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~葡萄狩り編 最終章~
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[謎]
フォルト達はケストレルと別れた後に葡萄畑の入口へと歩いていくと、街を警備している傭兵隊がフォルト達の下へと駆け寄ってきて怪我は無いか等の声をかける。フォルト達が特に異常は無いと返事をすると、直ぐに葡萄畑から退避するよう指示を出して周囲に魔物除けの縄を再び張り始めた。
フォルト達が指示通りに葡萄畑から街へと戻ると、街の広場には葡萄畑から避難してきた人達が集まっていた。どの人も武器を一切持ってはおらず、葡萄狩り開始時に沢山いた武装した人々の姿は誰一人として見当たらなかった。・・・ケストレルの姿も見当たらない。
2人は噴水の囲いにゆっくりと腰を掛けていると、ロメリアの下に魔物に捕まっていた女の子とその母親が鮮やかな青紫色の葡萄を持って近づいてきた。女の子と女性がフォルト達にお礼を言った後に、あの後どうなったのか聞いてきたのでロメリアが魔物を倒したこと、黄金の葡萄を手に入れたことを教えると彼女達だけでなく、周囲の人達もロメリア達の下へと集まってきた。
黄金の葡萄を見せて欲しいと言ってきたのでフォルトが皆に見えるように見せると、眩い太陽の光に照らされて美しい黄金色を輝かせる葡萄に皆、感動の声を上げた。フォルト達には黄金の葡萄を手に入れたことに対する羨望の声と安全採取場に侵入してきた魔物を討伐してくれたことに対する感謝の声が雨のように浴びせられて、少し恥ずかしくなってしまった。
その日の夜、フォルト達は街を治める長から是非ともお礼をさせてほしいという事で広場にてフォルトとロメリアの感謝式が急に開かれた。フォルト達には感謝状と魔物の討伐金『50万カーツ』、そして街の広場にある黄金の葡萄を守る魔物を倒し、その実を手に入れた者の名が刻まれている碑文に名を刻むことになり、2人の絵も街にいる画家に描かれた。
ロメリアとフォルトが完成した絵を見せてもらうと、『ほんのちょっぴり』美化されて描かれていることに少々違和感を覚えたが、大体合っているので満足して画家に感謝の言葉を述べる。特にロメリアは自分の胸が『ちょっぴり』大きく描かれたことに大変満足している様子だった。・・・別にロメリアの胸は小さいというほどでもないし、正直絵とあまり変わらないのだがとフォルトは思ってはいたが。
絵は街の小さな美術館に飾られるということになり、感謝式は幕を閉じた。フォルト達はそのまま宿へと戻ると、ベッドに深く腰掛けた。ロメリアは魔物との戦闘中に土の壁を投げつけられて事による体の痛みを癒す為に、体を手で優しく揉んでいた。
「いやぁ~感謝式凄かったね~!久しぶりにあんなに沢山の人に注目されちゃったよ!」
「久しぶり?・・・ああ、そっか。ロメリアは王族だったから沢山の人達の前に出る機会が多かったんだね。」
「そうそう!もう毎回毎回緊張しちゃってさぁ・・・暑苦しいドレスを着ているのもあってか体の調子をいっつも崩しちゃってたんだ。」
ロメリアはそう言うと、体をベッドに寝転がせて両腕を開く。
「でも今日は全然緊張しなかったの・・・初めてだよ、こんなに楽しく皆の前に出れたのは・・・」
フォルトは自分のベッドから立ち上がると、ロメリアが寝転がっているベッドへと腰掛ける。
「意外だね。ロメリアの性格だったら、皆の前に積極的に出ていくのは得意そうに見えるんだけど?目立ちたがり屋さんって感じがするし。」
「あははっ!フォルト~?私って意外と大人しい女の子なんだよ?」
