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第三章
死に体④
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山岸の件もある。
藍良宛に届いたという手紙。あの手紙にも山岸が絡んでいるのでは無いか。
そういえば、藍良が運ばれた時持ち物は何もなかったと言っていた。
携帯電話はどこにいった?
それに、例のカレンダーに書いてあった黒文字の意味はなんだ。
藍良の姿が居なくなってから数日が経ったが、何故、誰一人として連絡が来ない。
「もう、わけわかんねー」
髪の毛を何度も掻き、俺は布団の上に飛び込んだ。
---
--
-
翌日、いつもと変わらないようにアイが俺に話しかけてきた。
梅雨葉のアイに対する接し方も、親父の妙に明るく振る舞うその姿も、今は気持ち悪い。
胃に残留する消化されていない物を吐き出しそうになる。
「お兄ちゃん、顔色悪いよ?」
「‥あぁ、胃の調子が悪くて」
アイが心配そうに俺の顔を見る。
いやいや、原因の一端はキミなんだよ。
「胃薬、飲みな?」
梅雨葉がゴソゴソと薬品が入っている箱から胃薬を取り出して俺に渡す。
あぁ、何と優しい妹か。
いつもは歪みあってばかりの兄妹だが、やはり心の底では心配をしあっているんだな。
「梅雨葉は優しいなぁ。こんな自業自得の情けない兄貴に対して」
親父が今朝の朝食のパンプキンチキンを頬張りながら言う。
自業自得だと?
「お?何だ何だ。文句があるなら言ってみろ」
「‥ご馳走様」
そう言うと、まったく、と溜息をつく。
「悔しく無いのかね。何か言い返さんか」
そんな気力はねーよ。
「あっ、てめー!お残しは許しませんといつも言ってるだろ!」
親父の罵声が飛び交う前に、俺は家を出ることにした。
やってられっか。
---
--
-
家を飛び出したはいいものの、どうしたものか。
学校に行く気がしなかった。
俺はゆっくり歩きながら考える。
‥休むか。
いやでも、アイの事もある。
何かあったら、大変だ。
山岸のことはどうする?
あいつがは何を考えてるんだ。
また、前みたくアイに近づいて、何か企んでいるのだろうか。
家を出てから数分進んだ先で、スマホが振動する。
『あ、アニキ。テツヤっす。明朝からすいやせん』
「いや、明朝っていうほどではないけど」
『今お時間ありますか?』
「キミはマイペースだね。どうした?」
いつも話を聞かないテツヤくんは、俺がそう言い終わると同時に言葉を続ける。
『アニキの昨日のメール、読みました。それで、俺少し気づいたことありまして』
実は—‐‐。
「え?」
俺が立ち止まると、後ろからドンっと何かがぶつかった。
振り返ると、アイが尻餅をついている。
『いつでもいいんですが、どこかで会えますか?』
「‥そしたら、放課後、最初に会った公園で」
『分かりやした。そこでしたら丁度都合もいいっす。時間は‥」
テツヤくんが動けやすい時間を指示し、俺は了承する。
「てことで、今日も忙しくなるぞ」
アイに手を伸ばしてそう言うと、訳がわかっていないのに「はいっ!」と笑顔で頷いた。
藍良宛に届いたという手紙。あの手紙にも山岸が絡んでいるのでは無いか。
そういえば、藍良が運ばれた時持ち物は何もなかったと言っていた。
携帯電話はどこにいった?
それに、例のカレンダーに書いてあった黒文字の意味はなんだ。
藍良の姿が居なくなってから数日が経ったが、何故、誰一人として連絡が来ない。
「もう、わけわかんねー」
髪の毛を何度も掻き、俺は布団の上に飛び込んだ。
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翌日、いつもと変わらないようにアイが俺に話しかけてきた。
梅雨葉のアイに対する接し方も、親父の妙に明るく振る舞うその姿も、今は気持ち悪い。
胃に残留する消化されていない物を吐き出しそうになる。
「お兄ちゃん、顔色悪いよ?」
「‥あぁ、胃の調子が悪くて」
アイが心配そうに俺の顔を見る。
いやいや、原因の一端はキミなんだよ。
「胃薬、飲みな?」
梅雨葉がゴソゴソと薬品が入っている箱から胃薬を取り出して俺に渡す。
あぁ、何と優しい妹か。
いつもは歪みあってばかりの兄妹だが、やはり心の底では心配をしあっているんだな。
「梅雨葉は優しいなぁ。こんな自業自得の情けない兄貴に対して」
親父が今朝の朝食のパンプキンチキンを頬張りながら言う。
自業自得だと?
「お?何だ何だ。文句があるなら言ってみろ」
「‥ご馳走様」
そう言うと、まったく、と溜息をつく。
「悔しく無いのかね。何か言い返さんか」
そんな気力はねーよ。
「あっ、てめー!お残しは許しませんといつも言ってるだろ!」
親父の罵声が飛び交う前に、俺は家を出ることにした。
やってられっか。
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家を飛び出したはいいものの、どうしたものか。
学校に行く気がしなかった。
俺はゆっくり歩きながら考える。
‥休むか。
いやでも、アイの事もある。
何かあったら、大変だ。
山岸のことはどうする?
あいつがは何を考えてるんだ。
また、前みたくアイに近づいて、何か企んでいるのだろうか。
家を出てから数分進んだ先で、スマホが振動する。
『あ、アニキ。テツヤっす。明朝からすいやせん』
「いや、明朝っていうほどではないけど」
『今お時間ありますか?』
「キミはマイペースだね。どうした?」
いつも話を聞かないテツヤくんは、俺がそう言い終わると同時に言葉を続ける。
『アニキの昨日のメール、読みました。それで、俺少し気づいたことありまして』
実は—‐‐。
「え?」
俺が立ち止まると、後ろからドンっと何かがぶつかった。
振り返ると、アイが尻餅をついている。
『いつでもいいんですが、どこかで会えますか?』
「‥そしたら、放課後、最初に会った公園で」
『分かりやした。そこでしたら丁度都合もいいっす。時間は‥」
テツヤくんが動けやすい時間を指示し、俺は了承する。
「てことで、今日も忙しくなるぞ」
アイに手を伸ばしてそう言うと、訳がわかっていないのに「はいっ!」と笑顔で頷いた。
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