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小話・季節ネタなど(後書き手の呟きとか)

夜の晩酌はもう少し先

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「サラ、寝たのか?」

「ん~むにゅ~……」

「クク、寝たか。夜の晩酌はまだまだ速そうだな」

「食前酒で酔う様では晩酌は無理だろうな」

「早く食事だけでなく美味い酒も一緒に飲みたいのだけどな。まぁその内サラでも飲めそうなカクテルを作るとするか」

「うむうむ、相変わらず手も暇を惜しまない男よのう」

「手間暇かけて作った料理は格別に美味いからな」

「料理上手のセブン氏が言うと説得力があるな」

「まぁ女を料理するのは初めてだが上手くい………て、えぇっ!?」

「よ!」

 振り向くとそこには笑顔の全能神。
 酒につられて天界を出て来たらしい。

「相変わらず鼻が利きますね」

「美味い酒が飲める予感がしたのでな」

「全能神の予感はもう予知なのでは?」

「まぁそうとも言うな、で酒はあるんだろう?肴も」

「今日はサラとゆっくり晩酌を楽しむ予定でしたからね。まさか食事の飲み物を果実水から食前酒に変えただけであんなに酔っぱらうと思わないですよ」

「そんなところも可愛いと思っているくせに?」

「食前酒で酔うサラ…可愛いですよね。ふにゃふにゃになって、真っ赤な顔で呂律の回らない口で「セブンしゃん~♡」ですよ!アレが可愛くない奴は目が腐っているので俺が治療してやりますよ!」

 拳を握ってセブンが吠える。
 そう、吠えていると言う表現が1番しっくりくる。
 サラの事を語り出したら止まらなくなりそうだ。
 そして少しサイコの気があるかも知れない。
 本当に目玉を抉りだして新しい目玉を入れそうな勢いである。
 マッドサイエンティストが生まれるかどうかはサラにかかっていると言っても過言では無い。

「まぁ可愛いな。餌付けしたくなる気持ちはわかるぞ」

「口説かないで下さいよ?」

「今日の酒と肴の味次第だな」

「全く全能神様がこんなにしょっちゅう地上の一般人の家に飲みに来ていて良いんですか?まぁサラと晩酌するつもりで用意した酒と肴があるので問題は無いですが」

「相変わらず味に自信ありか。それくらいで丁度良い」

「じゃぁサラを寝室に連れて行くので食前酒でも飲みながら好きな席で待っていてください」

 そう言ってセブンはサラをお姫様抱っこして、2階のサラの部屋へと向かう。

「鍵の無い寝室で1人身の男と1つ屋根の下で暮らして喜んでいるサラがセブン氏を拒むこともあるまい。私はしばらくこのもどかしい恋模様を酒の肴に楽しむしようではないか」

 セブンは気付いていないが、全能神は神眼で様子を覗き見しているのだ。
 だから油断していたセブンはサラをベッドに寝かせて布団をかけてやると、優しい目でサラの顔を眺め、頬を撫ぜると「お休み俺の可愛いサラ」と言い額に口付けを落としたのであった。

 因みにこの後全能神に全部言い当てられて、慌てふためくセブンの姿が有ったとか。
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