「大人しい?ロメリアが?・・・うっそだぁ!」
「嘘じゃないよ~!本当だよ!」
フォルトが笑顔でロメリアを笑い飛ばすと、ロメリアはむ~とフォルトを睨みつけた。フォルトは微笑みながらロメリアと視線を合わせるようにベッドに横たわると、ロメリアと顔を合わせた。
「・・・ロメリア?」
「なぁに?」
「話変わるんだけどさ、黄金の葡萄・・・1個だけ・・・食べてみない?」
「1個だけ?・・・何か勢いで全部食べちゃいそうだけど・・・」
ロメリアはベッドの傍に置いていた袋の中から葡萄が入った小袋を取り出して、口を開けると甘い香りが部屋中に一気に充満した。袋の中にはフォルトとロメリアが採った8つの黄金の葡萄が入っており、宝石のように暗い袋の中で輝いていた。
「1個だけ・・・なら大丈夫かっ!せっかく採ったんだもんね!・・・どんな味がするんだろう?」
ロメリアはフォルトに袋を差し出すと、袋の中に手を入れて葡萄の実を1つ取り出した。フォルトが取り出すと、ロメリアも葡萄の実を1つ取り出して小袋の口を縛り、袋の中へと戻す。黄金の葡萄はどれだけ放置しても腐ることは無く、鮮度も落ちないので保存しやすいという事で適当に袋に放り込んでおいても大丈夫だそうだ。
葡萄の皮を剥く手が少し震えながらもゆっくりと黄金の皮を剥がしていくと、中から透き通った薄緑色の実が現れた。
「綺麗だけど・・・実の見た目は今まで食べてきた葡萄と変わらないね・・・」
「うん・・・それじゃ・・・いくよ?」
ロメリアとフォルトは同時に頷くと口の中に葡萄を入れる。ゆっくりと噛むと実が潰れて濃厚な果汁が口いっぱいに広がる。口一面に広がった果汁は体中に浸み込み、疲れた体を一気に癒していく。
だがフォルトは自分が想像していたよりもそこまで感動を覚える事は無く、口の中の甘みも直ぐに消えてしまった。ただ全ての傷を治すという話は本当だったのか体中に僅かに走っていた疲労は完全に消え失せていた。
『美味しかったけど・・・別にそこまで驚きは無かったな。ちょっとがっかりかも・・・ロメリアは・・・』
フォルトがロメリアの方に顔を向けた時、思わず口を小さく開けた。
「ロメリア・・・涙が・・・出てるよ?」
「えっ?私・・・泣いてる?」
ロメリアは自分が涙を流している事すら分かっていなかったようで、咄嗟に羽織の裾で顔を拭った。
「あれ?・・・何で泣いてたんだろう・・・全然分からなかった・・・」
「そんなに美味しかったの?」
「・・・正直、あんまり・・・不味かった訳じゃないけど、いつも食べている葡萄と同じかなぁって思った・・・」
ロメリアはそう言うと、右手を自分の胸に優しく置いた。
「でもこの葡萄を食べた時・・・とっても心が温かくなって・・・体全体にまるで大好きな人から優しく抱きしめられている様な感じを覚えたよ・・・」
言葉を言い終えると、ロメリアはふと自分の体を見渡し始めてベッドから立ち上がった。腕をゆっくりと回し、腰を捻ったり、体を軽く動かすとフォルトの方を見る。
「私、今日魔物との戦いで少し怪我をしたのに・・・いくら体を動かしても全然何処も痛くないよ。」
「・・・黄金の葡萄が万能薬って事は本当みたいだね。」
フォルトとロメリアは黄金の葡萄が入った小袋をつめた袋を見つめる。2人は黄金の葡萄は今後何か怪我をした時に口にするという意見を一致させると今日はもう口にしないことに決めた。味もそこまで一般的にこの街で売られている普通の葡萄と変わらなかったことも口にしないという決意を強めてくれた。
その日はそれ以降特に変わったことは起きず、2人は深い夢の世界へと旅立った。
