国内のスマートフォン納入台数のベンダー別シェアで、韓国サムスン電子が中国Xiaomi(シャオミ)に抜かれ4位に転落し、納入台数も前年同期比39%減と大きく落ち込んだことが注目されている。その原因は何なのか。業界関係者の見解も交えて追ってみたい。
市場調査会社Canalysの発表によれば、今年4~6月の国内納入台数のメーカー別シェアで、1位のアップル(56%)、2位のグーグル(12%)に次いで3位(6%)にシャオミが浮上。サムスンはシャープと同率4位(5%)となったが、シャオミの納入台数は前年同期比プラス359%と大きく伸びた一方、サムスンは同マイナス39%と大幅減となった。
もっとも、世界市場(出荷台数)ではサムスンが1位(シェア19%)だ。2位(16%)のアップルに次いでシャオミは3位(15%)につけており、サムスンとアップルのシェアが縮小する一方、シャオミの出荷台数は前年同期比27%増と大幅に増えているため、トップ3のなかで順位の逆転が起きる可能性もあり、激しい首位争いが繰り広げられている。
ちなみにIDC Japanが発表した、今年1~3月の国内の従来型携帯電話・スマートフォンの合計出荷台数のベンダー別シェアは、1位はアップル(53.6%)、2位はシャープ(11.6%)、3位はグーグル(8.7%)、4位はサムスン(7.2%)。グーグルの出荷台数は前年比183.8%増であり、前出Canalys調査でも4~6月が同37%増となっており、大きく伸長中である。
国内でサムスンが苦戦し始めた理由について、大手キャリア関係者はいう。
「256GBのSIMフリー端末価格を見ると、サムスンの上位機種『Galaxy S24 Ultra』とアップルの上位機種『iPhone 15 Pro』はともに約19万円だが、iPhone大国の日本ではハイエンド志向のユーザはiPhoneを選択する傾向が強い。また、グーグルの『Pixel』がiPhoneと同レベルのスペックなのに価格が3割ほど安くて便利な機能が豊富だということで人気が高まっており、加えて昨年からNTTドコモでも取り扱いが始まったことも追い風となって大幅に台数が伸びている。そして圧倒的な低価格がウリのシャオミも性能的にまったく問題ないという評価も広まり、売れている。
こうしてみると、日本のスマホ市場においてサムスンが非常に中途半端な立ち位置に陥りつつある。他ベンダーのスマホと比較した際に“選ばれる理由”が薄まりつつあり、かなり危機的な状況といえる。ここから浮上するには搭載する機能やスペック、価格を大幅に見直す必要があると思われる。7月には折りたたみスマホの『Galaxy Z Fold6』のSIMフリー版が国内でも販売されたが、256GBが約25万円、512GBが約27万円とかなり高額で、ものすごく売れているという話は聞こえてこない」
ここ数年、サムスンは日本市場でのシェア拡大に力を入れてきた。2019年に東京・原宿に旗艦店「Galaxy Harajuku」をオープンし、22年にはECサイト「Amazon.co.jp(アマゾン)」上でのGalaxyの販売を開始。昨年には自社ECサイト「Samsungオンラインショップ」をオープンし、今年5月には日本のメディアと消費者に向けて自社の最新情報を提供するニュースサイト「Samsung Newsroom Japan」をリリースした。そのため、ネット上では「サムスンが総力を挙げて日本市場の開拓を進めようとしたが失敗している」といった声もみられる。