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【177.5話】 勇者の血を継いでいる方
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ウィル村の火災事件からルーダ・コートの街に戻って来たリリア。
犠牲になった村人とブラックの葬儀を教会で行い、ルーダの風メンバーと一緒に帰ギルドした。
ブラックはルーダリアで冒険者活動を行うべくルーダの風に所属していたのでギルド葬儀となった。
リリアはショックで…
いや、ショック状態ではあるがそれどころではなかった。
ウィル村最寄りの教会で鎮魂と葬儀を行った後はバー・ルーダの風に戻ってきてギルド葬儀の準備。
コトロがルーダの風を引き継いでから初めての事。冒険者酒場、各ギルド、ギルド情報紙に葬礼の知らせと準備、届け出、目の回る思いで時間が過ぎていく。
「あぁ… そうか… ブラックは仮登録なので書類上は剣客扱いですね… 葬礼の飾り付けが変わってくるはずです… ギルドの紋章等一式は上の納戸にあったはずです。書類以外はネーコとラビに任せておきましょう。他のギルドと合同葬礼を出すので日程は…」
コトロも初めてのことで以前自分が手伝った記憶を頼りに書類を進めていく。
「葬礼の知らせは各冒険者酒場とギルド情報紙に出して来たよ。それからバーも慣例通り喪に付すことも伝えてきた。バーの前に飾り付け?… ギルドの紋章とルーダ・コートの街のバナー? 王国のバナーも?本人出身地か出身国のバナーも?飾り付け方?… いや全然意味わかんない… 何?…メモがあるなら初めから見せてよ」
リリアもコトロもイライラしている。
知らせを聞いて敬意を表しに来るお客の対応もある。
ネーコとラビで対応だがギルドリーダーのコトロだって挨拶をしないわけにはいかない。
「コトロ、リリア、聞いたよ… ブラックの事…」ペコとアリスも来た。
「ペコ、アリス、あたしねブラックと最後話せなかったの… あたしも気絶しててね… いつの間にか… えぇ…ちょっと待ってね… ブラックは出身がフリートでしょ、活動のためにここに籍を置いた形だったから書類上が… あたしもウィルオウェスプの対応と消火が…火の手が物凄くて…」
リリアは淡々とブツブツ言いながらカウンターで書類を書いている。
コトロも書類とお客対応に忙しくしている。ネーコとラビは挨拶のお客に対応。
「……… コトロ、リリア、アーマー&ローブは大きいギルドだからこういうの度々やるよ、わかる事は手伝うよ」ペコとアリスが言う。
「まぁ、書類はね、経験よね… ブラックの正式名ってブラキオーネとしか聞いてなかったな… えっと… 損傷が激しくてね、近くの教会で鎮魂と浄化してもらって、遺体は大地の母に帰されたの… で、遺品を持って帰ってきて… この場合は遺品が本人となり… 聖者の祝福を受けた地がこの村… 本人は遺品で今回街の教会で仮眠、その後は故郷に永眠予定で書類を作って… 結局あれだけ一緒にいて最後に話も出来なくてね… あんなに出来る後輩だったから… まさかこんな…ねぇ… だから、今考えたらリリアはブラックのこと全然知らずにいたんだなぁ…って思ったり… で、えぇ…やむなくルーダリア正規兵または指定のファーザー、あるいは指定の教会関係者の検分無しで葬礼を行い大地となった者は… やむなく?やむなくって何よ… 何なのこれ?皆みんなお勉強して育ったわけじゃないんだよね。これからの時代は絵に描いて説明できるような物にしておくべきだよね…」
リリアはブツブツ言いながら書類を読んでいる。
「……… リリア」ペコとアリス。
「ねぇ、コトロ。何だかブラックは小さな教会で鎮魂したからそこのファーザーから証明の書類が必用みたいだよ… 手紙を出しておいて後日受け取りで良いの? そうだよね… この忙しいのにあそこまで取りに行けないよね… で、あたし最初ブラックが死んだなんて信じられなくてさ、今でも信じられないけど… 教会で蘇生できると思ったらいつの間にか蘇生希望のレ点を外して登録しなおしていたみたいで… でも… あの姿で呼び戻されても困るか… いい男が台無しだもんね… 何だか尊敬する先輩を見習って蘇生を希望しないようにしたって… あたしそんな事も知らなくてね… 教会に仮眠させる遺品のリストか…」
「……… リリア、書類なんて後で提出しても良いやつ結構あるよ」ペコとアリス。