次の日は陽が昇ると同時に起きると、朝食と準備を整えて早々に宿を出た。街の外へと向かう間に周囲を見渡していると、もう既に畑には多くの人々が仕事を行っていた。フォルト達は時折こちらに手を振ってくる人達に返事をするように大きく手を振りながら街を出て街道を歩きだした。
ロメリアは街の宿で購入した世界地図と今、自分達がいるこの大陸『グリュンバルド大陸』の地図を見ながらフォルトに話しかける。
「えっと次の街は・・・リゾート地として有名な『サンセットフィート』っていう街だね!この大陸の最東部に位置する街で海が一望できるらしいよ!後、他の大陸に移動する連絡船も定期的に来ているらしいね。」
「海かぁ・・・見たことが無いなぁ・・・ロメリアは見たことあるの?」
「何回かはね。初めて見た時はあまりの綺麗さに感動しちゃったなぁ・・・」
ロメリアがそう言って世界地図を羽織の懐へと直すと、ロメリアとフォルトはお互いに談笑しながら街道を歩いて行った。
そんな2人が幸せそうな顔で会話をしている中、遥か後ろの木の影からケストレルが小袋を右手に持って2人を眺めていた。
「・・・次の街に向かったようだな。全く・・・2人共幸せそうな顔してやがる。」
ケストレルは手元の袋の中に視線を移す。袋の中には黄金の葡萄が3つ輝いており、その葡萄を確認すると袋の口を閉じて懐へと直した。
「やっと見つけた・・・『ジャッカル』の血を引いている者・・・あの魔物との戦闘で確信できた・・・これで『師匠』の願いも・・・叶う・・・」
ケストレルはエルステッドの街の方へと視線を移す。
「だが・・・如何やら俺『以外』にもフォルト達を狙っている奴がいるようだな。・・・そっちの方を先に調べてみるか。何処のどいつかは知らねえが邪魔されたらたまったものじゃないからな・・・」
ケストレルは小さく鼻で笑うと、エルステッドの街へと歩きだした。
エルステッドの街からは相も変わらず果実の甘い匂いが夏風に乗って街の周囲を優しく包み込んでいた。
フォルト達はケストレルと別れた後に葡萄畑の入口へと歩いていくと、街を警備している傭兵隊がフォルト達の下へと駆け寄ってきて怪我は無いか等の声をかける。フォルト達が特に異常は無いと返事をすると、直ぐに葡萄畑から退避するよう指示を出して周囲に魔物除けの縄を再び張り始めた。
フォルト達が指示通りに葡萄畑から街へと戻ると、街の広場には葡萄畑から避難してきた人達が集まっていた。どの人も武器を一切持ってはおらず、葡萄狩り開始時に沢山いた武装した人々の姿は誰一人として見当たらなかった。・・・ケストレルの姿も見当たらない。
2人は噴水の囲いにゆっくりと腰を掛けていると、ロメリアの下に魔物に捕まっていた女の子とその母親が鮮やかな青紫色の葡萄を持って近づいてきた。女の子と女性がフォルト達にお礼を言った後に、あの後どうなったのか聞いてきたのでロメリアが魔物を倒したこと、黄金の葡萄を手に入れたことを教えると彼女達だけでなく、周囲の人達もロメリア達の下へと集まってきた。
黄金の葡萄を見せて欲しいと言ってきたのでフォルトが皆に見えるように見せると、眩い太陽の光に照らされて美しい黄金色を輝かせる葡萄に皆、感動の声を上げた。フォルト達には黄金の葡萄を手に入れたことに対する羨望の声と安全採取場に侵入してきた魔物を討伐してくれたことに対する感謝の声が雨のように浴びせられて、少し恥ずかしくなってしまった。
その日の夜、フォルト達は街を治める長から是非ともお礼をさせてほしいという事で広場にてフォルトとロメリアの感謝式が急に開かれた。フォルト達には感謝状と魔物の討伐金『50万カーツ』、そして街の広場にある黄金の葡萄を守る魔物を倒し、その実を手に入れた者の名が刻まれている碑文に名を刻むことになり、2人の絵も街にいる画家に描かれた。
