異世界へと旅立った姉と置いて行かれた自称勇者の弟

 十三年前の夏、異世界を夢見た最愛の姉、井沼鏡子(いぬま・きょうこ)が水難事故によって行方不明となり、異世界へと旅立った。
 鏡子の弟で、異世界に行けなかった井沼翔流(いぬま・かける)は、姉との〝約束〟を果たすために異世界転移の儀式を夜な夜な繰り返していた。
 苦節十三年。引き籠もりのニートで上級異世界厨へと成長した翔琉が、研究に研究を重ねて生み出すデタラメな儀式にようやく転機が訪れたのだが、本来の目的とは違う、影の姿をした悪魔を召喚してしまう。
 そしてこの一件によって停滞していた翔琉の運命はようやく動き始めようとしていた。
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