グミ市場、10年前の3倍に急拡大…フルーツ感と噛み心地にも変化

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 上表のように2022年のメーカー別順位は1位明治、2位カンロだったが、近年は明治やUHA味覚糖などがシェアを落とし、カンロが伸びている。上位に玩具メーカーのバンダイが入るのが意外かもしれないが、アニメのキャラクター系グミが人気だ。

 マーケティング視点で気になる部分もあったので、一部紹介しよう。

<もうひとつ興味深いデータがある。グミはガムの市場から顧客を奪っているわけではないということを、マクロミルが分析している。同社によると、錠菓も含めたガムなどの口中清涼菓子のほかにキャンディー、チョコレートからも顧客がグミに流入しているという>(同書P23より引用)

 これに続き、小袋タイプのチョコレート菓子(ポケチョコ)から約16億円がグミに流れた例を紹介する。上記の錠菓とは「ミンティア」などのタブレット菓子だが、コロナ禍のマスク生活、人に会う機会の減少で口臭ケアの必要性も減り、一時販売が激減した。

カンロ「ピュレグミ」が首位に

 グミに対する消費者の思いも聞いてきたが、次のような点を挙げる人が多かった。

「いろんな味を楽しむことができ、さまざまな種類や食感が楽しいです」(20代女性)

 ブランド別順位では変化が起きた。長年首位だった「果汁グミ」(明治)にかわって2022年から「ピュレグミ」(カンロ)が首位となり、2023年の順位は次の結果になった。

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 カンロの河野亜紀さん(ピュレグミ・カンデミーナ ブランドリーダー)は、最近の実績と躍進の理由をこう説明する。

「ブランド全体ではグミブランド売上No.1(DATA: 株式会社インテージSRI+ グミ市場2023 年4 月~2024 年3 月累計販売金額)を維持し、累計販売数は12億袋を突破しました。

 好調要因としては、ピュレグミの情緒的訴求が挙げられます。直近3年間では、カラフルなパッケージや、見つけるとうれしいシークレット型、底面メッセージやカラーストーリー、気持ちを前向きにさせるプロモーション施策など、“ピュレグミがそばにあることでトキメキ、気持ちが上がる”という価値を意識的に伝え続けてきました」(河野さん)

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「ピュレグミ」の商品例(筆者撮影)

 同社から「ピュレグミ」が発売されたのは2002年。発売当初から大人の女性をメインターゲットにした。同ブランドは右肩上がりの後に伸び悩み、2015年頃から商品のリニューアル、ラインナップ拡充などを行い、近年の好調さにつなげている。“きゅんと、果肉食感”を掲げる「ピュレグミ」、“濃密果実ジュレin”を掲げる「ピュレグミプレミアム」などで市場を攻める。2013年には男性向けに「カンデミーナグミ」も発売した。

一番人気は「ぶどう」系、「噛み心地」には変化

 ちなみに「グミ」の人気フレーバーは、昔も今も変わらない。

「一番人気はぶどう味(グレープ)で、どのブランドもぶどう味が強いと思います。ゼラチンとの相性が良く、ジューシーさが感じられるのでしょう。『果汁グミ』も“ぶどう”が1位で、2位が“温州みかん”、3位が“マスカット”です」(明治の福島さん)

「業界全体としてぶどう味が一番人気ですが、グミは味×食感の表現のしやすさからフルーツ以外にも、炭酸飲料系や、グルメ系へも広がりを見せています。

 また、最近ではインバウンド需要から、とろりとした食感の『ピュレグミプレミアム』シリーズの“山梨産白桃”味も非常に人気となっています」(カンロの河野さん)

 一方、硬さは商品によって違う。「果汁グミ」はやわらかい噛み心地。「ピュレグミ」は少し硬く、きちんとした噛み具合だ。

 外国製で人気の「ハリボー(HARIBO)」(原産国ドイツ。取扱いは三菱食品)は非常に硬い。クマのグミで知られるハリボーは100年以上前に誕生し、欧州ではおなじみのブランド。日本でもファンを拡大し、上記の表に示したように存在感を高めている。