ローソンが一部の店舗にクレーンゲームを設置し、大きな反響が上がっている。ゲームをするために店舗を訪れる、という客もいるほどで、一定の集客力が見込める一方、場所を取るゲーム機の設置によって、商品を置けるスペースが狭くなり、売り上げが下がるのではないかと懸念する声もある。実際はどうなのか、ローソンに聞いた。
セブン-イレブン、ファミリーマートに次ぐ業界3位のコンビニエンスストアチェーンであるローソンは、2024年2月末現在で国内1万4643店舗、海外7344店舗を展開している。そのなかには、一般的なローソンのほか、ナチュラルローソン、ローソンプラス、ローソンストア100など、訴求するコンセプトや品ぞろえが異なる店舗を複数、展開している。
今では当たり前となった“コンビニスイーツ”の先駆けは2009年にローソンが発売した「プレミアムロールケーキ」だといわれている。ほかにも、コンビニにATM(現金自動預け払い機)が置かれるようになったのもローソンが始まりで、店内に郵便ポストを設置したのもローソンが最初だ。また、一部店舗では薬局を出店させたり、Uber Eatsなどのデリバリーサービスを利用して医薬品の宅配を行うなど、常に画期的なサービスにいち早く取り組み始める存在となっている。
そんなローソンが、続々と店内にクレーンゲームを設置している。もともと、2022年ごろから京都の一部店舗でクレーンゲームを設置し始めたが、今年3月から首都圏に拡大させ始めた。さらに8月5日、ローソンは2025年度中にクレーンゲーム機の設置店舗数を1000店に広げると発表。
ゲーム機は1台当たりクレーンが4機で、これを2台設置するのが標準となっている。キャラクターのぬいぐるみを中心に、雑貨などの景品もある。近隣にアミューズメント施設がない地域や、外国人旅行客が多く訪れる地域の店舗などでは、集客効果が高いとみられている。その一方で、小型化しているとはいえ、一定のスペースを必要とすることから、商品を置く場所が減り、売り上げを圧迫しかねないと懸念する向きもある。
そこでBusiness Journal編集部は、ローソン広報部に直接、話を聞いた。
――現在、何店舗まで設置が進んでいるのでしょうか。
ローソン広報部「首都圏・近畿・中部のエリアで635店舗設置に設置しています」
――設置店の情報は公開されているのでしょうか。
ローソン広報部「公開しておりません」
――店舗ごとに取れる景品は異なるのでしょうか。
ローソン広報部「店舗ごとの客層に合わせているため、一部景品内容が異なります」
――ゲーム機設置によって大きなスペースを取りそうですが、店舗の売上はプラスになっているのでしょうか。
ローソン広報部「設置店の中には当初想定の2倍以上の売上となっている店舗もございますのでプラスとなっています」
――ゲームをしているお客さんの属性などは把握されているのでしょうか。たとえば、外国人が多いなど。
ローソン広報部「データとして取れているものではございませんが、観光立地の店舗ではインバウンドのお客さまにもご利用いただいています」
――ゲーム機が設置される店舗の条件などあれば教えてください。
ローソン広報部「店舗側のご希望、設置スペースの有無、ご利用ニーズの有無などの観点から検討して設置場所を決めております」
全国的にゲームセンターは減少しているが、クレーンゲームの人気は高まっている。インターネットを介して遠隔操作でプレイできるクレーンゲームなどもあり、需要は高いといえる。その需要を見込んで、ローソンは集客に活用しているわけだ。実際に、クレーンゲームをするためにローソンを訪れるという人も出てきている。そのような人が“ついで買い”をしたり、リピート来店することで、ローソンの売り上げは伸びてくるだろう。
今後コンビニは物を買うためだけではなく、何かを体験するためにも訪れる場となってくるのかもしれない。
(文=Business Journal編集部)