小さくする。
「大丈夫、何もしない。助けにきた」
両手を上げ敵意のないことを示す。
「あ、あの・・・」
「お前達が何処の誰で、なぜここにいるかは知らない」
連れてこられた理由は知っているが今は知らなくていいだろう。
「そうですか・・・」
警戒が解けたのか肩の力を抜く。
「それよりここにいる全員の鎖を解いてやりたい。協力してくれ」
男は困惑しながらも頷く。
「あ、あのー」
「何だ?」
「もしかして何ですがパイロンのお方・・・な訳ないですよね。アハハハ」
男はひきつった笑いをするもラズリが何も言わないのを見て真顔になる。
「本物?」
‘ギャーーーー’
またも悲鳴が聞こえる。すぐに駆けつけるとやはり正気に戻った人が死体を見てびっくりしていた。その声で目を覚ましたのかあちらこちらで驚きの声が聞こえる。
「(隠す出来だった(死体を))」
正気に戻った人達を何とか落ち着かせ、鎖を壊す手伝いをしてもらう。
「あのー、さっきの続きいいでしょうか?」
「続き?」
他の人達も鎖を取る作業をしながら、こちらに耳を傾ける。
「どうしてパイロンの方達が僕らを?」
「パイロン?」
「本物?」
驚きと困惑が交わりながらも、聞き耳を立てていた人達が近づいてくる。その者達には気にも留めず、男に質問し返す。
「どうしてとは?」
「いや僕らあなた方の敵ですよ」
「我々の敵?」
「スイマールの敵、アデリアです」
男が言うと、ラズリはため息を吐く。
「何か勘違いをしているようだな。我々はスイマールの者ではない」
「でもスイマール側に着いているのは間違いないんでしょう?アデリアは敗北するのでしょうか?」
ラズリは何も答えないと、男の顔が暗くなる。周りの者達の顔も絶望に変わる。
そこにいた人達が鈍感だからではなくラズリが速すぎたのだ。ラズリはこれまでの時間を全神経統一のために費やした。そのため高い集中力が発揮でき全ての動きが洗練され目に見える全てが遅く感じた。
ホースを切りホースが落ちる前にラズリはそこにいた敵兵も全てを斬った。捕虜にされた人達も人が目の前で死んだにも関わらずその場から動かない。誰も侵入者には気づかない。
次はあの巨大な魔力をどうにかしたいが、下手に刺激を加えると爆発を起こし首都が消える所の騒ぎでは収まらない。ラズリは戦いが終わった後にそれを処理することとし収容されている人達を助けるため、捕らえられている人達がいる所へと向かう。
海では追いかけっこが行われていた。スイマールの艦隊は後退しながらダメ元でアデリアの艦隊に向かって打つ。しかしアデリアの艦隊はシールドを張りながら進む。
「皇帝陛下このままでは追い込まれます」
「やむを得ない。全艦隊に知らせよ。ヘルメスを使う」
ヘルメスとは魔力を凝縮し一気に噴射し爆発的なスピードを生み出す。最高時速千キロで海を横断する。
「敵に追われている、今魔力消耗は自殺行為です」
「地上戦に持ち込む。上陸するまでに魔力が持てばよい」
「仰せのままに」
皆何も言わないが不安そうな顔する。
「おい見ろよ。ヘルメスを使ったぜ」
「完全にビビってんな」
「負け犬どもめこのまま追い込むぞ」
「はっ!」
アデリアの艦隊は勝利を確信する。
「こっちは殲滅完了」
一方その頃、壁の制圧を完了した2人は合流していた。
「こっちも」
フィール、アイシャが合流する。
「レオが先に来てないって珍しいね」
「こちらです」
声のした方を向くと、大砲が置いてある一つの部屋から手を振っていた。2人はそっちに向かう。
向かうと死体を調べていた。
「どうしたの?」
「こちらを」
死体の鎖骨辺りの服を捲る。2人に衝撃が走る。星の中に三角形のある紋章。忘れるはずがない。
「な、え?」
言葉が何も出てこない。
「死体を調べましょう」
レオはこちらを向かずに言う。言葉は冷静だが拳は強く握られていた。
「(これで終わりか)」
ラズリは捕らえられた人達がいる部屋の監視をしている者達の制圧が完了した。
ラズリは鎖の解除に取り掛かる。戦いが終わった後でもいいのだがラズリはすぐに取り掛かる。人々の目が虚ろなのは生きる希望を失ったからではなく、鎖から何らかの精神作用系の毒があるのではないかと考えたからである。
バキン ギー バキン
鎖をどんどんと壊していくと
「きゃーーー」
何処からか悲鳴が聞こえてくる。すぐに声のした方へいくと男性が腰を抜かしていた。
どうやら目の前に血塗れの死体があり驚いたようだ。ラズリの予想は正しかった。 精神系の耐性があったのか鎖をつけられて日が浅かったのかはわからないが何とか無事のようだ。
「おい」
ラズリが声をかけると男は全身が飛び跳ね体を小さくする。
「大丈夫、何もしない。助けにきた」
両手を上げ敵意のないことを示す。
「あ、あの・・・」
「お前達が何処の誰で、なぜここにいるかは知らない」
連れてこられた理由は知っているが今は知らなくていいだろう。
「そうですか・・・」
警戒が解けたのか肩の力を抜く。
「それよりここにいる全員の鎖を解いてやりたい。協力してくれ」
男は困惑しながらも頷く。
「あ、あのー」
「何だ?」
「もしかして何ですがパイロンのお方・・・な訳ないですよね。アハハハ」
男はひきつった笑いをするもラズリが何も言わないのを見て真顔になる。
「本物?」
‘ギャーーーー’
またも悲鳴が聞こえる。すぐに駆けつけるとやはり正気に戻った人が死体を見てびっくりしていた。その声で目を覚ましたのかあちらこちらで驚きの声が聞こえる。
「(隠す出来だった(死体を))」
正気に戻った人達を何とか落ち着かせ、鎖を壊す手伝いをしてもらう。
「あのー、さっきの続きいいでしょうか?」
「続き?」
他の人達も鎖を取る作業をしながら、こちらに耳を傾ける。
「どうしてパイロンの方達が僕らを?」
「パイロン?」
「本物?」
驚きと困惑が交わりながらも、聞き耳を立てていた人達が近づいてくる。その者達には気にも留めず、男に質問し返す。
「どうしてとは?」
「いや僕らあなた方の敵ですよ」
「我々の敵?」
「スイマールの敵、アデリアです」
男が言うと、ラズリはため息を吐く。
「何か勘違いをしているようだな。我々はスイマールの者ではない」
「でもスイマール側に着いているのは間違いないんでしょう?アデリアは敗北するのでしょうか?」
ラズリは何も答えないと、男の顔が暗くなる。周りの者達の顔も絶望に変わる。
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