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~序章~
第26話~バレンタインで美香の初出勤~
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結果は無事に乗り切りました
かなり厳しい戦いだったけどね
でも次は大丈夫な気がするよ
ナタリーに使用後の洗濯を教わりスプラッター光景に精神的に疲れ果てて反省会でお茶してた時
「生理は子を授かれる大事な証ですから色々大変ですけど将来落ち着いたら七海様との子と出会うのに大切なものなんですよ」
”でも七海は女だし私も女になちゃったし”
もし男のままでも子宮がない七海とでは無理と諦めていたけど
「メネシスでは女同士でも子を成せますよ」
”はい!?”
「同性婚も普通婚と同数位普通に居ると設定されましたよね」
”うん単純にスケベ心から百合カップルをいっぱい登場させる口実だったんだけど”
「予測ですが物語が現実になった時に遥か昔から同性婚が半分なのに人口は微増していますが設定では子供は平均二~三人となっています」
”うんガイアの一般的な家庭しか想像出来なかったからね”
「これでは人口が減ってメネシスの人類は滅亡するはずです」
”そこまで考えていなかったよ”
「そこで物語が現実になった時にパラドクスの解消で同性婚でも子を成せる事になったのではないかと推測されます」
”そういえば祭りとかのガヤでいる同性婚カップルに子供がいる風景を書いていたね書いた時は養子とか孤児を育ててるとかの理由を付けていたけど物語には書かなかったね”
「養子とか孤児でなく二人の子と世界は解釈したのかもですね」
”それは今までの他の話で感じるよ世界は書かれていない部分は整合性を取る為に合理的に解釈して間埋めしてる感じだしね”
「具体的には魔法医師が卵巣から移転術を使い卵子を取り出します」
”ガイアの医学とは完全に医学は別系統進化してるなあ物語では魔法医師の出番は回復とか毒消し魔法しか出てきてないしね”
「その後は高等魔法医師の一部しか使えませんが細胞変移術を使い卵子を精子に変化させるのですが詳しい方法は秘術に相当するので私達には公開されておらず分かりません」
”それじゃ単に他人の精子を渡されてる可能性もあるのでは”
「それは無いと思います生まれた子の多くはきちんと両親両方の特徴を引き継いでおりますので」
”まあ詐欺みたいなことが代々続く訳はないよね”
「その精子を今度は転移術でパートナーの子宮へ排卵タイミングに入れる事で受精して妊娠になります」
”卵子を精子にの部分をES細胞から精子を作るにすると今ガイアで同性婚でも妊娠できる研究に近いなガイアの方は実現は何時の日レベルで未完成だけど”
七海は子宮は摘出してるけど卵巣は・・・
”子宮摘出してるのに女としての成長は止まらないのが私には謎でホルモン剤とかなのかな?”
「はははは彩美は面白い所に気が付くな」
”まあほら将来に性転換手術とか受けるならとかで色々調べてた時期があってね”
「子宮を摘出する時に卵巣を残す事も出来るんだよ幸い卵巣にダメージなかったから成長を考えて担当医が残してくれたんだ」
”そうか卵巣があればホルモンは作られるから女性としての外見も成長で現れる”
「そういうことだね本当に卵巣まで破裂していたらどうなったか考えるだけでも怖いよ」
なんか懐かしい会話を思い出したよ
卵巣が残ってるなら卵子もあるはずだからメネシスの方法を使えば七海との子がかなう!
なんかその為に生理があると考えたらスプラッタも嫌悪感でなく愛おしく考えられるようになったんだ
「妊娠から出産も楽ではないので覚悟は必用ですけどね」
経験者の言葉は重いね
「男性カップルの場合は精子を卵子に変化させ体外で受精させ代理母に出産してもらいます」
”医療技術がガイアとは別系統ですごく進歩してるなあ”
「代理母には多額の報酬が通例ですので見つけるのは難しくはないです」
”そこもリアルだなあ”
愛おしくなったと言ってもいきなり笑顔で対応できる訳ではないけど気持ち悪いとかなくなったよ
本能的にある血への恐怖させ回数を重ねて無くせればなので頑張って経験を積むしかないね
でも前の嫌々から希望の証となったのは大きな心の変化だよ
やっときたか御都合主義「七海とを子を成せる」はと思ったけど世界がバランスを保つ為で私の為への御都合主義じゃないんだよね
生理の件も気分が軽くなったし脚も回復順調で短距離なら走れるまで回復したよ
立って動けるようになると生活もかなり楽になったね
お風呂も一人で入れるようになったけので夜空を見ながら晩酌とか楽しみも増えたしね
今晩もよい星空に半月なのでお風呂で晩酌かな
呼鈴を鳴らす
しばらく待つとナタリーがやって来た
”お風呂に入りたいのでタオルと着替えをお願い”
「お酒は如何いたしますか?」
”冷の米酒をお願いね”
ナタリーが準備に部屋を出る
そういえばナタリーにお風呂へ入れてもらっていたのも今思うと楽しかったなあ
でもナタリーもナターシャも本業は王宮のメイドだから少しづつ二人の手間を減らさないとなんだよね
しばらくすると着替えの寝着と下着にタオルを持って帰って来た
「お酒は後程お持ちしますので」
ナタリーが部屋を出たら服と下着を脱ぎ洗い用タオルと湯上りタオルを持ってテラスの東屋温泉へ
髪と顔から体と洗い湯舟へ
ふー少し湯温が高いのも慣れて気持ち良くだね
星空と半月を見て夜空を楽しんでいたら
「御一緒してもよろしいですか」
このクリスタルを溶かしたような声はルシファーだね
既に服を脱ぎバスタオルを巻いて手にデキャンタとグラスを持ってやって来る
”よろこんで”
デキャンタとグラスを浴槽の木枠に置くとタオルを外して東屋入口の棚に置く
腰位まで黒髪を湯舟に入らないように纏めて掛湯をして浴槽に向かって来るルシファー
そういえば裸体は初めて見るし物語にも登場したことないよね
完璧としか言えないよ
長い脚に巨乳で引き締まったウエストと魅惑的なヒップライン
肌は極上の真珠のように白く艶がある
