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第2部 自由

衝撃的な情報

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 そして公爵邸を出発して十分ほどが経ち、クレアとアーサー悪い乗せた馬車は順調に第二宮へと向けて走行していた。

 二人ともしばらく無言でいたが、アーサーが口を開いた。

「先ほどの使いの件だが」
「はい」
「実は、トスカの体調がすぐれないようだ」
「え……」

 クレアは背中に冷たいものを感じた。


(正直なところ、長年苦しめられたトスカ様にはあまり良い感情は持ち合わせていないわ。……けれど)

「トスカがかかっているのは、まだ治療薬が開発されていない病らしくてな。感染する可能性もあるので、くれぐれも塔には近寄らないようにとの伝達だった」
「そんな……」

 クレアはふと、その報せはブルーノにも出されているのではないだろうとクレアはと思った。
 そもそも、四人でお茶を嗜んでいたあのタイミングで使いの者が訪れるのは、少々不自然ではないだろうか。

 まさか、使いの者があのタイミングで訪れたのはブルーノが手配したことだったのではと思うが、確かなことではないのでその疑問はとりあえず胸中にしまっておくことにした。

「トスカ様の容態は、芳しくないのでしょうか」
「ああ。三日ほど前からトスカは体調不良を訴えたのですぐに主治医が診たらしいが、どうも病名は「ググモ熱」だそうだ。帝都では主にスラム街を中心に流行っているので、現在スラムは封鎖中だ」

 アーサーは意識的になのかクレアと目を逸らしながら言った。それは少々言いづらいことを口に出しているからかもしれない。

「なっ‼︎」

 クレアの視界がグニャッと歪んで見えた。

「スラム街を封鎖している……のですか……?」
「ああ。現時点では明確な治療法も確立しておらず、封鎖や隔離をする他対処法はないそうだ」
「そんな……」

 肩を落とすクレアの様子を受けてか、アーサーは次の言葉を紡ぐのをためらった。

「アーサー様。トスカ様がスラム街で流行っている伝染病にかかったことで、スラム街の人々に何か害がなされるのではないでしょうか」
「……まだ不明確だが、充分にその可能性はある。よりによって皇女が同じ病に罹ったのなら尚更だ」
「そんな……」
 
 アーサーの推測によると、スラムの人々はこのまま封鎖された空間で長期間過ごさなくてはならない可能性が高いとのこと。
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