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~真夏のビーチバレー編 第1章~
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[リゾート街 サンセットフィート]
エルステッドの街を出てから丁度1週間が経ち、フォルト達は青々とした空に白く伸びる入道雲がのんびり漂う時に、その真下にある街道を歩いていた。街を出てから3日程激しい風と雨に見舞われてしまい、道中の宿から出ることが出来なくなってしまっていたが、それ以降はからりと乾いた天気が続き、フォルト達は問題なく先へ進むことが出来た。
街道を歩いていると、フォルトの鼻に潮の香りがついて、スンスンッと息を吸い込む。吸い込む度に爽やかな海の香りが肺一杯に広がってくる。
その時、ロメリアが街道の奥を指さして叫んだ。
「ああ~!フォルト、見てっ!海だよ、海!」
「本当だ・・・太陽の光が反射してとすごく煌めいているね・・・まるで宝石みたい・・・」
フォルトは今まで海を見たことが無かった。海というものがどんなものなのか・・・話や本では聞いたことがあったが、実際に見た海はフォルトの想像を遥かに超えていた。
真上に広がる青空と同じ色に染まった巨大な『湖』が目の前に広がっていて、綺麗に磨かれた宝石を一面に散りばめた様にキラキラと輝く陽の光を水が反射している。その奥を眺めると、綺麗な曲線を描いている地平線が見えて、今自分達がいるこの星が本当に丸いのだという感動を覚え、自分達の存在何てこの広大な星に比べたら小さなモノなのだと実感した。
フォルトが目を輝かせながら海を眺めていると、ロメリアがフォルトの手を握って海岸沿いにある街へと走り出した。ロメリアも心を躍らせているのが顔に出ており、フォルトの手をより強く握り、引っ張っていった。フォルトとロメリアの2人は暑さも忘れて街道を走り抜けていく。
街の中に入ると、周囲には白い塗装がされた建物が一面に広がっており、町全体を白に染め上げていた。
周りの人々も今まで見たことが無いほど非常に軽装で、水着姿で街の中を歩き回っている人も結構見られてフォルトは目のやりどころに少々困った。
「ロメリア・・・皆凄い格好だね・・・ほとんどの人が肌をすっごい見せているよ。特に女の人・・・」
フォルトがそう言うと、ロメリアがいやらしい目つきをしながらニヤニヤと微笑みながらフォルトの顔を覗き込んだ。
「ふ~ん?フォルト、女の人達の水着姿が気になるの~?」
「いや・・・だって水着姿だよ?・・・あんなに肌を露出させちゃってさ・・・ちょっと・・・何処に目をやればいいのか・・・」
「普通に見ていればいいんじゃない?そんなに気にすることじゃないと思うけど・・・」
フォルトがでも・・・と小声で呟いてもじもじしているとロメリアが体を屈めてフォルトの顔を覗き込む。ブラウスの胸元が下へと下がり、胸が少し見える。
「それともフォルト~?何かエッチな事でも考えちゃってるの~?」
「えっ⁉い、い、いいや⁉そんな事っ・・・」
「またまたぁ~。どうせ女の人の胸見て顔を埋めたいなんて思っちゃってるんじゃないの~?ちょっと前に私の胸に顔を埋めたぐらいだからね~?」
「だからあの時はちょっと眠かったからっ・・・」
「でも気持ち良かったんでしょ?」
「いや・・・まぁ・・・うん・・・それは・・・そうだけどっ・・・」
フォルトは髪の毛を両手で掻きむしる。
「ああ、もうっ!そんなに意地悪くからかってくるロメリアなんか嫌いだよっ!僕もう別大陸への連絡船の予約取ってくるからっ!」
フォルトはしつこく絡んでくるロメリアを置いていくように速足で港の方まで歩いていく。
「ごめんごめん、フォルト~!そんなに怒んないでよ~。」
ロメリアはフォルトに向かって大声で謝りながら去っていくフォルトの下へと走っていった。フォルトは後ろから笑顔で追いかけてくるロメリアを無視するように港へと歩いていく。
港へと着くと観光客は勿論、商人、漁師、武装している人々といった様々な人が溢れ返っており、港の入り口には大量の船がびっしりと並べられていて縄でくくられていた。連絡船の受付へと出来ている列に並んでいるとロメリアが受付場から見える船を眺めながら声をかけてくる。
「わぁ・・・大きな船ばっかりだね~!見てみて、フォルト!あの船なんか何十mあるんだろうね?」
「海を越えて大陸間を移動するんだからね。大勢の人も当然だけど、食料品や客の荷物も沢山載せなきゃいけないだろうからこんだけ大きくなっちゃうんだろうね。」
フォルトとロメリアは港に並べられている船たちを見ながら話しているとどんどん列は進んでいった。しばらく時間が経ち、フォルト達が受付の前にくるとロメリアが受付の人に声をかける。