少しだけガイアの美女と違うのは両コメカミから出た角だけだね
なんて色々と考えていたらさ
気が付くと横に並んで湯舟に浸かっていたよ
グラスに酒を注ぎ渡してくれる
軽くグラスを傾け乾杯をすると一口
今日は少し甘めだね嫌じゃない雑味が多くてコクがあって美味しいよ
「数歩歩けてからの回復速度は速いですね普通の生活なら不自由なさそうですね」
”まあまだしばらく部屋から出れないので不自由なくだね”
まだ完調子ではないので五分位歩いたり立ち続けると休息を挟まないと駄目なんだよね
「ナタリーが寂しがっていましたよ回復は喜ばしいけどお役に立てる事が減ってしまったと」
”本当にナタリーとナターシャには何でも世話になっていたもんね”
グラスが空くとルシファーがすぐに酒を注いでくれる
最近は無理に寝て体力を回復する必要もないのでルシファーも同ペースで飲んでくれて楽しいよ
「今日も何かガイアのお話をお聞かせいただけますか」
”そうだねじゃあバレンタインデーという不思議な風習の話をしようかな”
美香の初出勤の日を思い出すね
七海は退院した翌日から普通に出勤してたよ
私も受験休みなので七海と一緒に毎日出勤出来てうれしいよ
卒業式が終わればずーっと一緒にだし楽しみだね
連日充実した日々を楽しんでいたら気が付けばバレンタインになっていたよ
お昼過ぎに美香がいつものボストンバッグを持ってマンションにやって来たよ
「こんにちはー」
”ハロハロぉー”
「いらしゃい」
七海がコーヒーをいれてお出迎え
ソファーでコーヒーを楽しみながら今日の打ち合わせ
”バレンタインデーイベントなのでチョコを来店頂いたお客様に渡すんだ”
チョコは持ち運べる量ではないのでお店に届けてもらってる
美香に見せるサンプルだけ持って来てる
”チョコは本命と義理の二種類ね”
「本命用と義理用?」
”本命用はいつも指名を入れてくれて今日来ることを連絡してくれている人だね”
「義理用は本日に御来店頂いて本命以外のテーブルについたお客様全員に渡すようだね」
サンプルで持って来てるのをテーブルに置く
”本命は箱でラッピングされた少しだけ特別感がある感じでね”
「ってぇピエールマルコリーニ!超高級店だよ」
”こっちの本命用七個入は三千円位するけどいつも指名頂いたりドリンクを頂いてるの感謝を考えるともっと高いのでもいいけど高すぎて受け取った方が恐縮しちゃってもだしね”これはラッピングしてあるから中は見せられないね
”こっちは義理用ね”
こっちはラッピングしてないので箱の中を見せる
六個入りの個別包装になってるよ
”こっちは大量なので一つ四百円位だね”
「ほへ~全部でどれくらい準備してるの?」
”私は連絡なし来店とかの予備も考えて本命が三十箱で義理は箱バラシて百個くらいかな”
「って恐ろしい金額に汗だよ」
”まあそう感じるのが普通は当然だけど水の世界にいるとなんで金銭感覚は気を付けてね”
”ねーさんは何処のにしたの”
「彩美とお揃いだよ
「ねーさんはもっと多いんでしょ」
”私の倍近いかな”
「なにせバレンタインデーは店を梯子してチョコを集める客も多いからイベントの中でも来店数が多いんだよ」
「私はどうすれば?」
「美香のはお店に準備してあるから」
”初出勤だから目立ち過ぎてもだから無難にゴディバで選んどいたよ”
こっちもサンプルをテーブルに置く
”本命用は箱入り五個ね”
「初出勤で私まだ指名とかないよ~」
”徳さんと信さんは来るから他にも美香の顔知ってる人が来るかもしれないので準備はしてあるよ”
「義理用はカレだよ」
五センチ四方くらいの板チョコが個別包装されたサンプルをテーブルに出す
「ってお支払いお支払い」
「今日は初出勤で無理やりイベント日にお願いしたので私持ちでいいよ」
”他のキャストには内緒でね”
「はい!ありがとうございます」
「本命とか義理とか線引き難しそうだよね」
”それは本当に悩ましいけど私は感情で線引きすると不公平が出るので過去に指名もらったことある御客様で来店連絡あった方と徳さんとか信さんみたいな連絡なくても必ず来る方で線引きしたよ”
「まあ新規獲得と全員に本命を送るキャストもいるけど無駄金だしね」
”本命客は特別感から親密度あがる場合があるけど全員特別を渡すと特別じゃなくなっちゃうしね”
「難しい世界だねえ」
”そろそろ準備しないとの時間だね”
寝室に着替えに行く二人
さて私も準備をしようね
今日はオフショルで紫のグラデーションなマキシ丈ドレスだよ
胸元は高めになってるのでストラップレスブラとパッドで胸を作っても見えないよ
着替えてメイクを終えると七海と美香も準備を終えて寝室から出てきたよ
七海は私とお揃いな感じだけど大きく胸元が開いて谷間が眩しいよ
美香はピンクを基調としてバラの模様がアクセントなオフショルロングでやっぱし胸元が開いていて谷間が眩しいね
二人は髪のセットも終わっていたので私の髪を七海がセットして準備完了
マンション前でタクシーを捉まえて乗り込む
今日は何処に行っても混んでるので気分上々を予約してあるのでタクシーで向かう
「まあ今日は出来る限り私か彩美と同じ席になるように廻す様に伝えてあるのであんまり緊張するな」
”まずは腹ごしらえだよ”
気分上々に入ると三席あるテーブル席の真ん中に「予約席」のプレートが置いてあった
「らっしゃーい!」
篠がプレートを下げながら席を教えてくれる
”健坊さん酸っぱ濃いめ三杯とレバーとハツモトをまずはよろしく!”
「あいよー」
ジョッキが届いたので
「「乾杯!」」
まあ美香の一杯目が瞬間蒸発は慣れたよ
七海も私も蒸発しちゃったけどね
すぐに篠がお替りを持って来てくれたよ
”美香ちゃん時間少ないから好きな焼き物頼んで”
「えっいいの?」
”美香セレクトも楽しいよね七海”
「あたりまえだよ」
「じゃあモモとハツにサエズリ・・・ああ迷うよ・・・皮と梅ササミに椎茸とシシトウで白ネギ美人で!あと銀杏だ!」
”じゃそれ三人前でね”
「あいよー!」
「おっやっぱ美香も酒飲みだな」
「えっ!?」
”七海と私の定番網羅!”
