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突然の異世界

この世界の混沌

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混沌、、?どういうことだろう?


私の疑問が顔に出ていたのか、シュタインさんは
迷うような様子を見せた後、

「80年前、この世界に突如として“混沌”が
生まれたのです。
我々の世界には、人間の他に魔族という種族がいます。
1000年以上前に、魔物と人間が交わったことから始まった種族とされています。
もともと凶暴な性質を持つと言われている魔族ですが、彼らの縄張りに近づかなければこれまで人間との間に争いが起こることはありませんでした。

しかし近年になって、彼らは誰彼構わず狂ったように人を襲うようになったのです。

その原因が“混沌”だと言われています。
しかしその正体は魔力なのか、または別の要因なのかまだ分かっていないのです。

しかし、その混沌に対抗できる唯一の力は明らかになっています。

その唯一の力が“神聖力”です。

そして、その神聖力は選ばれた者の中にしか宿りません。“混沌”に対抗できるほどの神聖力を持った者を召喚した結果、それが異界人だったのです」


「そうなんですね、、」


ん?待てよ。こういった場面で召喚されるってことは、その敵を討伐するためなんだよね?
それってつまり、異世界もので定番のあの登場人物なんじゃ、、

ドキドキする気持ちを抑えられず、やや興奮気味にあのフレーズを出した。


「も、もしかして、、その召喚した異界人って
“聖女”とか“勇者”とか、、ですか?」


シュタインさんは驚いた表情をしながら

「! ええ、その通りです。
召喚された異界人は、ここでは“聖女”様、
“勇者”様と呼ばれています」



ふおぉぉ!!
異世界ものが大好きな私としては
胸熱すぎるフレーズだ!
これまでの社会生活で培ったポーカーフェイスを
保ったまま、心は狂ったように踊る。

だ、だめだ、、!
と、とりあえず一旦落ち着こう!
急にニヤニヤし出したら折角、無害認定されたのにまた警戒されかねない。


ふぅっと少し息を吐いて心を落ち着け、再び前へ
向き直った。

「私のいた世界ではそういった存在を描いた物語もあったので、とても興味深いです」

何事もなかったように澄まし顔で話す。


「そうなんですね。
だからでしょうか。
“聖女”様、“勇者”様ご本人たちも、召喚された際も理由を知った際もそこまで動揺されている様子はありませんでした」


そうなんだ、、
聖女様や勇者様も転生系のマンガとか読んでたのかな、、


興奮も落ち着いてくると、そういえばずっと気になっていたことを思い出した。

「あの、こちらの世界に飛ばされた人や召喚された人は元の世界に戻ることはできるんでしょうか?」


そう聞くとシュタインさんは申し訳なさそうに


「残念ながら、その方法はまだ解明されていません。
探ってはいるのですが、あちらに繋がる扉がいつどうやって開くのか、ほとんど自然発生的なものなので解明が難しいのです。
ですから、異界人がこちらの世界で暮らしていけるように我が国ではなるべくサポートをさせて頂いております」


まあ、そうだよね、、
何となくそんな気はしていたけど、やっぱりちょっとショックだな、、
けどこればかりはどうしようもない。


「それでは、説明はこれで以上となります。
他に疑問点はありませんか?」

特に思いつかなかったので、ありませんと答えるとシュタインさんは少し間をおいて、


「・・・突然この世界に飛ばされ、すぐに我が国の兵士が乱暴な扱いをしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。
実は先ほどお伝えした“混沌”が異界人にも影響を及ぼしているようなのです。異界人による犯罪や
暴徒が最近も起こっていて、兵たちも敏感になっていたようです。

ですが、これは言い訳でしかありませんね。
大変、失礼をいたしました」

そう言って深々と頭を下げる。

「そんな!この国を守りたいという強い気持ちが
そうさせたんでしょうし、ここに来てからは丁寧に対応頂いたので私は気にしてませんよ」


初めは怖い思いもしたが、疑いが晴れてからは
ちゃんとこの世界について説明もしてくれて
どれだけ心が軽くなったことか。


「・・ありがとうございます。
では、これからのお住まいと仕事に関してはいくつかご紹介させて頂きますので、、」



シュタインさんが今後のことを話し出したときだった。




その声が突然降って来たのは。
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