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第三章 幸せの行方
20 常陸丸 3
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一ノ瀬に追い返せない来客とは、なかなか身分のお高いお貴族様とみえる。頷いて玄関に急ぐ乙羽に付いて行く。
緋色殿下は、認識している身内以外の人間を、一歩たりともこの宮の中に入れる気は無いので、どんな身分の者も、例え皇族でも緋色殿下の許可無しには入れない。突然来るというのは、悪手だ。
玄関の扉前で、本日の護衛を来客が睨み付けていた。本日の離宮の護衛は緋椀さまか。ちょうど良かった。流石の三条の姫様も、緋椀さまを相手に無茶はできなかったようだな。
乙羽が緋椀さまを少し下がらせて、綺麗に頭を下げる。
三条の姫様は、強行突破する気満々で来たのか、護衛を三人も連れていた。緋椀さまは、一撃必殺。戦場では無類の強さを誇るが、殺さず制圧することは得意ではない。相手が三人なら少し手伝おう、と離れた場所で準備運動を始める。護衛共がびくびくしてるなあ。張り合いの無い。
「ただいま、主が留守でございます。ご用件は、私がお伝え致しますので、ここで承ります」
「無礼者。このような玄関先で、このわたくしを立たせたまま待たせた挙げ句、用件を伝えておくですって?」
「はい。我が宮は、主の許可無き者は、例え皇族でも立ち入ることなりません」
「……っ。緋色殿下にお話がありますので、中でお帰りを待たせて頂きます。そこをお退きなさい」
「申し訳ございません。然るべき手続きをお踏みになり、緋色殿下の許可を得てから来て頂きますよう、お願い申し上げます」
「泉門院ごときが、わたくしの行く手を阻むか」
三条の姫様は、冷静になろうと頑張ったが失敗したようだ。話し合いでは無理か、と思っていたら、近寄ってくる人影が見えた。
ただならぬ様子を見て前に出た力丸、ご機嫌な緋色殿下と、その腕の中に成人!
「たらいま」
成人の声に乙羽の顔が、ぱっと輝いた。
「なる、おかえり!」
緋色殿下は、認識している身内以外の人間を、一歩たりともこの宮の中に入れる気は無いので、どんな身分の者も、例え皇族でも緋色殿下の許可無しには入れない。突然来るというのは、悪手だ。
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「はい。我が宮は、主の許可無き者は、例え皇族でも立ち入ることなりません」
「……っ。緋色殿下にお話がありますので、中でお帰りを待たせて頂きます。そこをお退きなさい」
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「泉門院ごときが、わたくしの行く手を阻むか」
三条の姫様は、冷静になろうと頑張ったが失敗したようだ。話し合いでは無理か、と思っていたら、近寄ってくる人影が見えた。
ただならぬ様子を見て前に出た力丸、ご機嫌な緋色殿下と、その腕の中に成人!
「たらいま」
成人の声に乙羽の顔が、ぱっと輝いた。
「なる、おかえり!」
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