焼鳥を食べ終えるタイミングで焼きおにぎり!
特別な材料も調味料も使ってない丁寧に焼いてスーパーでも売ってる醤油を塗られただけのおにぎり
がぁ最高なの焼き加減が職人の技なんだよね
食事を終えお店に向かうよ
「皆んなおはよー!」
「「おはよーございます」」
私は見慣れた光景だけど美香がガチガチだよ
荷物をバックルームに置いて私はオープン準備を手伝うよ
”あっ美香ちゃん今日は七海の横に居ればいいから”
「朝礼だよ!」
マキの声が店内に響く
「ではママよろしく」
「今日は皆んなも顔を覚えてると思うが彩美の親友の美香がデビューするよろしく頼む!」
「「はい」」
「新人指導は彩美にお願いする」
”はい”
そこからセブンシーバレンタインイベントが初のキャストもいるので簡単な説明がマキからされる
「開店」
マキの掛け声でスタッフとキャストが動き出す
”テーブル番号は覚えた?”
「うん入口の0番から右回りに・・・」
”大丈夫だね では0番で呼ばれるまで待機だよ”
「はーい」
店のドアが開くとドア前で待っていたのか数人の御客様が入ってくる
「彩美ちゃん四番テーブルお願いします」
”少ししたらヘルプに呼ばれるからまっててね”
四番に行くと常連の上田がスーツをまだ着こなせてない感じの若い男性二人を連れていた
上田は五十歳くらいで大手企業に勤務している本人曰く「窓際中間管理職」だけど見た目や話し方からエリートコースの人だと思ってるよ
”今晩は上田さん”
上田の横に座る
”お飲み物はどうしますか?”
「ビールは飲めるかい?」
若い男性に確認してる
「「はい」」
「じゃビールで彩美ちゃんも好きなのどうぞ」
”ありがとうございます”
軽く手を上げライターを着けて黒服を呼ぶ
”ビール3杯と私のビールもお願い”
「四番テーブルさんドリンク頂きました」
”上田さんがお連れさんとか珍しいですね”
「ああ今日は入社前のオリエンテーションでなオリエンの〆で夕方に懇親会があってな」
”じゃあ新入社員さん?”
「そうそう面白そうな二人だったので飯は懇親会で済ましたので店に連れて来てみた」
”よろしくお願いいたします彩美ともうします”
なんかガチガチの二人だね
「よよよろしくお願いします」
「こういう店は初めて見たいだったんだが二人は営業部に配属になるから将来の勉強で連れてきたよ」
”気楽にでいいんですよ御客様に楽しんで頂くのが一番ですから”
黒服がビールを持って来る
「では乾杯だ!」
懇親会で食事をしたと言ってるけど三人とも素面だよね
”懇親会はお酒なしだったの?”
「最近は色々煩くて強制参加の懇親会だと定時内開催になるので場所も会社の会議室だから酒はNGでね」
”色々面倒な世の中になってますね”
「美香ちゃん四番テーブルお願いします」
ガチガチの美香がテーブルに来たよ
視線で向かいの若者二人の間に座るように合図する
「よろしくお願いをいたします美香でございます」
ぎこちなく二人の間のキャスト椅子に座る美香が可愛いね
”美香ちゃんは私の学生時代からの大親友で今日が初出勤の新人だよ”
「おー!初出勤の一番客とバージンを頂いてしまったな彩美ちゃんの親友となれば遠慮なく美香ちゃんも好きなの飲んで」
「ありがとうございます」
”美香ちゃん何にする?”
「では私もビールで」
黒服を呼び美香のビールを頼む
ビールが届くと改めて乾杯
「新入社員と初出勤とは面白いな」
”本当だね”
私が上田と二人で話はじめたので美香が頑張って二人を相手に会話してるよ
黒服が小さい手提げ紙袋を持って来て美香と私に渡す
”はい上田さん”
指名用のチョコを上田に義理用を新人二人に手渡す
美香も私の動きから察して義理用を三人に手渡す
「おお彩美ちゃんからのチョコはうれしいな」
”男からのチョコで喜んでもらえるとは!!”
と新人二人に向けてボケをかますよ
意図を察した上田が止めを刺す
「男だろうと彩美ちゃんからなら最高さ」
フリーズしてる新人
「ああ彩美さんって男なんですか!?」
”うん!あっ安心して美香は純女だよ”
なんの安心かは分からないけどね
「この店はミックスバーと言って全員女性に見えるけど半分くらいはニューハーフだよ」
「嘘でしょ・・・・」
しばらくするとヘルプが入り私は別のテーブルへ
少しあとに美香もヘルプと交代して私のテーブルへ
いくつかのテーブルを巡ると美香の緊張もかなり解けてきたね
美香は上田が気を利かせて指名をいれてくれたよ
上田のテーブルでは一人になる場面もあるけど上田が上手くリードしてくれてるか大丈夫だね
「あやみちゃん八番テーブルお願いします」
八番に行くと徳さんと信さんだね
”こんばんは御一緒に来店は初めてですね”
徳さんの横に座るよ理由はあとでね
「結婚式のあとに信さんと飲みに行ったら気が合ってな今日も居酒屋で少し一緒に飲んできたんじゃよ」
”なるほどね”
「今日は会議出張でなくプライベートで来たから時間があってね」
”プライベートでもスーツ!?”