「いいんだよ… どうせやらないといけない物だしね… 何度か火事の現場で見かけて、結構ムチャしていたけど… ブラックでしょ?万が一にもと思って… あたしも火の玉対応と消火、怪我人で忙しくって… だって、そこまで無理するとは思わないじゃん。ねぇ?… この書類は誰に出すの?バー・ブリックウォールのネネさん?あぁ…あの人が合同葬礼の窓口だったんだ… そう言えば時々書類を預かっていたね… でね、あの夜ブラックが部屋に来てね、勉強になったし自分でやりた事を見つけたからそのうちフリートで活動するって… だからそのうち故郷に帰してあげようと思うの。またフリートに旅行よ。ペコ、アリスまた行く?… え?いや… まだまだ先だよ… 生きている間にいくけど… 出身の村も知らないなんてね… 地方は聞いたけど… 最後にそんな事も聞けなくて… あたし煙を吸って気絶していたみたいだよ…」
「……… リリア、書類なんて時間がある時でいいよ。無理してやるもんじゃないでしょ」ペコとアリス。
「… リリア、後は私がやります。元々私の書類です。ペコとアリスも来てますし少しお茶でもしてきたらどうですか」コトロ。
「無理してないし… それに何かした方が落ち着いていいの。 短期間しかルーダの風にいなかったけど、訪問が多いよね… 凄い実力だったものね… 勇者の子孫ではないってだけでねぇ… リリアなんか勇者の子孫で弓なのにねぇ… 葬礼の装飾と典礼品はこの注文書なの?… 型どおりだからセットメニューになってるの?… あぁ…決まっているからリストになってるのか…… 小さなギルドの見習い葬礼セット…中規模ギルドのリーダー格セット… 街のVIP英雄級セット! 一番高いセットにしておくよ?…えぇ…いいよ、リリアが出すよ… 街の英雄級セットでいいじゃない…気持ちだよ… リリアが払うって… 他の人とのバランスもある?ギルド間の付き合い?… わかったよ… お世話になった大切な剣客用セットにするよ… リリアね、ブラックの事凄いなって思っていたの。魔法が使えて羨ましかったし凄い強くて、で親切で… 何でもできたじゃん。あんなに凄かったら今すぐこの国なら公認勇者だよね。 あんまり凄いからリリアなんかよりこの地に長くいるだろうとか勝手に思ってて。あの時もっとちゃんと引き止めれば良かった!もっと話をしておけば良かった!最後に話を聞いてあげてお別れくらいしてあげたら良かった!」
「…… リリア、もういいんだよ、別にリリアのせいじゃない。天命よ、定め、動かせないものだよ。一つの命で何倍もの命を救って、神殿に召されたの。胸を張ってご両親と再会よ」
ペコが声をかけるとリリアは飛びあがるようにしてペコとアリスに抱き着いて泣き声を上げ始めた。
コトロ、ネーコ、ラビも涙する。
ちょうど訪問客の切れた時間帯だった。
犠牲になった村人とブラックの葬儀を教会で行い、ルーダの風メンバーと一緒に帰ギルドした。
ブラックはルーダリアで冒険者活動を行うべくルーダの風に所属していたのでギルド葬儀となった。
リリアはショックで…
いや、ショック状態ではあるがそれどころではなかった。
ウィル村最寄りの教会で鎮魂と葬儀を行った後はバー・ルーダの風に戻ってきてギルド葬儀の準備。
コトロがルーダの風を引き継いでから初めての事。冒険者酒場、各ギルド、ギルド情報紙に葬礼の知らせと準備、届け出、目の回る思いで時間が過ぎていく。
「あぁ… そうか… ブラックは仮登録なので書類上は剣客扱いですね… 葬礼の飾り付けが変わってくるはずです… ギルドの紋章等一式は上の納戸にあったはずです。書類以外はネーコとラビに任せておきましょう。他のギルドと合同葬礼を出すので日程は…」
コトロも初めてのことで以前自分が手伝った記憶を頼りに書類を進めていく。
「葬礼の知らせは各冒険者酒場とギルド情報紙に出して来たよ。それからバーも慣例通り喪に付すことも伝えてきた。バーの前に飾り付け?… ギルドの紋章とルーダ・コートの街のバナー? 王国のバナーも?本人出身地か出身国のバナーも?飾り付け方?… いや全然意味わかんない… 何?…メモがあるなら初めから見せてよ」
リリアもコトロもイライラしている。
知らせを聞いて敬意を表しに来るお客の対応もある。
ネーコとラビで対応だがギルドリーダーのコトロだって挨拶をしないわけにはいかない。
「コトロ、リリア、聞いたよ… ブラックの事…」ペコとアリスも来た。
「ペコ、アリス、あたしねブラックと最後話せなかったの… あたしも気絶しててね… いつの間にか… えぇ…ちょっと待ってね… ブラックは出身がフリートでしょ、活動のためにここに籍を置いた形だったから書類上が… あたしもウィルオウェスプの対応と消火が…火の手が物凄くて…」
リリアは淡々とブツブツ言いながらカウンターで書類を書いている。
コトロも書類とお客対応に忙しくしている。ネーコとラビは挨拶のお客に対応。
「……… コトロ、リリア、アーマー&ローブは大きいギルドだからこういうの度々やるよ、わかる事は手伝うよ」ペコとアリスが言う。
