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第102話 仕事の基本は「報・連・相」
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『だから、なんでこんな大切なことをおれに連絡して来ないんだ』
社長は憤懣やるかたなしといった口調で佐野を責める。
しかし佐野は答えようがない。社長のそんな腹黒い魂胆など知らないからだ。
しかもすでに落書きの首謀者が星崎であることは橋本建設の社長にバレている。他の全ての悪行も含めてだ。さらに、シャッターの汚損は星崎が絡んでいるとはいえ、資材倉庫は元請会社の管理物件。下請業者の出る幕はない。
佐野が返答に窮していると、社長は舌打ちして、『星崎君は速攻で連絡をくれたぞ。お前の仕事の監視と、田上への新年挨拶をするために現場事務所へ行ったら、とんでもない事件が起きていたってな。なのにそこで作業をしているお前が報告をしないとは、一体どういうことだ! 仕事の基本である報告・連絡・相談を忘れたのか! たるんでるぞッ』とまくし立てる。
何が報告・連絡・相談だ。佐野は渋面をつくる。
そんなろくでもないことへ仰々しく引き合いに出すな。それと、新年挨拶だと? ただ単にユキへの仕返しを見届けに来ただけだろう。星崎の姑息さには心底うんざりだ。
また、ユキが横で聞いているのを知らぬとはいえ、社長はユキを思いっきり呼び捨てにした。つまり社長も星崎と同じく元請会社を見下しているということだ。
思えば昨夜も今朝も星崎は、「これからは下請が元請を選ぶ時代だ」と豪語していた。でも案外この言葉の出所は社長なのかもしれない。もしそうでなければ星崎にまんまと感化されたかだ。
されど今となってはどちらであろうとどうでもいい。とにかく会社のトップがこのようなものの考え方をしているという事実が大問題。
しかしユキは下請に呼び捨てにされたというのに声を殺して爆笑しつつ、何やらメモ用紙に文字を書いている。
実に楽しそうだ。どうやら「根性曲がり」が発動したらしい。
社長は憤懣やるかたなしといった口調で佐野を責める。
しかし佐野は答えようがない。社長のそんな腹黒い魂胆など知らないからだ。
しかもすでに落書きの首謀者が星崎であることは橋本建設の社長にバレている。他の全ての悪行も含めてだ。さらに、シャッターの汚損は星崎が絡んでいるとはいえ、資材倉庫は元請会社の管理物件。下請業者の出る幕はない。
佐野が返答に窮していると、社長は舌打ちして、『星崎君は速攻で連絡をくれたぞ。お前の仕事の監視と、田上への新年挨拶をするために現場事務所へ行ったら、とんでもない事件が起きていたってな。なのにそこで作業をしているお前が報告をしないとは、一体どういうことだ! 仕事の基本である報告・連絡・相談を忘れたのか! たるんでるぞッ』とまくし立てる。
何が報告・連絡・相談だ。佐野は渋面をつくる。
そんなろくでもないことへ仰々しく引き合いに出すな。それと、新年挨拶だと? ただ単にユキへの仕返しを見届けに来ただけだろう。星崎の姑息さには心底うんざりだ。
また、ユキが横で聞いているのを知らぬとはいえ、社長はユキを思いっきり呼び捨てにした。つまり社長も星崎と同じく元請会社を見下しているということだ。
思えば昨夜も今朝も星崎は、「これからは下請が元請を選ぶ時代だ」と豪語していた。でも案外この言葉の出所は社長なのかもしれない。もしそうでなければ星崎にまんまと感化されたかだ。
されど今となってはどちらであろうとどうでもいい。とにかく会社のトップがこのようなものの考え方をしているという事実が大問題。
しかしユキは下請に呼び捨てにされたというのに声を殺して爆笑しつつ、何やらメモ用紙に文字を書いている。
実に楽しそうだ。どうやら「根性曲がり」が発動したらしい。
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