「スーツ以外はゴルフウエアか家着のスエット位しか持ってないのでね」
ああ何か信さんなら納得できるよ
黒服が徳さんのジャックボトルを持って来る
さて酒を用意の・・・必要ないね
徳さんがセット置場からグラスをとりだしナミナミ注ぐ
「「乾杯」」
三人とも一気に飲み干し徳さんが新たなジャックを注ぐ
「美香ちゃん八番テーブルお願いします」
「こんばんは失礼します」
美香がやって来て信さんの横に座る私が徳さんの横に座ったのはコレね
信さんは美香のことを気に入ってくれてるみたいだからね
「美香のデビュー戦と聞いては駆け付けなければな」
「ありがとうございます」
”あれ私のチョコが目当てじゃなかったんだ”
少しプンってね
「焼くな焼くな彩美のチョコを貰うのも重要事項だ」
徳さんがグラスを美香に手渡す
「美香の初出勤祝いの乾杯じゃ」
「「乾杯」」
美香も咽ずに一気できたね
しばらく雑多な話題で会話してると
「失礼します」
七海がやってきたよ
徳さんを私と挟んで座る
「よしママも来たし美香の初出勤を祝うか」
軽く手を上げライターを着けて黒服を呼ぶ
「ヴーヴと一番でかい一番でかいフルーツ盛りで」
お約束ですね
「かしこまりました八番さんヴーヴ・クリコとビッグフルーツ頂きました」
シャンパンとフルーツを楽しんでいたら黒服が小さい手提げ袋を三個持って来て七海と美香に私にわたす
「今日はありがとうございます」
七海が本命用を二人に渡す
”美香に負けたチョコだよ”
私も本命用を二人にね
「いつもありがとうございます」
美香も本命用を二人に渡す
チョコを渡し終わるとヘルプがテーブルに入りだし他のテーブルへ移動
それから常連さんテーブルを回り途中で上田や徳さん&信さんテーブルに戻ったりしてね
ほぼ満席状態が続いているので美香と一緒の状態を続けるのは難しくなってるけど美香の様子をみてるともう一人でも大丈夫だね
気が付くと照明が暗転して落ち着いたクラシックが流れ出す
もう閉店時間だね
最後に着いてたテーブルの御客様に挨拶をして出入り口ドアへ
会計を終えた御客様で御指名を頂いてる方の御見送り
上田は新人二人が楽しむ姿が嬉しかったみたいでオーラスだったね
最後に徳さんと信さん
「店はマキに伝えてあるから」
と信さんが七海に伝える
店内はオーゲスアウトで片付けモードへ
余ったチョコをカウンターに置いて行くキャスト達が何人かいる
七海も私も数個だけど余ったのをカウンターへ
「これは?」
”余ったの持って帰らないキャストは子供がいるキャストに持って帰ってもらってオヤツとかで食べてもらうの”
「じゃあ私も」
美香もバックルームから数個残ってたのを持って来て置いて行く
十数分で片付けも完了
見様見真似で美香も頑張って片付けをしてたよ
さて封筒タイムだね
順番に封筒を受け取り帰って行くキャスト達
最後は美香と私
「ふ~彩美と一緒に働いてると驚くことばかりだよ」
マキが驚きの表情で美香に封筒を手渡す
「流石に彩美には届かなかったけど本日二位だよ美香」
「え!?」
「まったく業界経験なし初出勤でイベント日ってのはあるけど金額だけなら彩美の初日超えとかだしね」
”すごいなあ美香ちゃん”
「まったくだ場内指名が彩美以外のどのキャストが取った本指名数よりも多いとか先が恐ろしい逸材だよ」
「さて徳さんと信さんが待ってるからいくよー」
七海が皆んなのバックをカウンターに持って来てくれたよ
今日は七海の快気祝いも兼ねて鉄板SHINANOを信さんが予約してくれたんだね
向かうタクシーの中で美香から
「本指名と場内指名って何が違うの?」
まあ普通のJKが言葉の違いを知ってたら逆に驚きだよね
”本指名は入店と同時にお目当てのキャストを指名で場内指名はヘルプで着いたキャストを指名する事だよ”
「ウチは変わらないけど本指名と場内で金額差をつけてる店もあったりするからね」
マキがフォローしてくれる
”場内を本より安くしてフリーの御客様が気軽に指名しやすくしたり場内だと指名を貰えたのは店の采配でテーブルに着けたからとかでドリンクバッグがないとか”
「ふへ~色々とややこしい世界だね」
「それが嫌で七海は誰でも同じ条件で働けるように本と場内に差を付けてないからね」
そんな話をしているとお店に到着したね
今日も最高のコースだったね
メインのステーキは同じだったけど伊勢海老が鮑だったり前菜とかも似ているけど違う料理でペアリングされるワインも違うのにアレンジされていたり何回来ても飽きない工夫が凄かったよ
徳さんは信さんともう一軒と信さんの車で新宿に戻っていったよ本当に気が合ったんだね二人は
店がタクシーを二台呼んでくれていたのでマキは方向が違うので一人で帰り私達もマンションへ
部屋に着くと風呂が沸くまではソファーでくつろぎタイム
ジャックで乾杯して興奮冷めない美香がお店での色々を話してくれてる
興奮が冷めて来るとボストンバッグから何かを取り出してくる美香
「はい彩美ちゃん」
ラッピングされた手の平サイズの箱だね
これは何!?ってもう昔の鈍感さはないよ
”ありがとう”
七海は寝室に行きすぐに戻って来て
「はいダーリン」
そう今日はかなりヨッパモードに仕上がってます
”ありがとう”
知ってるよ七海
私が買物とか行ってる間に一生懸命作ってくれていたの
普段使わない調理道具が出てたりしてたかね
”二人とも本当にありがとう大切に食べるね”
あっお風呂が沸いたね
”美香ちゃんお先にどうぞ着替えとかは準備しておくから下着だけ持って行ってね”
「ではお先に頂きます」
美香がお風呂に入ったタイミングで三人分の着替えとタオルを洗面室に準備
リビングに戻ると七海が飛びついてきたよ
今日は本当に多くのドリンクを頂いて珍しく少し本気で酔ってるね
少し赤くなった頬が色っぽくてドキッとするよ
七海が唇を重ねてきて舌を入れて来る
我慢出来ずに力いっぱい抱きしめる
唇が離れ七海の顔が少し離れると改めて少し赤らんだ顔が視界に入る
抱きしめてる手を放し今度は七海の頭を胸元に抱きしめる
「あと一月だね」
”うん”
来月の十五日は二人の誕生日で私は十八歳になり婚姻届けを出せるようになる
七海の温もりが気持ちいよ
改めて七海を一生守る事を心に誓うよ・・・
かなり厳しい戦いだったけどね
でも次は大丈夫な気がするよ
ナタリーに使用後の洗濯を教わりスプラッター光景に精神的に疲れ果てて反省会でお茶してた時
「生理は子を授かれる大事な証ですから色々大変ですけど将来落ち着いたら七海様との子と出会うのに大切なものなんですよ」
”でも七海は女だし私も女になちゃったし”
もし男のままでも子宮がない七海とでは無理と諦めていたけど
「メネシスでは女同士でも子を成せますよ」
”はい!?”
