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第一章 攻略対象一人目 正しい第一王子の取り扱い方

クリスフォード王子 ②

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俺達と彼女の距離は近くなり3か月もしないうちに常に行動をする間柄となってしまっていた。

俺達には婚約者がいた。にもかかわらず彼女にのめり込んでいった。

彼女も満更でもなく俺達の…俺の側に控えるようになった。
そして俺はそれを許していた。



彼女といると俺は鬱々としていた気分が晴れるのだ。
俺の努力を認め褒めてくれる。

俺が欲しかった言葉をくれた。嬉しかった。

第二王子おとうとではなく俺こそ次期国王に相応しい人物だと。

初め俺はその言葉を訝しんだが彼女の言葉に耳を傾けていくうちに、そうだと思うようになったのだ。

やはり俺は王たる器だった! 見失っていた自信と希望を取り戻したのだ。

もう第二王子おとうとやレティエルなど恐るるに足らぬ!

俺は彼女と言いう掛け替えのない存在を見つけたのだ!



俺は彼女の口から紡ぎ出される耳当たりの良い言葉に溺れた。熱に浮かれていたのだ。

王家とは王子とは王となる者は‥…大事な何かが抜け落ちていた俺は気分を良くしてくれる言葉以外は撥ね退けた。諫言してくる者に罰を与え甘い言葉をかけてくる者を重用した。

彼女の父親も俺の気分を良くしてくれたうちの一人だ。




それからの俺達はまるで恋人同士だと周囲の者に囁かれだした。

中には俺達こそ真実の愛を見つけたお似合いの二人だと羨望の眼差しで観る者もいた。

俺は気分が高揚していた。


彼女は俺が不出来なのではなく俺を立てない第二王子おとうとやレティエルが己を誇示する愚か者だと言ってくれた。その愚か者は俺に劣等感を植え付け悦に浸っている。
そのような者が俺の婚約者の座に居座って我儘に振る舞って俺を蔑んでいると。
いつまで卑劣な女を横に置くのか次期国王になる俺にはもっと相応しい相手がいるのでは‥‥。
彼女から淀みなく発せられる言葉が呪文のように俺の頭を占めていく。
 



そうだ。俺の婚約者は我儘で驕った卑劣な女だった。

俺から愛されることに慣れ切った愚かしい女だ! 俺の愛を受ける資格などない!

俺に相応しい女性がここにいるというのに。

ああ、レティエルとの婚約は過ちだ!



そうして俺は彼女にのめり込み盲目的に依存していったのだ



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