ロメリアとフォルトが完成した絵を見せてもらうと、『ほんのちょっぴり』美化されて描かれていることに少々違和感を覚えたが、大体合っているので満足して画家に感謝の言葉を述べる。特にロメリアは自分の胸が『ちょっぴり』大きく描かれたことに大変満足している様子だった。・・・別にロメリアの胸は小さいというほどでもないし、正直絵とあまり変わらないのだがとフォルトは思ってはいたが。
絵は街の小さな美術館に飾られるということになり、感謝式は幕を閉じた。フォルト達はそのまま宿へと戻ると、ベッドに深く腰掛けた。ロメリアは魔物との戦闘中に土の壁を投げつけられて事による体の痛みを癒す為に、体を手で優しく揉んでいた。
「いやぁ~感謝式凄かったね~!久しぶりにあんなに沢山の人に注目されちゃったよ!」
「久しぶり?・・・ああ、そっか。ロメリアは王族だったから沢山の人達の前に出る機会が多かったんだね。」
「そうそう!もう毎回毎回緊張しちゃってさぁ・・・暑苦しいドレスを着ているのもあってか体の調子をいっつも崩しちゃってたんだ。」
ロメリアはそう言うと、体をベッドに寝転がせて両腕を開く。
「でも今日は全然緊張しなかったの・・・初めてだよ、こんなに楽しく皆の前に出れたのは・・・」
フォルトは自分のベッドから立ち上がると、ロメリアが寝転がっているベッドへと腰掛ける。
「意外だね。ロメリアの性格だったら、皆の前に積極的に出ていくのは得意そうに見えるんだけど?目立ちたがり屋さんって感じがするし。」
「あははっ!フォルト~?私って意外と大人しい女の子なんだよ?」
「大人しい?ロメリアが?・・・うっそだぁ!」
「嘘じゃないよ~!本当だよ!」
フォルトが笑顔でロメリアを笑い飛ばすと、ロメリアはむ~とフォルトを睨みつけた。フォルトは微笑みながらロメリアと視線を合わせるようにベッドに横たわると、ロメリアと顔を合わせた。
「・・・ロメリア?」
「なぁに?」
「話変わるんだけどさ、黄金の葡萄・・・1個だけ・・・食べてみない?」
「1個だけ?・・・何か勢いで全部食べちゃいそうだけど・・・」
ロメリアはベッドの傍に置いていた袋の中から葡萄が入った小袋を取り出して、口を開けると甘い香りが部屋中に一気に充満した。袋の中にはフォルトとロメリアが採った8つの黄金の葡萄が入っており、宝石のように暗い袋の中で輝いていた。
「1個だけ・・・なら大丈夫かっ!せっかく採ったんだもんね!・・・どんな味がするんだろう?」
ロメリアはフォルトに袋を差し出すと、袋の中に手を入れて葡萄の実を1つ取り出した。フォルトが取り出すと、ロメリアも葡萄の実を1つ取り出して小袋の口を縛り、袋の中へと戻す。黄金の葡萄はどれだけ放置しても腐ることは無く、鮮度も落ちないので保存しやすいという事で適当に袋に放り込んでおいても大丈夫だそうだ。
葡萄の皮を剥く手が少し震えながらもゆっくりと黄金の皮を剥がしていくと、中から透き通った薄緑色の実が現れた。
「綺麗だけど・・・実の見た目は今まで食べてきた葡萄と変わらないね・・・」
「うん・・・それじゃ・・・いくよ?」
ロメリアとフォルトは同時に頷くと口の中に葡萄を入れる。ゆっくりと噛むと実が潰れて濃厚な果汁が口いっぱいに広がる。口一面に広がった果汁は体中に浸み込み、疲れた体を一気に癒していく。
だがフォルトは自分が想像していたよりもそこまで感動を覚える事は無く、口の中の甘みも直ぐに消えてしまった。ただ全ての傷を治すという話は本当だったのか体中に僅かに走っていた疲労は完全に消え失せていた。
『美味しかったけど・・・別にそこまで驚きは無かったな。ちょっとがっかりかも・・・ロメリアは・・・』
