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第十楽章 駅コンサート

番外編 少し前の話

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「栗本ここ教えてくれない?」

「自分でやりなよ。」

志柿は栗本に楽譜を見せて質問してきた。
どうやらわからないところがあるらしい。

「いやぁー自分でやるのって面倒じゃない?」

「何言ってるんだ?」

ここは大学の図書館。
栗本は1人で静かに勉強するはずだった。
しかしいつも志柿はくっついてくる。

まぁ別にいいんだが。

「俺今日暇だなぁ。飲み行こうぜ栗本!
ほら、フルートの桃葉ちゃんと大和田と
横山誘って5人で。」

「いや、バイトあるし。」

「終わったらでいいよ!よし!店予約しとくわ。」

「ちょっと待て!まだ行くとは言ってないぞ!」

「ダメ決定。」

「全く、、。志柿。残念だけど今日はお前はいけないぞ。」

「へ?」

「さっき教授に言われたんだよ。
今日中にレポートを出しなさいって伝えろって。」

「え、、、、、終わった。」

「、、、やれやれ。
手伝ってやらないことはないけどな。」

「神か、、。今度飯奢る。」

「昼飯3日分。」

「安いもんだぜ!本当に栗本は頼りになるぜ。案外指導者とか向いてるかもな。
ぶっきらぼうだけど。」

「2度と手伝わない。」

「やめてくれ!!助けてくれ。」

栗本義宏、20歳。
チューバのプロになるために必死に練習中だ。

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