「フィルテラスト大陸のエメラリア港までの連絡船に乗りたいのですが・・・」
ロメリアの言葉を受けて受付員が船の状況を確認し始めた。
フィルテラスト大陸は今フォルト達がいるグリュンバルド大陸から東に位置しており、この世界に存在する3つの大陸でもっとも工業が発達していることで有名な大陸だ。
受付員が船の状況を調べ終えると、ロメリアに声をかけた。
「大変申し訳ありません、お客様・・・本日のエメラリア港行の船は全室埋まっております。」
「え・・・満席・・・なんですか?」
ロメリアの声が少し震える。・・・以前フェリルの街で宿に全く泊まれなかった記憶が2人の脳裏に鮮明に浮かび上がってくる。
「えっとぉ・・・明日の便は・・・」
「午前10時出港の船がございます。」
「じゃあそれで・・・お願いします。・・・いいよね?」
ロメリアの言葉を受けてフォルトは頷いた。
「では客室を手配させておきます。・・・それから本日お泊りになる宿はもうございますでしょうか?」
「いいえ、まだ何処にも・・・」
「それでは本日お泊りになる宿もこちらで手配しておきましょうか?お値段は2割ほど安くしておきますよ。」
「本当ですか⁉それじゃあ宿の予約までお願いします!」
「かしこまりました。それではツインのお部屋を用意しておきます。要らないお荷物もこちらの方で運んでおきますので、財布などの貴重品だけ手元に持って置いて下さい。」
フォルトとロメリアは受付に余分な荷物を預けて財布だけを持って受付を後にした。受付から離れる際に、何処の宿に泊まれるのか、宿の名前とチェックインする時間もしっかり把握する。
2人が受付場から外へ出ると、近くに広がっていた海水浴場に顔を向けた。ビーチにはアロハシャツを着た人達や華やかなビキニを着ている女性が沢山いて、浜辺で遊んでいたり海に入っていたりと皆様々な事をしていた。
ロメリアがその光景を見て、両手を叩くとフォルトに話しかける。
「フォルト!今から水着買いに行こうよっ!どうせ今日は船に乗れないんだし、折角綺麗なビーチもあるんだから沢山泳ごうよ!それに・・・私のビキニ姿、見たいよね~?」
ロメリアが妙に腰をくねらせてちょっぴりセクシーさを意識してそうな体勢を取る。フォルトは乾いた声で笑うとロメリアと一緒に水着が売っている店へと足を運んだ。
フォルトは今まで海に入ったことが無かったので、彼の心は冒険心と好奇心で満ち溢れていた。
エルステッドの街を出てから丁度1週間が経ち、フォルト達は青々とした空に白く伸びる入道雲がのんびり漂う時に、その真下にある街道を歩いていた。街を出てから3日程激しい風と雨に見舞われてしまい、道中の宿から出ることが出来なくなってしまっていたが、それ以降はからりと乾いた天気が続き、フォルト達は問題なく先へ進むことが出来た。
街道を歩いていると、フォルトの鼻に潮の香りがついて、スンスンッと息を吸い込む。吸い込む度に爽やかな海の香りが肺一杯に広がってくる。
その時、ロメリアが街道の奥を指さして叫んだ。
「ああ~!フォルト、見てっ!海だよ、海!」
「本当だ・・・太陽の光が反射してとすごく煌めいているね・・・まるで宝石みたい・・・」
フォルトは今まで海を見たことが無かった。海というものがどんなものなのか・・・話や本では聞いたことがあったが、実際に見た海はフォルトの想像を遥かに超えていた。
真上に広がる青空と同じ色に染まった巨大な『湖』が目の前に広がっていて、綺麗に磨かれた宝石を一面に散りばめた様にキラキラと輝く陽の光を水が反射している。その奥を眺めると、綺麗な曲線を描いている地平線が見えて、今自分達がいるこの星が本当に丸いのだという感動を覚え、自分達の存在何てこの広大な星に比べたら小さなモノなのだと実感した。
フォルトが目を輝かせながら海を眺めていると、ロメリアがフォルトの手を握って海岸沿いにある街へと走り出した。ロメリアも心を躍らせているのが顔に出ており、フォルトの手をより強く握り、引っ張っていった。フォルトとロメリアの2人は暑さも忘れて街道を走り抜けていく。
街の中に入ると、周囲には白い塗装がされた建物が一面に広がっており、町全体を白に染め上げていた。
周りの人々も今まで見たことが無いほど非常に軽装で、水着姿で街の中を歩き回っている人も結構見られてフォルトは目のやりどころに少々困った。
「ロメリア・・・皆凄い格好だね・・・ほとんどの人が肌をすっごい見せているよ。特に女の人・・・」
フォルトがそう言うと、ロメリアがいやらしい目つきをしながらニヤニヤと微笑みながらフォルトの顔を覗き込んだ。
「ふ~ん?フォルト、女の人達の水着姿が気になるの~?」
