上 下
86 / 1,127
ダンジョン探検

第85話

しおりを挟む
 国王様と裏社会を牛耳る一族の代表を持て成すお菓子って何かなぁ、こういう時はあれだね、困った時の神頼み。
 
 まずお酒を用意します。
 前に裏樽プリンの製造にご協力いただいた蔵元さんの最高級品の一本ですよ。

 で、声を掛ける。

「女神様ー女神様ー、刀国の最高級品のお酒欲しくないですかー」

 空に向かって声を掛けてみた。大丈夫かな、もうちょっと形だけでも整えた方がいいかな?

(いる。超いる、なんでも聞いて!)

 やったね。

(国のトップに出すような高級お菓子教えてください)
(難易度高いな)
(年齢層高めなので柔らかめが希望です)
(羊羹とかじゃねぇか? 丸の内とか銀座とか、あ、食べたくなってきた、ちょっと待ってろ――っぷはーうめえぇぇぇ)

 ……ん?

 ふと手元を見るとお酒が消えていた。
 こういう時は本当早い。

(ふー、『女神御用達』項目追加したぜ! 私のお気に入りの高級老舗がずらりだぜ)
(ありがとうございます)

 お酒の力って偉大。

 説明を受けながら画面を操作、おおー、おしゃれなお店。
 でもこれ女性向けですねどう見ても、うーんちょっと違うな、もう一個の方を、こっちは和を前に出した渋い感じのお店だね、栗羊羹かこれいいなぁ。

(買えれば最高なんだが、悪いな閲覧専用なんだよ)
(十分です、騎士様から貰った機能と、ドリちゃんとコラボで無敵です! また差し入れますね!)
(イツキちゃん分かってるぅ。将来的には3D画面で買い物を楽しめるようにしたい)

 女神様はどこを目指しているのだろうか。

(そうだ、女神様地球に行き来出来るんですよね)
(おう)
(欲しい物があるのですが……)
(珍しいな、言ってみろ)
(でか盛りガイドブック買って来て下さい)
(…………おう)

 テンション下がったな。
 何を期待してたんだこの人。

(まぁ、うん、分かった)
(お願いします、神薙さんがなんでも美味しそうに食べるので種類増やしたいんですよねー)
(いや、イツキには無敵のガイドがあるだろ)
(神薙さんが読んでみたいらしいんです)
(自分の欲しい物はないのかよ)
(満たされてますからねー)
(そうか)

 なんだろう今、女神様が微笑んだ気がする。

(打ち合わせもあるから近いうちに買ってきてやるよ、じゃあ宴会の時は呼べよー)
(はーい)

 会話が終わり、女神様の気配も途切れた。
 よし、本腰入れてメニュー選ぼう。

「ドリちゃーん、一緒に選んでー」

 僕一人じゃ徹夜しても決まらないだろうし、二人で選んだ方が楽しいもんねー。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

拝啓、王太子殿下さま 聞き入れなかったのは貴方です

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:113pt お気に入り:4,306

幸せはあなたと

BL / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:390

この街で

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:18

住めば都

BL / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:53

ママをいじめるな!

絵本 / 完結 24h.ポイント:1,562pt お気に入り:4

あなたの事はもういりませんからどうぞお好きになさって?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:291pt お気に入り:7,623

魔風恋風〜大正乙女人生譚

歴史・時代 / 連載中 24h.ポイント:1,669pt お気に入り:14

処理中です...