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第三章 幸せの行方
19 常陸丸 2
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突然、休みをもらった。成人の見舞いに力丸を連れていくから、俺はいらないと言われた。殿下は、成人と力丸の仲が良すぎることを面白く思っていないから、連れていくということは、余程、成人の具合は良くないのだろう。
とりあえず、突然休みをもらっても困る。いつもは乙羽と休みを合わせて、乙羽が本を読むなら抱え込んで椅子代わりになったり、買い物に行くなら荷物持ちに付いていったり、料理するなら側で見てて味見をしたりするのだが、今日は乙羽は仕事だから、やることがないじゃないか。
九条のじい様は、とうに軍の訓練所に遊びに行ってしまったし、途中から行くのも暇潰しと丸分かりで行きにくい。
考えた結果、仕事をしている乙羽を見物することにした。
離宮は広いので、幾人かの使用人があちらこちらで掃除をしたり、寝具を整えたり、洗濯したり干したりしている。壊された屋敷では、乙羽と吉野と斑鹿乃の三人で、それらの作業をのんびりとこなしていたが、今は監督する立場らしい。
吉野は、いい年齢になったので引退することになり、趣味の縫い物をして過ごしている。
斑鹿乃は、厨房の手伝いをしていることが多くなった。広末は、住む人数が増えて、今までよりたくさんの料理を作ることになり、てんてこ舞いしていたので、ちょうど良かったらしい。ずっと一緒にいられて、羨ましい限りだ。
乙羽は、仕事をしている使用人たちに声を掛けて、お礼を言って回っていた。チェックしている感じではなく、助かっている、とか頑張ってくれてありがとう、とか一人ずつ丁寧に声をかけている。皆、自然に手を止めては返事や挨拶を返して、仕事に戻る。しっかり良い関係を築いているんだろう。
俺の奥さんは、なんて素敵な人なんだ。
俺は感動しながら、少し離れて付いて歩く。邪魔しちゃ悪いからな。
こんな楽しい休みを過ごせるなんて、今日も良い日だ。
機嫌良く歩いていると、落ち着いた五十代くらいの男の使用人が、乙羽の側に来て頭を下げた。使用人達のまとめ役もしている一ノ瀬荘重だ。
「すみません、乙羽さま。私では追い返せない来客が来られました」
とりあえず、突然休みをもらっても困る。いつもは乙羽と休みを合わせて、乙羽が本を読むなら抱え込んで椅子代わりになったり、買い物に行くなら荷物持ちに付いていったり、料理するなら側で見てて味見をしたりするのだが、今日は乙羽は仕事だから、やることがないじゃないか。
九条のじい様は、とうに軍の訓練所に遊びに行ってしまったし、途中から行くのも暇潰しと丸分かりで行きにくい。
考えた結果、仕事をしている乙羽を見物することにした。
離宮は広いので、幾人かの使用人があちらこちらで掃除をしたり、寝具を整えたり、洗濯したり干したりしている。壊された屋敷では、乙羽と吉野と斑鹿乃の三人で、それらの作業をのんびりとこなしていたが、今は監督する立場らしい。
吉野は、いい年齢になったので引退することになり、趣味の縫い物をして過ごしている。
斑鹿乃は、厨房の手伝いをしていることが多くなった。広末は、住む人数が増えて、今までよりたくさんの料理を作ることになり、てんてこ舞いしていたので、ちょうど良かったらしい。ずっと一緒にいられて、羨ましい限りだ。
乙羽は、仕事をしている使用人たちに声を掛けて、お礼を言って回っていた。チェックしている感じではなく、助かっている、とか頑張ってくれてありがとう、とか一人ずつ丁寧に声をかけている。皆、自然に手を止めては返事や挨拶を返して、仕事に戻る。しっかり良い関係を築いているんだろう。
俺の奥さんは、なんて素敵な人なんだ。
俺は感動しながら、少し離れて付いて歩く。邪魔しちゃ悪いからな。
こんな楽しい休みを過ごせるなんて、今日も良い日だ。
機嫌良く歩いていると、落ち着いた五十代くらいの男の使用人が、乙羽の側に来て頭を下げた。使用人達のまとめ役もしている一ノ瀬荘重だ。
「すみません、乙羽さま。私では追い返せない来客が来られました」
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