「同性婚も普通婚と同数位普通に居ると設定されましたよね」
”うん単純にスケベ心から百合カップルをいっぱい登場させる口実だったんだけど”
「予測ですが物語が現実になった時に遥か昔から同性婚が半分なのに人口は微増していますが設定では子供は平均二~三人となっています」
”うんガイアの一般的な家庭しか想像出来なかったからね”
「これでは人口が減ってメネシスの人類は滅亡するはずです」
”そこまで考えていなかったよ”
「そこで物語が現実になった時にパラドクスの解消で同性婚でも子を成せる事になったのではないかと推測されます」
”そういえば祭りとかのガヤでいる同性婚カップルに子供がいる風景を書いていたね書いた時は養子とか孤児を育ててるとかの理由を付けていたけど物語には書かなかったね”
「養子とか孤児でなく二人の子と世界は解釈したのかもですね」
”それは今までの他の話で感じるよ世界は書かれていない部分は整合性を取る為に合理的に解釈して間埋めしてる感じだしね”
「具体的には魔法医師が卵巣から移転術を使い卵子を取り出します」
”ガイアの医学とは完全に医学は別系統進化してるなあ物語では魔法医師の出番は回復とか毒消し魔法しか出てきてないしね”
「その後は高等魔法医師の一部しか使えませんが細胞変移術を使い卵子を精子に変化させるのですが詳しい方法は秘術に相当するので私達には公開されておらず分かりません」
”それじゃ単に他人の精子を渡されてる可能性もあるのでは”
「それは無いと思います生まれた子の多くはきちんと両親両方の特徴を引き継いでおりますので」
”まあ詐欺みたいなことが代々続く訳はないよね”
「その精子を今度は転移術でパートナーの子宮へ排卵タイミングに入れる事で受精して妊娠になります」
”卵子を精子にの部分をES細胞から精子を作るにすると今ガイアで同性婚でも妊娠できる研究に近いなガイアの方は実現は何時の日レベルで未完成だけど”
七海は子宮は摘出してるけど卵巣は・・・
”子宮摘出してるのに女としての成長は止まらないのが私には謎でホルモン剤とかなのかな?”
「はははは彩美は面白い所に気が付くな」
”まあほら将来に性転換手術とか受けるならとかで色々調べてた時期があってね”
「子宮を摘出する時に卵巣を残す事も出来るんだよ幸い卵巣にダメージなかったから成長を考えて担当医が残してくれたんだ」
”そうか卵巣があればホルモンは作られるから女性としての外見も成長で現れる”
「そういうことだね本当に卵巣まで破裂していたらどうなったか考えるだけでも怖いよ」
なんか懐かしい会話を思い出したよ
卵巣が残ってるなら卵子もあるはずだからメネシスの方法を使えば七海との子がかなう!
なんかその為に生理があると考えたらスプラッタも嫌悪感でなく愛おしく考えられるようになったんだ
「妊娠から出産も楽ではないので覚悟は必用ですけどね」
経験者の言葉は重いね
「男性カップルの場合は精子を卵子に変化させ体外で受精させ代理母に出産してもらいます」
”医療技術がガイアとは別系統ですごく進歩してるなあ”
「代理母には多額の報酬が通例ですので見つけるのは難しくはないです」
”そこもリアルだなあ”
愛おしくなったと言ってもいきなり笑顔で対応できる訳ではないけど気持ち悪いとかなくなったよ
本能的にある血への恐怖させ回数を重ねて無くせればなので頑張って経験を積むしかないね
でも前の嫌々から希望の証となったのは大きな心の変化だよ
やっときたか御都合主義「七海とを子を成せる」はと思ったけど世界がバランスを保つ為で私の為への御都合主義じゃないんだよね
生理の件も気分が軽くなったし脚も回復順調で短距離なら走れるまで回復したよ
立って動けるようになると生活もかなり楽になったね
お風呂も一人で入れるようになったけので夜空を見ながら晩酌とか楽しみも増えたしね
今晩もよい星空に半月なのでお風呂で晩酌かな
呼鈴を鳴らす
しばらく待つとナタリーがやって来た
”お風呂に入りたいのでタオルと着替えをお願い”
「お酒は如何いたしますか?」
”冷の米酒をお願いね”
ナタリーが準備に部屋を出る
そういえばナタリーにお風呂へ入れてもらっていたのも今思うと楽しかったなあ
でもナタリーもナターシャも本業は王宮のメイドだから少しづつ二人の手間を減らさないとなんだよね
しばらくすると着替えの寝着と下着にタオルを持って帰って来た
「お酒は後程お持ちしますので」
ナタリーが部屋を出たら服と下着を脱ぎ洗い用タオルと湯上りタオルを持ってテラスの東屋温泉へ
髪と顔から体と洗い湯舟へ
ふー少し湯温が高いのも慣れて気持ち良くだね
星空と半月を見て夜空を楽しんでいたら
「御一緒してもよろしいですか」
このクリスタルを溶かしたような声はルシファーだね
既に服を脱ぎバスタオルを巻いて手にデキャンタとグラスを持ってやって来る
”よろこんで”
デキャンタとグラスを浴槽の木枠に置くとタオルを外して東屋入口の棚に置く
腰位まで黒髪を湯舟に入らないように纏めて掛湯をして浴槽に向かって来るルシファー
そういえば裸体は初めて見るし物語にも登場したことないよね
完璧としか言えないよ
長い脚に巨乳で引き締まったウエストと魅惑的なヒップライン
肌は極上の真珠のように白く艶がある
少しだけガイアの美女と違うのは両コメカミから出た角だけだね
なんて色々と考えていたらさ
気が付くと横に並んで湯舟に浸かっていたよ
グラスに酒を注ぎ渡してくれる
軽くグラスを傾け乾杯をすると一口
今日は少し甘めだね嫌じゃない雑味が多くてコクがあって美味しいよ
「数歩歩けてからの回復速度は速いですね普通の生活なら不自由なさそうですね」