「まぁ、書類はね、経験よね… ブラックの正式名ってブラキオーネとしか聞いてなかったな… えっと… 損傷が激しくてね、近くの教会で鎮魂と浄化してもらって、遺体は大地の母に帰されたの… で、遺品を持って帰ってきて… この場合は遺品が本人となり… 聖者の祝福を受けた地がこの村… 本人は遺品で今回街の教会で仮眠、その後は故郷に永眠予定で書類を作って… 結局あれだけ一緒にいて最後に話も出来なくてね… あんなに出来る後輩だったから… まさかこんな…ねぇ… だから、今考えたらリリアはブラックのこと全然知らずにいたんだなぁ…って思ったり… で、えぇ…やむなくルーダリア正規兵または指定のファーザー、あるいは指定の教会関係者の検分無しで葬礼を行い大地となった者は… やむなく?やむなくって何よ… 何なのこれ?皆みんなお勉強して育ったわけじゃないんだよね。これからの時代は絵に描いて説明できるような物にしておくべきだよね…」
リリアはブツブツ言いながら書類を読んでいる。
「……… リリア」ペコとアリス。
「ねぇ、コトロ。何だかブラックは小さな教会で鎮魂したからそこのファーザーから証明の書類が必用みたいだよ… 手紙を出しておいて後日受け取りで良いの? そうだよね… この忙しいのにあそこまで取りに行けないよね… で、あたし最初ブラックが死んだなんて信じられなくてさ、今でも信じられないけど… 教会で蘇生できると思ったらいつの間にか蘇生希望のレ点を外して登録しなおしていたみたいで… でも… あの姿で呼び戻されても困るか… いい男が台無しだもんね… 何だか尊敬する先輩を見習って蘇生を希望しないようにしたって… あたしそんな事も知らなくてね… 教会に仮眠させる遺品のリストか…」
「……… リリア、書類なんて後で提出しても良いやつ結構あるよ」ペコとアリス。
「いいんだよ… どうせやらないといけない物だしね… 何度か火事の現場で見かけて、結構ムチャしていたけど… ブラックでしょ?万が一にもと思って… あたしも火の玉対応と消火、怪我人で忙しくって… だって、そこまで無理するとは思わないじゃん。ねぇ?… この書類は誰に出すの?バー・ブリックウォールのネネさん?あぁ…あの人が合同葬礼の窓口だったんだ… そう言えば時々書類を預かっていたね… でね、あの夜ブラックが部屋に来てね、勉強になったし自分でやりた事を見つけたからそのうちフリートで活動するって… だからそのうち故郷に帰してあげようと思うの。またフリートに旅行よ。ペコ、アリスまた行く?… え?いや… まだまだ先だよ… 生きている間にいくけど… 出身の村も知らないなんてね… 地方は聞いたけど… 最後にそんな事も聞けなくて… あたし煙を吸って気絶していたみたいだよ…」
「……… リリア、書類なんて時間がある時でいいよ。無理してやるもんじゃないでしょ」ペコとアリス。
「… リリア、後は私がやります。元々私の書類です。ペコとアリスも来てますし少しお茶でもしてきたらどうですか」コトロ。
「無理してないし… それに何かした方が落ち着いていいの。 短期間しかルーダの風にいなかったけど、訪問が多いよね… 凄い実力だったものね… 勇者の子孫ではないってだけでねぇ… リリアなんか勇者の子孫で弓なのにねぇ… 葬礼の装飾と典礼品はこの注文書なの?… 型どおりだからセットメニューになってるの?… あぁ…決まっているからリストになってるのか…… 小さなギルドの見習い葬礼セット…中規模ギルドのリーダー格セット… 街のVIP英雄級セット! 一番高いセットにしておくよ?…えぇ…いいよ、リリアが出すよ… 街の英雄級セットでいいじゃない…気持ちだよ… リリアが払うって… 他の人とのバランスもある?ギルド間の付き合い?… わかったよ… お世話になった大切な剣客用セットにするよ… リリアね、ブラックの事凄いなって思っていたの。魔法が使えて羨ましかったし凄い強くて、で親切で… 何でもできたじゃん。あんなに凄かったら今すぐこの国なら公認勇者だよね。 あんまり凄いからリリアなんかよりこの地に長くいるだろうとか勝手に思ってて。あの時もっとちゃんと引き止めれば良かった!もっと話をしておけば良かった!最後に話を聞いてあげてお別れくらいしてあげたら良かった!」
「…… リリア、もういいんだよ、別にリリアのせいじゃない。天命よ、定め、動かせないものだよ。一つの命で何倍もの命を救って、神殿に召されたの。胸を張ってご両親と再会よ」
ペコが声をかけるとリリアは飛びあがるようにしてペコとアリスに抱き着いて泣き声を上げ始めた。
コトロ、ネーコ、ラビも涙する。
ちょうど訪問客の切れた時間帯だった。
応援ありがとうございます!
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