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2-2 少年立志編:ロリ鬼教官の来襲
79 幼女と模擬戦闘
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「よし! じゃあ、二人ともそれで武器はそれでいいですか?」
「はい、大丈夫です」
「ばっちりじゃ」
ナグモさんが少し離れたところに立っていて、審判員をしてくれている。
僕は普段通りの小刀を二本、ティナ先生は通常サイズの木刀を二本。
ほぼ同じ体型なのに扱えるのか……?――い、いやっ、見た目に惑わされたらダメだ。
ナグモさんが力を保証する実力者なんだから、気を抜くと一瞬で終わってしまうかもしれない。
「一応言っておきますが、ケガはさせてもいいですけど重症を負わせたらダメですよ」
「ワタシに一撃当てれるかのぉ~、むふふ」
「ティナちゃん、聞こえたら返事」
「聞こえとるわ! この距離じゃぞ!」
なんだかふわふわした会話をしてる……けど、そうしてる間にもチリチリと圧力をかけてきているのが伝わる。
殺気とは違うが、それに近いもの。
やる気満々ってことか、僕だって強くなってるんだ。簡単には終わらせないぞ。
「それでは……始め」
ナグモさんの合図と同時に『身体強化』を使って、一気に間合いを詰めるっ!
5m程の距離を一気に縮め、斜め下からの振り上げでまず一撃を――
「……!」
太腿辺りに当てようとしていた攻撃。
しかし、寸前でブワッと得体のしれない気が感じられ、思わず飛び退いた。
「っ……!?」
「どうした? ワタシは動いていないぞ」
その通りだ。先生は動いていない。
でも、なんだあの感じ……。あのまま攻撃していたら負けていたような気がする。
とりあえず立て直しをしよう、相手の動きをしっかりと視界の中にとらえて……。
出方を伺いながら再度少しずつ間合いを詰めていくと、今度は先生から僕の首元目掛けて剣をまっすぐ伸ばしてきた。
視認できるギリギリの速度での攻撃。軌道をズラすために小刀で横から……。
――あれ、攻撃が軽い……?
少し当てた小刀で軌道が変わるほど、その一撃には力が籠っていない。
まさかと思って先生の方を見ると、最初の余裕な表情に変化が起きていた。
まるで小悪魔のように口元を緩め、目じりを下げ、さぞ楽しそうに笑う。
「ほれ、行くぞっ!」
そこから先生の連撃が始まった。
さっきの軽い一撃は、僕の小刀の構えを一旦解除させる適当な一撃だったんだとようやく理解した。
なんだ、それ……っ! でたらめだ!
僕の攻撃がギリギリ届くか届かないかの間合いで繰り出される、木刀の長さを有効的に使った攻撃。
右、左、顔面、胸元と。僕がその都度対処している小刀では防御が間に合わないような部位を狙ってくる。
必死に当たらないようにするだけで精一杯……っ。
「ハハハ、どうした。守ってばかりじゃ勝てんぞ」
「わ、わかってますよ……!」
煽り文句を買い、一時的に『身体強化』の限度を上げて攻撃に転じる。
自分が持っている武器で先生の剣を根元まで伝い、その流れで顔面まで走らせていく。
カンカンッ、と木刀同士がぶつかり滑る音。
これで、少しはその余裕そうな表情も……。
――その瞬間、視界が横に大きくブレた。
「ぐふッ!!?」
辛うじて見えたのは、先生の横蹴りが腹部に鋭く刺さっている光景。
「いっっつ……」
「早よぉ立て、さもなければ死ぬぞ?」
地面を滑る体は壁に当たって止まり、体勢を立て直そうとする僕の顔面へと伸びてきた木刀。
本当に当たり所が悪かったら死ぬほどの速度。まったくもって遠慮が感じられない。
何とか体を動かすと顔面直撃は免れ、頬を掠めた木刀は後ろの壁に当たった。
そこから数度、先生の攻撃を躱しながらなんとか立ち上がり、二刀を構え直す。
「はぁはぁ……」
「――構える暇があるなら、一つでも多く剣を振れ」
構えた武器の間合いなど気にも止めず、僕の構えている小さな開けた空間を狙った攻撃。
後ろは壁だ、頭を後ろに下げても避けれない……!
顎へと迫る剣にあえて向かっていくしかない、と頭で整理するとすぐに行動に移した。
「ほぉ! 避けたか!」
楽しそうな声が聞こえたと思うと、崩れながら近づいた僕の体は力強く蹴られ、壁伝いに飛ばされる。
「グッ……ハァッ……!! ハァァッ……っ」
やばい、呼吸が……!