”まあまだしばらく部屋から出れないので不自由なくだね”
まだ完調子ではないので五分位歩いたり立ち続けると休息を挟まないと駄目なんだよね
「ナタリーが寂しがっていましたよ回復は喜ばしいけどお役に立てる事が減ってしまったと」
”本当にナタリーとナターシャには何でも世話になっていたもんね”
グラスが空くとルシファーがすぐに酒を注いでくれる
最近は無理に寝て体力を回復する必要もないのでルシファーも同ペースで飲んでくれて楽しいよ
「今日も何かガイアのお話をお聞かせいただけますか」
”そうだねじゃあバレンタインデーという不思議な風習の話をしようかな”
美香の初出勤の日を思い出すね
七海は退院した翌日から普通に出勤してたよ
私も受験休みなので七海と一緒に毎日出勤出来てうれしいよ
卒業式が終わればずーっと一緒にだし楽しみだね
連日充実した日々を楽しんでいたら気が付けばバレンタインになっていたよ
お昼過ぎに美香がいつものボストンバッグを持ってマンションにやって来たよ
「こんにちはー」
”ハロハロぉー”
「いらしゃい」
七海がコーヒーをいれてお出迎え
ソファーでコーヒーを楽しみながら今日の打ち合わせ
”バレンタインデーイベントなのでチョコを来店頂いたお客様に渡すんだ”
チョコは持ち運べる量ではないのでお店に届けてもらってる
美香に見せるサンプルだけ持って来てる
”チョコは本命と義理の二種類ね”
「本命用と義理用?」
”本命用はいつも指名を入れてくれて今日来ることを連絡してくれている人だね”
「義理用は本日に御来店頂いて本命以外のテーブルについたお客様全員に渡すようだね」
サンプルで持って来てるのをテーブルに置く
”本命は箱でラッピングされた少しだけ特別感がある感じでね”
「ってぇピエールマルコリーニ!超高級店だよ」
”こっちの本命用七個入は三千円位するけどいつも指名頂いたりドリンクを頂いてるの感謝を考えるともっと高いのでもいいけど高すぎて受け取った方が恐縮しちゃってもだしね”これはラッピングしてあるから中は見せられないね
”こっちは義理用ね”
こっちはラッピングしてないので箱の中を見せる
六個入りの個別包装になってるよ
”こっちは大量なので一つ四百円位だね”
「ほへ~全部でどれくらい準備してるの?」
”私は連絡なし来店とかの予備も考えて本命が三十箱で義理は箱バラシて百個くらいかな”
「って恐ろしい金額に汗だよ」
”まあそう感じるのが普通は当然だけど水の世界にいるとなんで金銭感覚は気を付けてね”
”ねーさんは何処のにしたの”
「彩美とお揃いだよ
「ねーさんはもっと多いんでしょ」
”私の倍近いかな”
「なにせバレンタインデーは店を梯子してチョコを集める客も多いからイベントの中でも来店数が多いんだよ」
「私はどうすれば?」
「美香のはお店に準備してあるから」
”初出勤だから目立ち過ぎてもだから無難にゴディバで選んどいたよ”
こっちもサンプルをテーブルに置く
”本命用は箱入り五個ね”
「初出勤で私まだ指名とかないよ~」
”徳さんと信さんは来るから他にも美香の顔知ってる人が来るかもしれないので準備はしてあるよ”
「義理用はカレだよ」
五センチ四方くらいの板チョコが個別包装されたサンプルをテーブルに出す
「ってお支払いお支払い」
「今日は初出勤で無理やりイベント日にお願いしたので私持ちでいいよ」
”他のキャストには内緒でね”
「はい!ありがとうございます」
「本命とか義理とか線引き難しそうだよね」
”それは本当に悩ましいけど私は感情で線引きすると不公平が出るので過去に指名もらったことある御客様で来店連絡あった方と徳さんとか信さんみたいな連絡なくても必ず来る方で線引きしたよ”
「まあ新規獲得と全員に本命を送るキャストもいるけど無駄金だしね」
”本命客は特別感から親密度あがる場合があるけど全員特別を渡すと特別じゃなくなっちゃうしね”
「難しい世界だねえ」
”そろそろ準備しないとの時間だね”
寝室に着替えに行く二人
さて私も準備をしようね
今日はオフショルで紫のグラデーションなマキシ丈ドレスだよ
胸元は高めになってるのでストラップレスブラとパッドで胸を作っても見えないよ
着替えてメイクを終えると七海と美香も準備を終えて寝室から出てきたよ
七海は私とお揃いな感じだけど大きく胸元が開いて谷間が眩しいよ
美香はピンクを基調としてバラの模様がアクセントなオフショルロングでやっぱし胸元が開いていて谷間が眩しいね
二人は髪のセットも終わっていたので私の髪を七海がセットして準備完了
マンション前でタクシーを捉まえて乗り込む
今日は何処に行っても混んでるので気分上々を予約してあるのでタクシーで向かう
「まあ今日は出来る限り私か彩美と同じ席になるように廻す様に伝えてあるのであんまり緊張するな」
”まずは腹ごしらえだよ”
気分上々に入ると三席あるテーブル席の真ん中に「予約席」のプレートが置いてあった
「らっしゃーい!」
篠がプレートを下げながら席を教えてくれる
”健坊さん酸っぱ濃いめ三杯とレバーとハツモトをまずはよろしく!”
「あいよー」
ジョッキが届いたので
「「乾杯!」」
まあ美香の一杯目が瞬間蒸発は慣れたよ
七海も私も蒸発しちゃったけどね
すぐに篠がお替りを持って来てくれたよ
”美香ちゃん時間少ないから好きな焼き物頼んで”
「えっいいの?」
”美香セレクトも楽しいよね七海”
「あたりまえだよ」
「じゃあモモとハツにサエズリ・・・ああ迷うよ・・・皮と梅ササミに椎茸とシシトウで白ネギ美人で!あと銀杏だ!」
”じゃそれ三人前でね”
「あいよー!」
「おっやっぱ美香も酒飲みだな」
「えっ!?」
”七海と私の定番網羅!”
