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アデリア戦
42話 始まりの挨拶
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椅子にホースが取り付けられており、そのホースが上へと伸びている。ラズリはさらに上に行く。そこには強大な球体を囲むようにして、できた足場とそれを抑え込んでいる機械があった。巨大な球体は魔力だ。
人々から取った魔力はここへ集められていた。
「いよいよですね」
人の気配がし壁の中でさらに息を潜める。
「そうだ・・・いよいよ」
猫背の男は両手に顔で埋める。
「いよいよ始まるのだ。ゴミどもの殲滅が。アハハハ」
男は顔を上げ、手を伸ばし叫ぶ。ラズリは2人の人物を確認する。
「アルバード陛下」
ラズリは硬直する。同時に目を疑う。アルバードその名はアデリア帝国の皇帝の名前だ。
ライから皇帝の写真を見せられたことがあったが、全くの別人のように感じた。服装はきちんとしているが無造作に伸びた髪や髭、ボロボロな爪や肌、死んだ目。それが王とは誰も思わないだろう。今は人嫌いで公の場には出てここず、ここ数年は最低限の人間にしか会わなくなり、部屋から殆どこない。政治は家臣達が動かしていると聞いていたが、まさかこれほどまでにイカれ狂っているとは思いもしなかった。
ラズリは慎重に近づき会話が聞けるギリギリまで接近する。
「落ち着いてください。陛下」
皇帝の後ろから2人の人物が現れる。
1人は先程、閲覧室の扉の所にいた黒騎士。もう1人は黒いフード付きマントを深く被った背が低い、声には何らかの細工がしてあり男か女か判別不可能。
皇帝とその側近は2人を見るなり背の低い者に跪く。
これは『ソロモン』様」
その瞬間ラズリの脳裏に血に染まった動かない2人の映像が流れ込む。
黒騎士が皇帝とソロモンの前に出る。
「どうした?」
ソロモンが問う。黒騎士は辺りを見渡す。
「気のせいのようです」
「そうか。いよいよ始まる『エクリプス計画』が完成する」
ソロモンは巨大な魔力の塊に向かって両手を伸ばす。
「全てのものが我々に平伏し我々が世界の頂点になる」
ソロモンが熱弁すると皇帝と皇帝の側近が盛大に拍手する。
「あなた様の計画、その崇高な目的必ずや成功するでしょう」
皇帝は両手を固く合せ溶けた笑顔をする。
「(生きていたか)」
ー数時間前 壁ー
ラズリが去った後3人もホースの切断のため侵入。見回りがいるが何とかその目を盗み切断する。昨日、持ち場の数を数え4人のを足した所72個の大砲があることが確認されている。3等分して1人24個切っていく。
「(よし、完了)」
先に終わったのはレオ、拠点としている所に戻る。
しばらくすると2人も戻ってくる。
「お疲れ」
「お疲れ様です」
「疲れたー」
「フィールは単純作業が苦手ですから。ラズリは大丈夫でしょうか?」
壁の方を見て言う。
「ラズリなら大丈夫っと言いたいけど“奴ら”が関わっている可能性がある以上心配だね」
「明日は忙しくなります。寝ましょう」
「だな」
「おやすみ」
話しを切り上げ3人は横になるも中々寝付けなかった。
ー8p.m.ー
空には雲一つなく晴れていた。まるでこの日を祝福せんとするばかりに。
ー9p.m.ー
「行くぞ」
ラズリ、レオ、フィール、アイシャ、リヒト陛下は言う。
「打てー」
皇命と共に大砲が撃たれ艦隊が前進する。
スイマール船とアデリア船は一定の距離を取り、攻撃し合う。皇帝が乗っている軍艦は離れて見ていた。
「さて、どうする。アデリアよ」
「こちら至急連絡、アデリアの壁に異変あり」
「モニター映します」
壁にはホログラム様なものが施されていた様で、それが解かれ壁一面から大砲が出現する。
「な、何だあれは!?7」
戦闘中の兵が気付き壁の方を指す。
「(よし、来たか!)」
皇帝はニヤリと親指に顎を乗せる。
「全艦隊伝えよ!後退」
「はっ!」
[全艦隊、後退]
通信係の兵は戸惑いながらも急いで通信にて知らせる。
「艦隊の後退を確認しました」
『影』が3人に知らせる。
「では、こちらも始めますか」
3人も動き出す。
風、火、氷を出し壁にぶつける。だがこれはあくまでも挨拶と注意をこちらに向けるためのものだ。アイシャは左からフィールは右からレオは真ん中から各々で攻める。
「壁の外側、敵を確認」
「人数は?」
「3人です」
「馬鹿な。舐めた真似を殺せ!!」
壁の上から3人に向かって魔法が打ち込まれる。だがそれを軽々しくと避け上に上がって行く。