フォルトがロメリアの方に顔を向けた時、思わず口を小さく開けた。
「ロメリア・・・涙が・・・出てるよ?」
「えっ?私・・・泣いてる?」
ロメリアは自分が涙を流している事すら分かっていなかったようで、咄嗟に羽織の裾で顔を拭った。
「あれ?・・・何で泣いてたんだろう・・・全然分からなかった・・・」
「そんなに美味しかったの?」
「・・・正直、あんまり・・・不味かった訳じゃないけど、いつも食べている葡萄と同じかなぁって思った・・・」
ロメリアはそう言うと、右手を自分の胸に優しく置いた。
「でもこの葡萄を食べた時・・・とっても心が温かくなって・・・体全体にまるで大好きな人から優しく抱きしめられている様な感じを覚えたよ・・・」
言葉を言い終えると、ロメリアはふと自分の体を見渡し始めてベッドから立ち上がった。腕をゆっくりと回し、腰を捻ったり、体を軽く動かすとフォルトの方を見る。
「私、今日魔物との戦いで少し怪我をしたのに・・・いくら体を動かしても全然何処も痛くないよ。」
「・・・黄金の葡萄が万能薬って事は本当みたいだね。」
フォルトとロメリアは黄金の葡萄が入った小袋をつめた袋を見つめる。2人は黄金の葡萄は今後何か怪我をした時に口にするという意見を一致させると今日はもう口にしないことに決めた。味もそこまで一般的にこの街で売られている普通の葡萄と変わらなかったことも口にしないという決意を強めてくれた。
その日はそれ以降特に変わったことは起きず、2人は深い夢の世界へと旅立った。
次の日は陽が昇ると同時に起きると、朝食と準備を整えて早々に宿を出た。街の外へと向かう間に周囲を見渡していると、もう既に畑には多くの人々が仕事を行っていた。フォルト達は時折こちらに手を振ってくる人達に返事をするように大きく手を振りながら街を出て街道を歩きだした。
ロメリアは街の宿で購入した世界地図と今、自分達がいるこの大陸『グリュンバルド大陸』の地図を見ながらフォルトに話しかける。
「えっと次の街は・・・リゾート地として有名な『サンセットフィート』っていう街だね!この大陸の最東部に位置する街で海が一望できるらしいよ!後、他の大陸に移動する連絡船も定期的に来ているらしいね。」
「海かぁ・・・見たことが無いなぁ・・・ロメリアは見たことあるの?」
「何回かはね。初めて見た時はあまりの綺麗さに感動しちゃったなぁ・・・」
ロメリアがそう言って世界地図を羽織の懐へと直すと、ロメリアとフォルトはお互いに談笑しながら街道を歩いて行った。
そんな2人が幸せそうな顔で会話をしている中、遥か後ろの木の影からケストレルが小袋を右手に持って2人を眺めていた。
「・・・次の街に向かったようだな。全く・・・2人共幸せそうな顔してやがる。」
ケストレルは手元の袋の中に視線を移す。袋の中には黄金の葡萄が3つ輝いており、その葡萄を確認すると袋の口を閉じて懐へと直した。
「やっと見つけた・・・『ジャッカル』の血を引いている者・・・あの魔物との戦闘で確信できた・・・これで『師匠』の願いも・・・叶う・・・」
ケストレルはエルステッドの街の方へと視線を移す。
「だが・・・如何やら俺『以外』にもフォルト達を狙っている奴がいるようだな。・・・そっちの方を先に調べてみるか。何処のどいつかは知らねえが邪魔されたらたまったものじゃないからな・・・」
ケストレルは小さく鼻で笑うと、エルステッドの街へと歩きだした。
エルステッドの街からは相も変わらず果実の甘い匂いが夏風に乗って街の周囲を優しく包み込んでいた。
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