焼鳥を食べ終えるタイミングで焼きおにぎり!
特別な材料も調味料も使ってない丁寧に焼いてスーパーでも売ってる醤油を塗られただけのおにぎり
がぁ最高なの焼き加減が職人の技なんだよね
食事を終えお店に向かうよ
「皆んなおはよー!」
「「おはよーございます」」
私は見慣れた光景だけど美香がガチガチだよ
荷物をバックルームに置いて私はオープン準備を手伝うよ
”あっ美香ちゃん今日は七海の横に居ればいいから”
「朝礼だよ!」
マキの声が店内に響く
「ではママよろしく」
「今日は皆んなも顔を覚えてると思うが彩美の親友の美香がデビューするよろしく頼む!」
「「はい」」
「新人指導は彩美にお願いする」
”はい”
そこからセブンシーバレンタインイベントが初のキャストもいるので簡単な説明がマキからされる
「開店」
マキの掛け声でスタッフとキャストが動き出す
”テーブル番号は覚えた?”
「うん入口の0番から右回りに・・・」
”大丈夫だね では0番で呼ばれるまで待機だよ”
「はーい」
店のドアが開くとドア前で待っていたのか数人の御客様が入ってくる
「彩美ちゃん四番テーブルお願いします」
”少ししたらヘルプに呼ばれるからまっててね”
四番に行くと常連の上田がスーツをまだ着こなせてない感じの若い男性二人を連れていた
上田は五十歳くらいで大手企業に勤務している本人曰く「窓際中間管理職」だけど見た目や話し方からエリートコースの人だと思ってるよ
”今晩は上田さん”
上田の横に座る
”お飲み物はどうしますか?”
「ビールは飲めるかい?」
若い男性に確認してる
「「はい」」
「じゃビールで彩美ちゃんも好きなのどうぞ」
”ありがとうございます”
軽く手を上げライターを着けて黒服を呼ぶ
”ビール3杯と私のビールもお願い”
「四番テーブルさんドリンク頂きました」
”上田さんがお連れさんとか珍しいですね”
「ああ今日は入社前のオリエンテーションでなオリエンの〆で夕方に懇親会があってな」
”じゃあ新入社員さん?”
「そうそう面白そうな二人だったので飯は懇親会で済ましたので店に連れて来てみた」
”よろしくお願いいたします彩美ともうします”
なんかガチガチの二人だね
「よよよろしくお願いします」
「こういう店は初めて見たいだったんだが二人は営業部に配属になるから将来の勉強で連れてきたよ」
”気楽にでいいんですよ御客様に楽しんで頂くのが一番ですから”
黒服がビールを持って来る
「では乾杯だ!」
懇親会で食事をしたと言ってるけど三人とも素面だよね
”懇親会はお酒なしだったの?”
「最近は色々煩くて強制参加の懇親会だと定時内開催になるので場所も会社の会議室だから酒はNGでね」
”色々面倒な世の中になってますね”
「美香ちゃん四番テーブルお願いします」
ガチガチの美香がテーブルに来たよ
視線で向かいの若者二人の間に座るように合図する
「よろしくお願いをいたします美香でございます」
ぎこちなく二人の間のキャスト椅子に座る美香が可愛いね
”美香ちゃんは私の学生時代からの大親友で今日が初出勤の新人だよ”
「おー!初出勤の一番客とバージンを頂いてしまったな彩美ちゃんの親友となれば遠慮なく美香ちゃんも好きなの飲んで」
「ありがとうございます」
”美香ちゃん何にする?”
「では私もビールで」
黒服を呼び美香のビールを頼む
ビールが届くと改めて乾杯
「新入社員と初出勤とは面白いな」
”本当だね”
私が上田と二人で話はじめたので美香が頑張って二人を相手に会話してるよ
黒服が小さい手提げ紙袋を持って来て美香と私に渡す
”はい上田さん”
指名用のチョコを上田に義理用を新人二人に手渡す
美香も私の動きから察して義理用を三人に手渡す
「おお彩美ちゃんからのチョコはうれしいな」
”男からのチョコで喜んでもらえるとは!!”
と新人二人に向けてボケをかますよ
意図を察した上田が止めを刺す
「男だろうと彩美ちゃんからなら最高さ」
フリーズしてる新人
「ああ彩美さんって男なんですか!?」
”うん!あっ安心して美香は純女だよ”
なんの安心かは分からないけどね
「この店はミックスバーと言って全員女性に見えるけど半分くらいはニューハーフだよ」
「嘘でしょ・・・・」
しばらくするとヘルプが入り私は別のテーブルへ
少しあとに美香もヘルプと交代して私のテーブルへ
いくつかのテーブルを巡ると美香の緊張もかなり解けてきたね
美香は上田が気を利かせて指名をいれてくれたよ
上田のテーブルでは一人になる場面もあるけど上田が上手くリードしてくれてるか大丈夫だね
「あやみちゃん八番テーブルお願いします」
八番に行くと徳さんと信さんだね
”こんばんは御一緒に来店は初めてですね”
徳さんの横に座るよ理由はあとでね
「結婚式のあとに信さんと飲みに行ったら気が合ってな今日も居酒屋で少し一緒に飲んできたんじゃよ」
”なるほどね”
「今日は会議出張でなくプライベートで来たから時間があってね」
”プライベートでもスーツ!?”
