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ダンジョン探検

第84話

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 リュー君が台所立ち入り禁止になりました。

 求愛するのは勝手ですよ、自由ですとも、でもね、食事を作る場所を花だらけにするのはいただけない。
 毎日毎日、ドリちゃんにアピールするために花をプレゼントした結果、こうちゃんが花に埋もれて溺れたり、お部屋に行こうとしたシャムスが窒息しかけたり、色々トラブルが多発したんだよね。
 あのドリちゃん怒らせるってある意味凄いとは思うけど、物事には限度がある。

 ドリちゃんは台所から動かない、つまり振られたって事か。

「周りを見なくちゃ駄目だよ、ドリちゃんにとって樹と樹の家族は身内で、害を与えたらそりゃ遠ざけられて当然だって」
「……」
「初恋だってのは分かった分かった。台所に入れないのは痛手だけど、なんとかなるよ」
「……! ……!!!」
「大丈夫だって、敷地内に立ち入り禁止喰らってたギレンでさえもなんとかなったんだから……あ、あれは神薙だったから何とかなったのか」
「――!!」
「いやいや、真面目に考えてるよ? でも俺だってドリちゃん怒らせた事ないから、許してもらう方法なんて分からないよー」

 言葉はなくても何を言ってるか通じるとかさすがは騎士様、リュー君も可哀想だとは思うけれど自分で解決してね。

「……あ、そうか、ドリちゃんは神薙の眷属だから、神薙に賄賂でなんとかなるかも、リュー、ちょっとダンジョン行って上質の肉大量に仕入れておいで」
「!!!」
「いってらっしゃい」

 一瞬で消えた。
 転移魔法陣かぁ、ただでさえチートなのに騎士様が手を加えちゃったらほぼ無敵だね。

 え、僕?
 僕は今、台所から花を運び出している最中。
 なんかこの花、アイテムボックスに入らないんだよね、よくファンタジーの設定に生き物は入れられないみたいなやつがあるけどそれかな? その場合、この花が生きているって事になるんだけど……リュー君の分身?
 まぁいいや、台所の外ではスラちゃん軍団が待機してて、次々食べてくれている。台所に入って直接お掃除しようとはしてくれたんだけどね、量が多過ぎて埋もれちゃったんだ。

 はー疲れたー。
 明日はドンとおじいちゃん来る予定だから接待用のお菓子作りたいのに……、全部燃やしたい、でもドリちゃんまで火が移るの、は……あ!

「騎士様!」
「ん? なーにー?」
「ドリちゃんの周囲にある花燃やせませんか?」
「出来るよー?」
「ドリちゃん!」

 うんうんと頷いている。どうやらドリちゃんも今気付いたみたい。

「お願いします」
「一晩独り占めしたいなぁ」
「騎士様は当分おやつ抜きで」
「えええええええ」
「リュー君は誰の部下でしょう?」
「……うん、わかった。分かりました。喜んでやらせていただきます、はー、樹も強くなったなぁ」
「双子にかっこよかったと伝えてあげますから、早く」
「雑だなぁ」

 苦笑いしながらも台所に移動して全部燃やしてくれた。
 もっと早く気付けば良かった。うぐぐ、腰痛い、腕も痛い、疲れたぁ~、ドリちゃんもお疲れ様でしたー。
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