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人との関わり

15 闇夜を抜けて 2

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「離せ!!」

「お!?威勢が良いな?嬢ちゃんの主人はこの路地に入っちゃ行けねぇって教えてくれなかったのか?」

「主人などいない!離せ!」

「へえ?じゃ嬢ちゃんどこの店のもんだ?こんな危ない所で保護してやったんだからよ、礼を貰わなくちゃな?」

「店とはなんだ?」

「お?その類のもんじゃないのかよ?」

「??」

 キールには男が何を言っているのか分からない。必死に腕を振り解こうと暴れているのだが男はびくともしないのだ。

「おいおいこの嬢ちゃん偉い別嬪じゃねえ?」


 まだ、他にも人間がいた…!


「どれ?うわっ!お前珍しい髪の色してんな?目もか?こりゃすげえよ?」

「おい、どこの店のもんでもねぇって言ってたよな?倉庫開けてこい!」

「おう!」

「お前、男か?女か?」

 倉庫の場所までだろうか?掴まれた腕を引っ張られながらキールはズルズルと引きずられる様にして連れていかれる。

「離せったら!!」

 ブァァァァ…!!周囲に強風が吹き荒れる。キールが渾身の一撃で男達に向かって風を吹きつけたのだ…


 吹き付けたのに………!?
 殿下の時には弾き飛ばせた風の威力よりも更に強くしたはずなのに…?

「なんで………?」

 キールが放った風は強風を辺りに行き巡らせるだけで一向に男達を攻撃しなかった。


 くそっ!魔封じか!?


「うへぇ…!なんだ今の風?屋根が吹っ飛んじまうじゃねぇか…!」

「おい!?こいつ……!?」

「あ?なんだ…?あ……?」

「なんだなんだ…?嬢ちゃんなんか仮装でもしてんのかよ?耳にこんな細工物なんか付けちゃってさ~?」

 男達が言っている倉庫へとキールは引き摺り込まれながら腕を掴んでいる男にキールは耳を思い切り引っ張られた。

「…つぅ……!」

 先程の風でフードが外れたのだ。キールは耳の付け根に焼け付く様な痛みを感じだ。耳が熱くてジンジンする……

「おい…!こりゃ……本物かよ?おい!マジで!?」

「なんだってんだ?」

 倉庫の中にはまだ誰かいる。こんなに人間がいるのにキールは気配を感じる事ができなかった…

 
 なぜだ………?


「おい、こいつ!エルフだ!!」

「はぁ!?」

「ま、まさか!?」

「ほら、こいつの耳見てみろ?」

 引っ張られ、傷になった耳の根元からは僅かに血が流れ、掴まれた耳は内出血までしている。

「うお!!すげぇ!!」

「おい!どっちだ!?男か女か?」

「やめろ!離せ!!!」

「脱がせろ!女だったらとんでもねぇ額で売れるぞ!」

「男でもだろ!?どっちでも良いって言うやつは五万といるからな!」

「やっ……だ!!」
 
 キールはパニックになりながら、矢継ぎ早に次々と使える魔法を繰り出していく。
倉庫に落ちている植物の種を強制的に育てて男達を縛り上げる。水辺から水を引き込んで男達を流そうと、周囲にいる虫や小動物を呼び込んで男達の身体に纏わりつかせもした。

「うっへぇぇぇぇ…虫が、口に入りやがった!どうなってんだ?」

 勿論風も起こして倉庫の屋根を半分くらい吹き飛ばす。が、何れの攻撃も男達の身体には傷一つ付けることなどできはしない。魔封じが効いている事が分かっていてやっているのだから無駄な抵抗かもしれないが、こんな男達に良い様にされる様なキールではなかった。

 男達は、ずぶ濡れになりながらまとわりついてくる虫やら小動物を追い払う。こんな状態でもキールを掴む男の手は緩まない。

「あぁ!ちっきしょう!焼き払いてぇな!」

「おい!ここじゃだめだ!我慢しな!こんなもん、スラムに居るよりゃましだろうが!」

「そうさ、それよりこっちだ!」

「なんで………」

「はっは!残念だなぁ。俺たちゃスラム出でよぅ。こんなの慣れっこなのよ。」

「運がなかったな、エルフの嬢ちゃん?俺たちが存在消去をしてなかったらこうして見つからなかったもんなぁ?」

「…なんだ、それ?」

「お?興味あるか?魔法の一つでよ?完全に自分達の熱も気配も存在そのものを隠しちまうのよ、すげぇだろ?さぁて…」

 キールを掴む男は魔法の説明をしながら一気にキールの衣類を切り裂いた。

「……!?」

「はっ!怖くて声も出ないか?良いもん着てるじゃねぇか?店の者じゃ無いんだったら良い所の旦那に飼われているんだろうな?」

「はぁぁぁぁ…見ろよ…この色の白さ…輝いてる見たいじゃねぇか?」

「おいおい…マジかよ…まさか、本当にエルフなんて者が生きてるはずねぇって思ってたのに……」

「好きなだけ、勝手な事を!俺はエルフで!まだ、生きてるんだ!良い加減に、離せ!!」

「活きが良いねぇ…!たまんねぇな!」

 ダンッ……!!

「あぅ!!」

 キールは男に思い切り床に倒され嫌と言うほど叩きつけられた。


 頭がクラクラとする………


 ぼうっとするキールの視界の端で男達の手が自分に伸びてくるのが見えた……。



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