「スーツ以外はゴルフウエアか家着のスエット位しか持ってないのでね」
ああ何か信さんなら納得できるよ
黒服が徳さんのジャックボトルを持って来る
さて酒を用意の・・・必要ないね
徳さんがセット置場からグラスをとりだしナミナミ注ぐ
「「乾杯」」
三人とも一気に飲み干し徳さんが新たなジャックを注ぐ
「美香ちゃん八番テーブルお願いします」
「こんばんは失礼します」
美香がやって来て信さんの横に座る私が徳さんの横に座ったのはコレね
信さんは美香のことを気に入ってくれてるみたいだからね
「美香のデビュー戦と聞いては駆け付けなければな」
「ありがとうございます」
”あれ私のチョコが目当てじゃなかったんだ”
少しプンってね
「焼くな焼くな彩美のチョコを貰うのも重要事項だ」
徳さんがグラスを美香に手渡す
「美香の初出勤祝いの乾杯じゃ」
「「乾杯」」
美香も咽ずに一気できたね
しばらく雑多な話題で会話してると
「失礼します」
七海がやってきたよ
徳さんを私と挟んで座る
「よしママも来たし美香の初出勤を祝うか」
軽く手を上げライターを着けて黒服を呼ぶ
「ヴーヴと一番でかい一番でかいフルーツ盛りで」
お約束ですね
「かしこまりました八番さんヴーヴ・クリコとビッグフルーツ頂きました」
シャンパンとフルーツを楽しんでいたら黒服が小さい手提げ袋を三個持って来て七海と美香に私にわたす
「今日はありがとうございます」
七海が本命用を二人に渡す
”美香に負けたチョコだよ”
私も本命用を二人にね
「いつもありがとうございます」
美香も本命用を二人に渡す
チョコを渡し終わるとヘルプがテーブルに入りだし他のテーブルへ移動
それから常連さんテーブルを回り途中で上田や徳さん&信さんテーブルに戻ったりしてね
ほぼ満席状態が続いているので美香と一緒の状態を続けるのは難しくなってるけど美香の様子をみてるともう一人でも大丈夫だね
気が付くと照明が暗転して落ち着いたクラシックが流れ出す
もう閉店時間だね
最後に着いてたテーブルの御客様に挨拶をして出入り口ドアへ
会計を終えた御客様で御指名を頂いてる方の御見送り
上田は新人二人が楽しむ姿が嬉しかったみたいでオーラスだったね
最後に徳さんと信さん
「店はマキに伝えてあるから」
と信さんが七海に伝える
店内はオーゲスアウトで片付けモードへ
余ったチョコをカウンターに置いて行くキャスト達が何人かいる
七海も私も数個だけど余ったのをカウンターへ
「これは?」
”余ったの持って帰らないキャストは子供がいるキャストに持って帰ってもらってオヤツとかで食べてもらうの”
「じゃあ私も」
美香もバックルームから数個残ってたのを持って来て置いて行く
十数分で片付けも完了
見様見真似で美香も頑張って片付けをしてたよ
さて封筒タイムだね
順番に封筒を受け取り帰って行くキャスト達
最後は美香と私
「ふ~彩美と一緒に働いてると驚くことばかりだよ」
マキが驚きの表情で美香に封筒を手渡す
「流石に彩美には届かなかったけど本日二位だよ美香」
「え!?」
「まったく業界経験なし初出勤でイベント日ってのはあるけど金額だけなら彩美の初日超えとかだしね」
”すごいなあ美香ちゃん”
「まったくだ場内指名が彩美以外のどのキャストが取った本指名数よりも多いとか先が恐ろしい逸材だよ」
「さて徳さんと信さんが待ってるからいくよー」
七海が皆んなのバックをカウンターに持って来てくれたよ
今日は七海の快気祝いも兼ねて鉄板SHINANOを信さんが予約してくれたんだね
向かうタクシーの中で美香から
「本指名と場内指名って何が違うの?」
まあ普通のJKが言葉の違いを知ってたら逆に驚きだよね
”本指名は入店と同時にお目当てのキャストを指名で場内指名はヘルプで着いたキャストを指名する事だよ”
「ウチは変わらないけど本指名と場内で金額差をつけてる店もあったりするからね」
マキがフォローしてくれる
”場内を本より安くしてフリーの御客様が気軽に指名しやすくしたり場内だと指名を貰えたのは店の采配でテーブルに着けたからとかでドリンクバッグがないとか”
「ふへ~色々とややこしい世界だね」
「それが嫌で七海は誰でも同じ条件で働けるように本と場内に差を付けてないからね」
そんな話をしているとお店に到着したね
今日も最高のコースだったね
メインのステーキは同じだったけど伊勢海老が鮑だったり前菜とかも似ているけど違う料理でペアリングされるワインも違うのにアレンジされていたり何回来ても飽きない工夫が凄かったよ
徳さんは信さんともう一軒と信さんの車で新宿に戻っていったよ本当に気が合ったんだね二人は
店がタクシーを二台呼んでくれていたのでマキは方向が違うので一人で帰り私達もマンションへ
部屋に着くと風呂が沸くまではソファーでくつろぎタイム
ジャックで乾杯して興奮冷めない美香がお店での色々を話してくれてる
興奮が冷めて来るとボストンバッグから何かを取り出してくる美香
「はい彩美ちゃん」
ラッピングされた手の平サイズの箱だね
これは何!?ってもう昔の鈍感さはないよ
”ありがとう”
七海は寝室に行きすぐに戻って来て
「はいダーリン」
そう今日はかなりヨッパモードに仕上がってます
”ありがとう”
知ってるよ七海
私が買物とか行ってる間に一生懸命作ってくれていたの
普段使わない調理道具が出てたりしてたかね
”二人とも本当にありがとう大切に食べるね”
あっお風呂が沸いたね
”美香ちゃんお先にどうぞ着替えとかは準備しておくから下着だけ持って行ってね”
「ではお先に頂きます」
美香がお風呂に入ったタイミングで三人分の着替えとタオルを洗面室に準備
リビングに戻ると七海が飛びついてきたよ
今日は本当に多くのドリンクを頂いて珍しく少し本気で酔ってるね
少し赤くなった頬が色っぽくてドキッとするよ
七海が唇を重ねてきて舌を入れて来る
我慢出来ずに力いっぱい抱きしめる
唇が離れ七海の顔が少し離れると改めて少し赤らんだ顔が視界に入る
抱きしめてる手を放し今度は七海の頭を胸元に抱きしめる
「あと一月だね」
”うん”
来月の十五日は二人の誕生日で私は十八歳になり婚姻届けを出せるようになる
七海の温もりが気持ちいよ
改めて七海を一生守る事を心に誓うよ・・・
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