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第十一楽章 目指した先には

入部してしばらく経った頃⑤

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栗本先生の合奏をしている。

「ユーフォニアムも吹いてます。」

「あ、ごめんごめん。じゃあ一緒に!」

「はい!」

鈴木優はユーフォニアムも吹いてるよあるあるを食らっていたところだった。

どうも忘れられちゃうんだよな。

「お疲れ様。」

「西川先輩。」

この人は西川先輩。
二年生のユーフォニアムの先輩。
めちゃくちゃうまい。

本当はすぐに1stをもらえると思っていた。

鈴木優は自信があった。
中学は全国や東海大会に出場することはなかったが経験者であるから多少自信はあった。

北浜はあまり強くない高校だと知っていたし
ここだったら先輩を差し置いてすぐレギュラーを張れる。

そう思っていた。

だが、、、、、、。

「全然うまいし。他の人の方が、、。」

西川先輩も上手い。
他の先輩たちは結構レベル高いし周りは粒揃い。
それに同期のホルンの、、、篠宮美玲だっけか。あとはトランペットの奴も上手い。

、、、みんな上手いのにやらない。

まぁ高校の部活なんてそんなもんだろう。
飽きたらやめればいいし。
そしたらなんかバイトでもしようかな。

「あのさ、、鈴木くん今日全然集中してないでしょ?」

「え?いやいや!」

「うそだ。顔に出てるもん。」

「あ、、すみません。」

「なんか悩んでんの?」

「いや、、これはその。現実と理想のギャップというかなんというか。自分の悩みなんで。」

「ふーん。まぁうまくいかないことの方が多くない?」

「そんなもんですかね。」

「うん。上手いやつは自分よりもっと練習してるからね。」

「はぁ、、。」

「この吹部のメンバーあんましやる気ないでしょ。」

「、、はい。」

「だよね。そもそもユーフォニアムって吹奏楽部に入りたいって子達がやりたい楽器のランキングには入らないと思うんだよね。
みんな最初からユーフォニアムやりたいって子はいるかもしれないけど大体は楽器選びから落選した子達からなるんだよね。」

「はい、、僕もそうなんですよ。」

「だから他の楽器の子たちが羨ましく感じる。そして自分が吹きたい楽器をやってるんだからもっと真剣に吹いてよって嫉妬しちゃう。ツンデレだね。」

「ツ、、ツンデレじゃないですよ!」

「ははは!ユーフォニアムは性格が悪い。
だから俺は他のやつよりもっとうまくなってやろうって思うよ。」

西川先輩は笑っている。
だけどその表情は怖さも感じた。

「鈴木優。お前が引っ張ってくんだよ。
吹部で一番性格悪いユーフォニアムが。」

「それ褒めてるんですか?
貶してるんですか?」

西川先輩。
俺は全国大会に行きますよ。

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