腹部、胸部、背中――先生の蹴りによって与えられた諸々の衝撃で、体から酸素が全部抜けたような感覚。
「咄嗟の動きはまぁまぁ……じゃが……。構えをしているのに相手を間合いに入らせる時点で総崩れをしておるな」
木刀をくるくると回しながら、僕の行動を解説をしてくる。
「構え……しないと、無防備になって」
「相手が近寄れる構えやすぐに崩れる構えなど、微塵も意味がないじゃろうが。特に二本持ちは相手より早く、確実に攻撃を当てる技量が求められるからのぉ。構えをするか否かは任すが……、どの体勢からでも、どの角度でも、攻撃を打てる心構えだけはしておけ」
「……! はい……ッ!」
「いい返事じゃな。ほれ、立て。まだ終わりはさせんぞ」
構え……か。なるほど。
ティナ先生は、僕が思ってたよりも先生だった。ちゃんと、こうやって反省点を挙げてくれる。
僕は立ち上がると、解けかけていた『身体強化』を発動しなおした。
「はい、大丈夫です」
「ばっちりじゃ」
ナグモさんが少し離れたところに立っていて、審判員をしてくれている。
僕は普段通りの小刀を二本、ティナ先生は通常サイズの木刀を二本。
ほぼ同じ体型なのに扱えるのか……?――い、いやっ、見た目に惑わされたらダメだ。
ナグモさんが力を保証する実力者なんだから、気を抜くと一瞬で終わってしまうかもしれない。
「一応言っておきますが、ケガはさせてもいいですけど重症を負わせたらダメですよ」
「ワタシに一撃当てれるかのぉ~、むふふ」
「ティナちゃん、聞こえたら返事」
「聞こえとるわ! この距離じゃぞ!」
なんだかふわふわした会話をしてる……けど、そうしてる間にもチリチリと圧力をかけてきているのが伝わる。
殺気とは違うが、それに近いもの。
やる気満々ってことか、僕だって強くなってるんだ。簡単には終わらせないぞ。
「それでは……始め」
ナグモさんの合図と同時に『身体強化』を使って、一気に間合いを詰めるっ!
5m程の距離を一気に縮め、斜め下からの振り上げでまず一撃を――
「……!」
太腿辺りに当てようとしていた攻撃。
しかし、寸前でブワッと得体のしれない気が感じられ、思わず飛び退いた。
「っ……!?」
「どうした? ワタシは動いていないぞ」
その通りだ。先生は動いていない。
でも、なんだあの感じ……。あのまま攻撃していたら負けていたような気がする。
とりあえず立て直しをしよう、相手の動きをしっかりと視界の中にとらえて……。
出方を伺いながら再度少しずつ間合いを詰めていくと、今度は先生から僕の首元目掛けて剣をまっすぐ伸ばしてきた。
視認できるギリギリの速度での攻撃。軌道をズラすために小刀で横から……。
――あれ、攻撃が軽い……?
少し当てた小刀で軌道が変わるほど、その一撃には力が籠っていない。
まさかと思って先生の方を見ると、最初の余裕な表情に変化が起きていた。
まるで小悪魔のように口元を緩め、目じりを下げ、さぞ楽しそうに笑う。
「ほれ、行くぞっ!」
そこから先生の連撃が始まった。
さっきの軽い一撃は、僕の小刀の構えを一旦解除させる適当な一撃だったんだとようやく理解した。
なんだ、それ……っ! でたらめだ!
僕の攻撃がギリギリ届くか届かないかの間合いで繰り出される、木刀の長さを有効的に使った攻撃。
右、左、顔面、胸元と。僕がその都度対処している小刀では防御が間に合わないような部位を狙ってくる。
必死に当たらないようにするだけで精一杯……っ。
「ハハハ、どうした。守ってばかりじゃ勝てんぞ」
「わ、わかってますよ……!」
煽り文句を買い、一時的に『身体強化』の限度を上げて攻撃に転じる。
自分が持っている武器で先生の剣を根元まで伝い、その流れで顔面まで走らせていく。
カンカンッ、と木刀同士がぶつかり滑る音。
これで、少しはその余裕そうな表情も……。
――その瞬間、視界が横に大きくブレた。
「ぐふッ!!?」
辛うじて見えたのは、先生の横蹴りが腹部に鋭く刺さっている光景。
「いっっつ……」
「早よぉ立て、さもなければ死ぬぞ?」
地面を滑る体は壁に当たって止まり、体勢を立て直そうとする僕の顔面へと伸びてきた木刀。
本当に当たり所が悪かったら死ぬほどの速度。まったくもって遠慮が感じられない。
何とか体を動かすと顔面直撃は免れ、頬を掠めた木刀は後ろの壁に当たった。
そこから数度、先生の攻撃を躱しながらなんとか立ち上がり、二刀を構え直す。
「はぁはぁ……」
「――構える暇があるなら、一つでも多く剣を振れ」
構えた武器の間合いなど気にも止めず、僕の構えている小さな開けた空間を狙った攻撃。
後ろは壁だ、頭を後ろに下げても避けれない……!
顎へと迫る剣にあえて向かっていくしかない、と頭で整理するとすぐに行動に移した。
「ほぉ! 避けたか!」
楽しそうな声が聞こえたと思うと、崩れながら近づいた僕の体は力強く蹴られ、壁伝いに飛ばされる。
「グッ……ハァッ……!! ハァァッ……っ」
やばい、呼吸が……!
腹部、胸部、背中――先生の蹴りによって与えられた諸々の衝撃で、体から酸素が全部抜けたような感覚。
「咄嗟の動きはまぁまぁ……じゃが……。構えをしているのに相手を間合いに入らせる時点で総崩れをしておるな」
木刀をくるくると回しながら、僕の行動を解説をしてくる。
「構え……しないと、無防備になって」
「相手が近寄れる構えやすぐに崩れる構えなど、微塵も意味がないじゃろうが。特に二本持ちは相手より早く、確実に攻撃を当てる技量が求められるからのぉ。構えをするか否かは任すが……、どの体勢からでも、どの角度でも、攻撃を打てる心構えだけはしておけ」
「……! はい……ッ!」
「いい返事じゃな。ほれ、立て。まだ終わりはさせんぞ」
構え……か。なるほど。
ティナ先生は、僕が思ってたよりも先生だった。ちゃんと、こうやって反省点を挙げてくれる。
僕は立ち上がると、解けかけていた『身体強化』を発動しなおした。
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