「いや・・・だって水着姿だよ?・・・あんなに肌を露出させちゃってさ・・・ちょっと・・・何処に目をやればいいのか・・・」
「普通に見ていればいいんじゃない?そんなに気にすることじゃないと思うけど・・・」
フォルトがでも・・・と小声で呟いてもじもじしているとロメリアが体を屈めてフォルトの顔を覗き込む。ブラウスの胸元が下へと下がり、胸が少し見える。
「それともフォルト~?何かエッチな事でも考えちゃってるの~?」
「えっ⁉い、い、いいや⁉そんな事っ・・・」
「またまたぁ~。どうせ女の人の胸見て顔を埋めたいなんて思っちゃってるんじゃないの~?ちょっと前に私の胸に顔を埋めたぐらいだからね~?」
「だからあの時はちょっと眠かったからっ・・・」
「でも気持ち良かったんでしょ?」
「いや・・・まぁ・・・うん・・・それは・・・そうだけどっ・・・」
フォルトは髪の毛を両手で掻きむしる。
「ああ、もうっ!そんなに意地悪くからかってくるロメリアなんか嫌いだよっ!僕もう別大陸への連絡船の予約取ってくるからっ!」
フォルトはしつこく絡んでくるロメリアを置いていくように速足で港の方まで歩いていく。
「ごめんごめん、フォルト~!そんなに怒んないでよ~。」
ロメリアはフォルトに向かって大声で謝りながら去っていくフォルトの下へと走っていった。フォルトは後ろから笑顔で追いかけてくるロメリアを無視するように港へと歩いていく。
港へと着くと観光客は勿論、商人、漁師、武装している人々といった様々な人が溢れ返っており、港の入り口には大量の船がびっしりと並べられていて縄でくくられていた。連絡船の受付へと出来ている列に並んでいるとロメリアが受付場から見える船を眺めながら声をかけてくる。
「わぁ・・・大きな船ばっかりだね~!見てみて、フォルト!あの船なんか何十mあるんだろうね?」
「海を越えて大陸間を移動するんだからね。大勢の人も当然だけど、食料品や客の荷物も沢山載せなきゃいけないだろうからこんだけ大きくなっちゃうんだろうね。」
フォルトとロメリアは港に並べられている船たちを見ながら話しているとどんどん列は進んでいった。しばらく時間が経ち、フォルト達が受付の前にくるとロメリアが受付の人に声をかける。
「フィルテラスト大陸のエメラリア港までの連絡船に乗りたいのですが・・・」
ロメリアの言葉を受けて受付員が船の状況を確認し始めた。
フィルテラスト大陸は今フォルト達がいるグリュンバルド大陸から東に位置しており、この世界に存在する3つの大陸でもっとも工業が発達していることで有名な大陸だ。
受付員が船の状況を調べ終えると、ロメリアに声をかけた。
「大変申し訳ありません、お客様・・・本日のエメラリア港行の船は全室埋まっております。」
「え・・・満席・・・なんですか?」
ロメリアの声が少し震える。・・・以前フェリルの街で宿に全く泊まれなかった記憶が2人の脳裏に鮮明に浮かび上がってくる。
「えっとぉ・・・明日の便は・・・」
「午前10時出港の船がございます。」
「じゃあそれで・・・お願いします。・・・いいよね?」
ロメリアの言葉を受けてフォルトは頷いた。
「では客室を手配させておきます。・・・それから本日お泊りになる宿はもうございますでしょうか?」
「いいえ、まだ何処にも・・・」
「それでは本日お泊りになる宿もこちらで手配しておきましょうか?お値段は2割ほど安くしておきますよ。」
「本当ですか⁉それじゃあ宿の予約までお願いします!」
「かしこまりました。それではツインのお部屋を用意しておきます。要らないお荷物もこちらの方で運んでおきますので、財布などの貴重品だけ手元に持って置いて下さい。」
フォルトとロメリアは受付に余分な荷物を預けて財布だけを持って受付を後にした。受付から離れる際に、何処の宿に泊まれるのか、宿の名前とチェックインする時間もしっかり把握する。
2人が受付場から外へ出ると、近くに広がっていた海水浴場に顔を向けた。ビーチにはアロハシャツを着た人達や華やかなビキニを着ている女性が沢山いて、浜辺で遊んでいたり海に入っていたりと皆様々な事をしていた。
ロメリアがその光景を見て、両手を叩くとフォルトに話しかける。
「フォルト!今から水着買いに行こうよっ!どうせ今日は船に乗れないんだし、折角綺麗なビーチもあるんだから沢山泳ごうよ!それに・・・私のビキニ姿、見たいよね~?」
ロメリアが妙に腰をくねらせてちょっぴりセクシーさを意識してそうな体勢を取る。フォルトは乾いた声で笑うとロメリアと一緒に水着が売っている店へと足を運んだ。
フォルトは今まで海に入ったことが無かったので、彼の心は冒険心と好奇心で満ち溢れていた。
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