「あ、あの仮面・・・パイロンだー」
敵の誰かが叫ぶ。パイロンとわかると混乱が起こり攻撃をやめ逃げ惑う。だがもう遅い彼らは壁の登り敵の殲滅にかかる。
人々から取った魔力はここへ集められていた。
「いよいよですね」
人の気配がし壁の中でさらに息を潜める。
「そうだ・・・いよいよ」
猫背の男は両手に顔で埋める。
「いよいよ始まるのだ。ゴミどもの殲滅が。アハハハ」
男は顔を上げ、手を伸ばし叫ぶ。ラズリは2人の人物を確認する。
「アルバード陛下」
ラズリは硬直する。同時に目を疑う。アルバードその名はアデリア帝国の皇帝の名前だ。
ライから皇帝の写真を見せられたことがあったが、全くの別人のように感じた。服装はきちんとしているが無造作に伸びた髪や髭、ボロボロな爪や肌、死んだ目。それが王とは誰も思わないだろう。今は人嫌いで公の場には出てここず、ここ数年は最低限の人間にしか会わなくなり、部屋から殆どこない。政治は家臣達が動かしていると聞いていたが、まさかこれほどまでにイカれ狂っているとは思いもしなかった。
ラズリは慎重に近づき会話が聞けるギリギリまで接近する。
「落ち着いてください。陛下」
皇帝の後ろから2人の人物が現れる。
1人は先程、閲覧室の扉の所にいた黒騎士。もう1人は黒いフード付きマントを深く被った背が低い、声には何らかの細工がしてあり男か女か判別不可能。
皇帝とその側近は2人を見るなり背の低い者に跪く。
これは『ソロモン』様」
その瞬間ラズリの脳裏に血に染まった動かない2人の映像が流れ込む。
黒騎士が皇帝とソロモンの前に出る。
「どうした?」
ソロモンが問う。黒騎士は辺りを見渡す。
「気のせいのようです」
「そうか。いよいよ始まる『エクリプス計画』が完成する」
ソロモンは巨大な魔力の塊に向かって両手を伸ばす。
「全てのものが我々に平伏し我々が世界の頂点になる」
ソロモンが熱弁すると皇帝と皇帝の側近が盛大に拍手する。
「あなた様の計画、その崇高な目的必ずや成功するでしょう」
皇帝は両手を固く合せ溶けた笑顔をする。
「(生きていたか)」
ー数時間前 壁ー
ラズリが去った後3人もホースの切断のため侵入。見回りがいるが何とかその目を盗み切断する。昨日、持ち場の数を数え4人のを足した所72個の大砲があることが確認されている。3等分して1人24個切っていく。
「(よし、完了)」
先に終わったのはレオ、拠点としている所に戻る。
しばらくすると2人も戻ってくる。
「お疲れ」
「お疲れ様です」
「疲れたー」
「フィールは単純作業が苦手ですから。ラズリは大丈夫でしょうか?」
壁の方を見て言う。
「ラズリなら大丈夫っと言いたいけど“奴ら”が関わっている可能性がある以上心配だね」
「明日は忙しくなります。寝ましょう」
「だな」
「おやすみ」
話しを切り上げ3人は横になるも中々寝付けなかった。
ー8p.m.ー
空には雲一つなく晴れていた。まるでこの日を祝福せんとするばかりに。
ー9p.m.ー
「行くぞ」
ラズリ、レオ、フィール、アイシャ、リヒト陛下は言う。
「打てー」
皇命と共に大砲が撃たれ艦隊が前進する。
スイマール船とアデリア船は一定の距離を取り、攻撃し合う。皇帝が乗っている軍艦は離れて見ていた。
「さて、どうする。アデリアよ」
「こちら至急連絡、アデリアの壁に異変あり」
「モニター映します」
壁にはホログラム様なものが施されていた様で、それが解かれ壁一面から大砲が出現する。
「な、何だあれは!?7」
戦闘中の兵が気付き壁の方を指す。
「(よし、来たか!)」
皇帝はニヤリと親指に顎を乗せる。
「全艦隊伝えよ!後退」
「はっ!」
[全艦隊、後退]
通信係の兵は戸惑いながらも急いで通信にて知らせる。
「艦隊の後退を確認しました」
『影』が3人に知らせる。
「では、こちらも始めますか」
3人も動き出す。
風、火、氷を出し壁にぶつける。だがこれはあくまでも挨拶と注意をこちらに向けるためのものだ。アイシャは左からフィールは右からレオは真ん中から各々で攻める。
「壁の外側、敵を確認」
「人数は?」
「3人です」
「馬鹿な。舐めた真似を殺せ!!」
壁の上から3人に向かって魔法が打ち込まれる。だがそれを軽々しくと避け上に上がって行く。
「あ、あの仮面・・・パイロンだー」
敵の誰かが叫ぶ。パイロンとわかると混乱が起こり攻撃をやめ逃げ惑う。だがもう遅い彼らは壁の登り敵の殲滅にかかる。
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