「大みそかから元日にかけてというタイミングやカウントダウンイベントの体験、USJオフィシャルホテルのなかでもっとも高級なホテルのスイートルームへの宿泊という点を考慮すると、一人当たり税込みで25万円というのは妥当な金額といえます。
USJも東京ディズニーRもコロナ禍の影響もあり、客数が減っても売上を確保できるよう客単価を上げる戦略をとっています。たとえば東京ディズニーRは2022年に確実に希望するアトラクションを体験でき1500~2500円の『ディズニー・プレミアアクセス(DPA)』を導入し成功しています。以前にUSJの方にお聞きした話によれば、アトラクションの待ち時間を短縮できるエクスプレス・パスの購入者の大半は、泊りがけで来る関西圏以外の人やインバウンドだということですが、貴重な体験にはお金を惜しまない富裕層・プチ富裕層が増えているなか、高額な特別プランを用意して、そうしたお金を持っている層を取り込もうとしているのです」
ホテル業界関係者はいう。
「年末年始の100万円ツアーに関していえば、USJオフィシャルホテル最上階のツイートルームに4人で宿泊でき、レストラン個室での食事や2日間の専属ガイド付きパーク体験もついていることを考えれば、高くはないといえます。特にUSJ好きにとっては、通常のゲストは入れない特別な会場でのパーティや専用ラウンジを利用できるというのも大きな魅力でしょうから、年末年始にUSJで家族とともに特別な体験ができるとなれば、これくらいの金額を払う人は一定数いるでしょう。
また、毎日行われている30~40万円のガイド付きツアーは、特にインバウンドにとっては円安の影響もあり、4人で利用すれば、まったく高くは感じられないでしょう。レストランでの食事もついて英語などが話せるガイドがパーク内を案内してくれるとなれば、安いとすら感じる外国人観光客もいるでしょう」
東京ディズニーRにも、こうした高額ツアーは存在する。詳細は公表されていないが、「プライベートVIPツアー」と呼ばれるもので、ディズニーリゾート内にある「東京ディズニーランドホテル」「ディズニーアンバサダーホテル」「東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ」のスイートルーム、もしくは今年6月にオープンした「ファンタジースプリングスホテル」の高級客室グランドシャトーに宿泊した客だけが申し込めるサービスで、専属のガイドがディズニーランドもしくはディズニーシーの中をお客の希望に合わせて案内してくれる。価格は44万円、55万円、66万円の3コース(パークのチケット代は含まれていない)。このほか、東京ディズニーシー内の「ファンタジースプリングス」入場保証付きパークチケット「1デーパスポート:ファンタジースプリングス・マジック」が含まれる1人数万~30万円台の1泊2日プランなど、各種高額プランが日頃から用意されている。
「1人あたり1泊2日で10万円以上と聞くと高いように思えますが、入場のための『パークチケット』が1万円だとして、これに確実に希望するアトラクションを体験するための数千円の『ディズニー・プレミアアクセス(DPA)』が加わり、複数購入すればチケット代だけで1人2万円くらいになる。さらにディズニーホテルに宿泊すると1泊7万円以上かかる部屋が多いため、4人で20万円以上は普通にかかってくる。そう考えれば、数年に1度のご褒美としてプラス10~20万円出しても、キャラクターグリーティングやリザーブ席でのショー鑑賞、各種アトラクションをスムーズに体験できるといった、さまざまな特典がついているプランを選ぼうとなる人は一定数いるでしょう。特に熱心なディズニーファンにしてみれば、海外旅行に行くのと比較すれば高くはないと感じのではないでしょうか」(同)
(文=Business Journal編集部、協力=中島恵/明治大学兼任講師)