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第ニ章
盲目⑨
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金木は誰に聞いた?
コミニティーって何だよ。
分からなければ対策を立てようにもない。
今から電話を‥。
「ご主人様!」
部屋の扉が勢いよく開いたかと思えば、中に制服姿のアイが入ってきて俺の胸に飛び込んできた。
「酷いですよ~。どうして先に帰るんですか~」
涙を浮かべ、鼻水を啜っている。
「ごめん、ちょっと、考え事してて」
「あれから私、知らない人に声をかけられたり、靴箱に変な手紙が入っていたり、大変だったんです~」
アイはそう言いながら子供のように俺の胸で頭を左右に振る。
「手紙?」
「‥ぐすっ。これです」
その手紙は、ワープロで生まれたものだった。
内容を見て、目を見開く。
【拝啓
親愛なる 藍良 舞様へ。
あれからあなたからの連絡が一向に来ないが、つまりは、例の写真をばら撒かれてもいいということでしょうか。
あまりオススメはしません。一と百。どちらがあなたにとって好ましくないのかくらい分かるでしょう。
ワタシは優しいのであと一週間待ってあげます。
必ず、あなたの生まれたままの姿で撮った写真を送ってくるように。
宛先は以前伝えたアドレスで大丈夫です。
尚、一週間経っても送られてこない場合は約束は守られなかったということとみなします。
敬具】
「なんだ、これ」
「さぁ?」
俺は、この気味の悪い手紙を握りしめていた。
「心当たり‥あ」
何言ってんだ。あるわけないだろ。
目の前にいるのは藍良じゃなくて、アイだ。
「生まれた時のって、裸ということですか?」
「‥そうだろうな」
「アドレスが分かれば送るんですけどね」
「今は冗談を言ってる場合じゃあ」
俺はアイの方を見てそう言うが、アイの顔を見てゾワっとした。
アイは、冗談を言っているわけじゃなかった。
何が駄目なのか。
そんな風に純粋そのものの目で俺を見ていた。
「お前‥本気でそう思ってるのか?」
「え?何がですか?」
「だから、裸の写真を、送るってことだよ」
「‥?」
やめてくれ。
藍良の顔で、気持ちの悪い、感覚を持つな。
お前自身を、否定したくなる。
俺には、今目の前にいるアイという不気味な存在と山岸が被って見えた。
瞬間、アイが突然頭を抱え始める。
「‥いや」
ボソッと呟いたその言葉は、次第に大きくなる。
「いや、いや、いや!‥ならないで、ならないで」
いやいやいやいやいや!!
半狂乱になりながら、アイはその場で蹲る。
「お、おいっ!」
その震える肩にそっと手が伸びる。
「ど、どうしたんだよ」
しかし俺は触れることができない。
得体の知れない存在と認識してしまった俺は、もう一線を引いてしまった。
暫くすると、アイはそのまま眠りについた。
頭が割れそうになる。
どうか、夢なら覚めてくれ。
悪夢のような一日に、俺も意識を落とした。
コミニティーって何だよ。
分からなければ対策を立てようにもない。
今から電話を‥。
「ご主人様!」
部屋の扉が勢いよく開いたかと思えば、中に制服姿のアイが入ってきて俺の胸に飛び込んできた。
「酷いですよ~。どうして先に帰るんですか~」
涙を浮かべ、鼻水を啜っている。
「ごめん、ちょっと、考え事してて」
「あれから私、知らない人に声をかけられたり、靴箱に変な手紙が入っていたり、大変だったんです~」
アイはそう言いながら子供のように俺の胸で頭を左右に振る。
「手紙?」
「‥ぐすっ。これです」
その手紙は、ワープロで生まれたものだった。
内容を見て、目を見開く。
【拝啓
親愛なる 藍良 舞様へ。
あれからあなたからの連絡が一向に来ないが、つまりは、例の写真をばら撒かれてもいいということでしょうか。
あまりオススメはしません。一と百。どちらがあなたにとって好ましくないのかくらい分かるでしょう。
ワタシは優しいのであと一週間待ってあげます。
必ず、あなたの生まれたままの姿で撮った写真を送ってくるように。
宛先は以前伝えたアドレスで大丈夫です。
尚、一週間経っても送られてこない場合は約束は守られなかったということとみなします。
敬具】
「なんだ、これ」
「さぁ?」
俺は、この気味の悪い手紙を握りしめていた。
「心当たり‥あ」
何言ってんだ。あるわけないだろ。
目の前にいるのは藍良じゃなくて、アイだ。
「生まれた時のって、裸ということですか?」
「‥そうだろうな」
「アドレスが分かれば送るんですけどね」
「今は冗談を言ってる場合じゃあ」
俺はアイの方を見てそう言うが、アイの顔を見てゾワっとした。
アイは、冗談を言っているわけじゃなかった。
何が駄目なのか。
そんな風に純粋そのものの目で俺を見ていた。
「お前‥本気でそう思ってるのか?」
「え?何がですか?」
「だから、裸の写真を、送るってことだよ」
「‥?」
やめてくれ。
藍良の顔で、気持ちの悪い、感覚を持つな。
お前自身を、否定したくなる。
俺には、今目の前にいるアイという不気味な存在と山岸が被って見えた。
瞬間、アイが突然頭を抱え始める。
「‥いや」
ボソッと呟いたその言葉は、次第に大きくなる。
「いや、いや、いや!‥ならないで、ならないで」
いやいやいやいやいや!!
半狂乱になりながら、アイはその場で蹲る。
「お、おいっ!」
その震える肩にそっと手が伸びる。
「ど、どうしたんだよ」
しかし俺は触れることができない。
得体の知れない存在と認識してしまった俺は、もう一線を引いてしまった。
暫くすると、アイはそのまま眠りについた。
頭が割れそうになる。
どうか、夢なら覚めてくれ。
悪夢のような一日に、俺も意識を落とした。
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